外食にお金を使う街ランキング1位は東京都区部 品目別の1位は9つの街に分かれた【家計調査】
「外食にお金を使う街」と聞いて、多くの人は大都市を思い浮かべると思います。実際、総務省統計局の家計調査で外食費の都市別ランキングを見ると、1位は東京都区部の年間276,675円。全国平均186,665円の約1.48倍です。
ところが、その外食費を「すし」「焼肉」「喫茶代」といった品目に割ってみると、風景が一変します。編集部で9品目のトップを並べたところ、1位を取った街は9つすべて別々でした。総額1位の東京都区部が品目別で1位に立ったのは、飲酒代のただ1品目だけです。
この記事では、家計調査の「外食」の表から、外食総額のランキングと、品目別に見たときの街ごとの偏りを読み解きます。数字はすべて2023〜2025年の3か年平均、対象は都道府県庁所在市と政令指定都市の52市です。
目次
外食にお金を使う街ランキング【2023〜2025年平均】
まずは外食費の総額から。二人以上の世帯の1世帯当たり年間支出金額、上位15市です。
| 順位 | 都市 | 年間支出額 |
|---|---|---|
| 1位 | 東京都区部 | 276,675円 |
| 2位 | さいたま市 | 258,383円 |
| 3位 | 名古屋市 | 243,252円 |
| 4位 | 横浜市 | 226,437円 |
| 5位 | 千葉市 | 226,294円 |
| 6位 | 川崎市 | 225,691円 |
| 7位 | 熊本市 | 210,124円 |
| 8位 | 宇都宮市 | 204,092円 |
| 9位 | 相模原市 | 203,057円 |
| 10位 | 富山市 | 202,283円 |
| 11位 | 静岡市 | 200,695円 |
| 12位 | 大津市 | 199,623円 |
| 13位 | 京都市 | 196,710円 |
| 14位 | 福岡市 | 196,322円 |
| 15位 | 奈良市 | 195,040円 |
| (参考) | 全国平均 | 186,665円 |
上位10市のうち8市は、東京都区部と政令指定都市が占めました。ここに割って入ったのが宇都宮市(8位・204,092円)と富山市(10位・202,283円)の2市です。人口規模で並ぶランキングになりそうなところに、この2つの街が入っている——ここが最初の引っかかりどころで、後半の品目別の表を見ると理由の輪郭が見えてきます。
なお全国平均186,665円の内訳は、食事代150,575円、飲酒代18,073円、喫茶代10,261円、学校給食7,756円。食事代の中で最も金額が大きいのは、弁当や定食など個別の品目に分類しきれない外食をまとめた「他の主食的外食」の54,738円で、食事代の3分の1以上を占めます。私たちの外食費は、名前のついたごちそうよりも、日常の食事にこそ厚く積み上がっているということです。
飲食業の現場から見ると、この「日常の積み上げ」こそが経営を左右する部分でもあります。30店舗の会社を200店舗に伸ばし、別企業の売上を60億円規模まで引き上げた南愼一郎さんは、Shikisaiの取材に対して「特別なことをやったという感覚はあまりない」と語り、店舗の導線やオペレーションを一つずつ整えてきたと振り返っています(外食企業の再生とは?売上20数億を60億にした南愼一郎(オフィス南)に聞く)。
品目別の1位は9つの街に分かれた
ここからが本題です。家計調査の外食の表には、品目ごとの都市別ランキングが並んでいます。編集部で主要9品目の1位を抜き出して並べたのが次の表です。
| 品目 | 1位の街 | 年間支出額 | 全国平均 | 全国平均比 |
|---|---|---|---|---|
| 日本そば・うどん | 高松市 | 17,704円 | 7,467円 | 約2.37倍 |
| 中華そば | 山形市 | 21,695円 | 8,752円 | 約2.48倍 |
| すし(外食) | 金沢市 | 22,406円 | 16,577円 | 約1.35倍 |
| 和食 | 岐阜市 | 42,533円 | 26,615円 | 約1.60倍 |
| 洋食 | 宇都宮市 | 22,654円 | 13,378円 | 約1.69倍 |
| 焼肉 | 高知市 | 19,541円 | 8,444円 | 約2.31倍 |
| ハンバーガー | 那覇市 | 8,417円 | 6,446円 | 約1.31倍 |
| 喫茶代 | 名古屋市 | 16,431円 | 10,261円 | 約1.60倍 |
| 飲酒代 | 東京都区部 | 36,241円 | 18,073円 | 約2.01倍 |
9品目の1位が、9つの異なる街に分かれました。そして総額1位の東京都区部が首位に立ったのは飲酒代だけです。
さらに面白いのは、品目のトップを取った街が、総額ランキングでは必ずしも上位ではないことです。すし1位の金沢市は総額では28位(177,381円)、うどん1位の高松市は24位(182,327円)、焼肉1位の高知市は16位(194,054円)。「外食にお金を使う街」と「その品目の街」は、はっきり別の話なのです。
全国平均との開き方にも差があります。すし・ハンバーガー・和食・喫茶代は1位でも全国平均の1.3〜1.6倍にとどまるのに対し、そば・うどん、中華そば、焼肉は2.3倍を超えました。全国どこでも一定額が出る品目と、街によって桁が変わる品目がある、と言い換えられます。中華そば(ラーメン)の詳しいランキングはラーメンに一番お金を使う街はどこか【家計調査ランキング】で扱っています。
すし1位は金沢市 上位に富山・山形・静岡が並ぶ
すし(外食)の上位10市です。
| 順位 | 都市 | 年間支出額 |
|---|---|---|
| 1位 | 金沢市 | 22,406円 |
| 2位 | 富山市 | 21,750円 |
| 3位 | 名古屋市 | 21,079円 |
| 4位 | 山形市 | 21,005円 |
| 5位 | 静岡市 | 20,969円 |
| 6位 | 岐阜市 | 19,943円 |
| 7位 | 堺市 | 19,433円 |
| 8位 | 相模原市 | 18,728円 |
| 9位 | 高知市 | 18,691円 |
| 10位 | 宇都宮市 | 18,682円 |
| (参考) | 全国平均 | 16,577円 |
1位の金沢市と2位の富山市はどちらも日本海に面した街で、その差はわずか656円。5位の静岡市、9位の高知市も水揚げのある港を抱える街です。産地が近いことは、素材の鮮度だけでなく「外で寿司を食べる」という習慣そのものを日常寄りにするのだろう、というのが編集部の見立てです。
一方で、3位の名古屋市、7位の堺市、8位の相模原市のように、海の近さだけでは説明しにくい街も上位に入っています。すしは全国平均が16,577円と外食の中でも大きい品目で、1位と10位の差も約3,700円。どの街でもよく食べられている「全国区の外食」という性格がうかがえます。
淡路島で寿司店「寿司一」を営む岩井文吾さんは、料理人だった父の姿を見て育ち、京都での下積みを経て店を継ぎました(淡路島の寿司「寿司一」とは?吉本を目指した青年が継いだ、地産地消の握り)。産地と店と職人がひと続きになっている街ほど、この数字は伸びやすいのかもしれません。
焼肉1位は高知市 全国平均の2.3倍
焼肉の上位10市です。
| 順位 | 都市 | 年間支出額 |
|---|---|---|
| 1位 | 高知市 | 19,541円 |
| 2位 | 大分市 | 13,960円 |
| 3位 | 堺市 | 13,132円 |
| 4位 | 岡山市 | 12,124円 |
| 5位 | さいたま市 | 11,517円 |
| 6位 | 高松市 | 11,466円 |
| 7位 | 名古屋市 | 11,329円 |
| 8位 | 富山市 | 11,294円 |
| 9位 | 山形市 | 11,064円 |
| 10位 | 大津市 | 10,539円 |
| (参考) | 全国平均 | 8,444円 |
高知市の19,541円は全国平均の約2.31倍で、2位の大分市とも5,581円の開きがあります。9品目の1位と2位の差を編集部で比べたところ、最も開きが大きいのは日本そば・うどん(高松市は2位の静岡市の約1.51倍)、次いでこの焼肉(高知市は大分市の約1.40倍)でした。逆に喫茶代・ハンバーガー・すし・和食は1位と2位がほぼ横並びです。
高知市は飲酒代でも4位(28,541円)に入っています。焼肉と酒がそろって上位という組み合わせは、宴席の文化が日常に根づいている街の姿を素直に映しているように見えます。高知県は生姜の生産量が国内1位でもあり、その生姜を昭和25年から扱ってきた株式会社あさのは、自社ブランド商品づくりに乗り出しました(老舗の生姜屋が挑む自社ブランド商品!クラフトジンジャーが支持を集める理由とは?)。
肉そのものを扱う側から見ると、この品目は「回数」より「質」で金額が動きます。創業明治19年の「うし源本店」は、A5ランクの大和榛原牛だけを扱う方針を代々続けてきました(高品質和牛ブランド「大和榛原牛」品質を追い求めてきた「うし源本店」のこだわりとは?)。同じ「焼肉に使う1万円」でも、街によって中身は違うはずです。
喫茶代1位は名古屋市 2位の東京都区部との差は161円
喫茶代の上位10市です。
| 順位 | 都市 | 年間支出額 |
|---|---|---|
| 1位 | 名古屋市 | 16,431円 |
| 2位 | 東京都区部 | 16,270円 |
| 3位 | 岐阜市 | 14,663円 |
| 4位 | さいたま市 | 13,941円 |
| 5位 | 千葉市 | 12,899円 |
| 6位 | 川崎市 | 12,881円 |
| 7位 | 横浜市 | 12,765円 |
| 8位 | 京都市 | 12,758円 |
| 9位 | 相模原市 | 12,325円 |
| 10位 | 奈良市 | 11,668円 |
| (参考) | 全国平均 | 10,261円 |
名古屋市が16,431円で1位、東京都区部が16,270円で2位。その差はわずか161円です。名古屋の喫茶文化はよく知られていますが、数字の上では東京都区部とほぼ互角で、名古屋を上位たらしめているのは「量」というより「東海圏でそろって高いこと」だと分かります。3位に岐阜市(14,663円)が入り、名古屋市・岐阜市の2市が全国平均を4,000円以上上回りました。
上位10市の顔ぶれは、名古屋市・岐阜市の東海圏が2市、東京都区部・さいたま市・千葉市・川崎市・横浜市・相模原市の首都圏が6市、京都市・奈良市の近畿圏が2市。三大都市圏だけで埋まりました。喫茶代は「打ち合わせ」「待ち合わせ」といった用途と結びつきやすく、人の移動が多い街ほど積み上がるのだろうと考えられます。
コーヒーを産業として支える側の話も、Shikisaiでは伺っています。UCCコーヒーアカデミー学長の川口雅也さんと東京校責任者の土井克朗さんは、コーヒーを「感覚」ではなく「学び」として体系化してきた取り組みを語ってくれました(感覚ではなく、学びとしてのコーヒーへ。アカデミーが描く人材育成の形 / UCCコーヒーアカデミー)。
和食は岐阜市 洋食は宇都宮市——同じ「食事代」でも重心が違う
金額の大きい2品目、和食と洋食の上位5市を並べます。
| 順位 | 和食 | 金額 | 洋食 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 岐阜市 | 42,533円 | 宇都宮市 | 22,654円 |
| 2位 | 佐賀市 | 41,245円 | 横浜市 | 19,902円 |
| 3位 | 名古屋市 | 39,124円 | 名古屋市 | 19,733円 |
| 4位 | 高松市 | 37,655円 | 京都市 | 19,706円 |
| 5位 | 静岡市 | 37,622円 | 東京都区部 | 19,627円 |
| (参考) | 全国平均 | 26,615円 | 全国平均 | 13,378円 |
和食は1位の岐阜市が42,533円で、全国平均の約1.60倍。2位の佐賀市とは1,288円差の接戦です。岐阜市は喫茶代でも3位に入っており、和食と喫茶という組み合わせで外食費を積み上げている街だと分かります。
洋食の1位は宇都宮市の22,654円で、全国平均の約1.69倍。冒頭で触れた「総額8位」の理由がここにあります。宇都宮市は洋食1位に加えて、中華そば4位(13,592円)、すし10位(18,682円)、和食9位(32,241円)、日本そば・うどん4位(10,233円)と、複数の品目でまんべんなく上位に入っている街なのです。ひとつの名物ではなく、外食全体の層が厚い。総額ランキングで政令指定都市に混じって8位に入るのは、この幅の広さの結果でしょう。
料理を中心に据えた滞在という形もあります。岐阜・高山市のオーベルジュ飛騨の森でオーナーシェフを務める中安俊之さんは、料理を起点に人が集まる場のつくり方を語っています(なぜオーベルジュ飛騨の森は、ゴキゲンなのか。|料理人・中安俊之)。
ハンバーガー1位は那覇市 うどん1位は高松市
最後に、街の性格がそのまま出た2品目です。上位5市を並べます。
| 順位 | ハンバーガー | 金額 | 日本そば・うどん | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 那覇市 | 8,417円 | 高松市 | 17,704円 |
| 2位 | 大分市 | 8,213円 | 静岡市 | 11,718円 |
| 3位 | 徳島市 | 8,098円 | 山形市 | 10,980円 |
| 4位 | 高知市 | 8,074円 | 宇都宮市 | 10,233円 |
| 5位 | 熊本市 | 7,922円 | 名古屋市 | 9,753円 |
| (参考) | 全国平均 | 6,446円 | 全国平均 | 7,467円 |
ハンバーガーの1位は那覇市の8,417円。ただし全国平均比は約1.31倍で、9品目の中では最も差が小さい品目でした。上位5市のうち4市が九州・四国の街という並びも、この品目の特徴です。沖縄県久米島で車海老を使ったガーリックシュリンプを出すアメリカンカフェ YUNAMI FACTORYのように、地元の素材とアメリカ由来の食のかたちが自然に混ざっている店も生まれています(沖縄県久米島で地産地消、海老の甘味とガーリックオイルが香る アメリカンカフェ YUNAMI FACTORYのこだわり)。
対照的なのが日本そば・うどんです。高松市の17,704円は全国平均の約2.37倍、2位の静岡市を約1.51倍引き離しました。この1位と2位の開きは9品目中で最大です。うどんが日常の食事として定着している街では、外食1回あたりの単価が低くても回数が積み上がり、結果として金額でも突出する——そう読むのが自然でしょう。
この数字を読むときの4つの注意点
被リンクや引用で使っていただくために、前提を明記しておきます。
- 「県」ではなく「市」のランキングです。家計調査の品目別ランキングの対象は、都道府県庁所在市および政令指定都市の52市。「石川県が1位」ではなく「金沢市が1位」が正確な言い方です。
- 二人以上の世帯の、1世帯当たり年間支出金額です。世帯人員の違いや物価水準の差も金額に含まれます。1人当たりの消費量そのものではありません。
- 2023〜2025年の3か年平均です。単年の数字は標本の偏りで動きやすいため、家計調査のランキング表は3か年平均で公表されています。
- 金額であって回数ではありません。単価の高い店が多い街は、食べる回数が同じでも金額が伸びます。この記事で「よく食べる」ではなく「お金を使う」と書いているのはそのためです。
同じ家計調査を使った記事として、パンにお金を使う街ランキング1位は神戸市とラーメンに一番お金を使う街はどこかも公開しています。家庭で買う主食と、外に食べに行く外食。両方を並べると、街ごとの食の輪郭がもう少しはっきりしてきます。
出典
- 総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)」 https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
- 使用した表: 外食(rank13.xlsx)/データ取得日: 2026年8月31日
- 全国平均比・1位と2位の倍率・総額順位との比較は、上記の公表値をもとにShikisai編集部が計算しました。
この記事を書いた人

Shikisai編集部
「ありのままの想いが地域と未来を紡ぐ」をコンセプトに、地域で働く経営者の想いと取り組みを取材・発信しているWebメディアです。補助金・認証制度などの記事は、行政機関の公表情報(一次情報)を編集部が確認のうえ執筆しています。
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