ラーメン好きの多い街はどこか——。この問いには、実は国の統計で答えが出せます。総務省統計局の家計調査には「中華そば(外食)」という品目があり、都市ごとの1世帯当たり年間支出額が毎年公表されているからです。
結論から言うと、2023〜2025年平均の1位は山形市の21,695円。全国平均8,752円の約2.5倍で、2位の新潟市(16,863円)にも1.3倍近い差をつけた、他の品目ではなかなか見ない「独走」です。
この記事では、ランキングの中身と、なぜ東北・北信越の街が上位を占めるのかを、数字をもとに読み解きます。
目次
ラーメン外食費ランキング【2023〜2025年平均】
家計調査(二人以上の世帯)の「中華そば(外食)」年間支出額の上位15都市です。対象は都道府県庁所在市と政令指定都市なので、「県」ではなく「街」のランキングであることに注意してください。
| 順位 | 都市 | 年間支出額 |
|---|---|---|
| 1位 | 山形市 | 21,695円 |
| 2位 | 新潟市 | 16,863円 |
| 3位 | 仙台市 | 14,207円 |
| 4位 | 宇都宮市 | 13,592円 |
| 5位 | 富山市 | 13,507円 |
| 6位 | 福島市 | 13,031円 |
| 7位 | 秋田市 | 11,919円 |
| 8位 | 盛岡市 | 11,244円 |
| 9位 | さいたま市 | 11,134円 |
| 10位 | 長野市 | 10,683円 |
| 11位 | 高知市 | 10,544円 |
| 12位 | 名古屋市 | 10,310円 |
| (参考) | 全国平均 | 8,752円 |
全52都市の最下位は神戸市の4,810円。1位の山形市とは約4.5倍の開きがあります。同じ日本で、ラーメンへの支出がここまで違うというのは、それ自体が面白い発見です。
上位10都市のうち8つが東北・北信越
このランキングでまず目を引くのは、地域の偏りです。上位10都市を数えると、東北が5つ(山形・仙台・福島・秋田・盛岡)、北信越が3つ(新潟・富山・長野)。雪国の街が上位をほぼ独占しています。
寒い季節が長い地域ほど、あたたかい麺類が生活に根づきやすいというのは直感に合う説明です。ただ、それだけでは山形市の「独走」までは説明できません。同じ雪国の青森市や札幌市よりも頭一つ抜けているからです。
山形については、ラーメンが「外食の定番」として世代を問わず定着していることがよく指摘されます。家族の集まりや来客のもてなしでラーメン店の出前を取る文化、夏には「冷やしラーメン」を出す店があることなど、季節を問わずラーメンを食べる習慣がある土地柄です。実際、山形市は夏の暑さでも知られる街で、冬だけの需要では説明のつかない支出額になっています。
なお、家計調査は「中華そば」と「日本そば・うどん」を別の品目として集計しています。山形市は日本そば・うどんの外食でも全国3位(10,980円)に入っており、「麺類全般にお金を使う街」であることも数字から読み取れます。
下位に並ぶのは西日本の街
一方、ランキングの下位はどうでしょうか。最下位の神戸市(4,810円)、51位の長崎市(4,821円)、50位の松山市(5,501円)と、下位には西日本の街が並びます。
これはラーメン人気が無いというより、外食の選択肢の構図が違うと読むほうが自然です。神戸なら洋食や中華、長崎ならちゃんぽん・皿うどんと、それぞれの街に「麺を食べたいときの定番」が別にあります。実際、長崎のちゃんぽんは家計調査上「中華そば」ではなく別品目に含まれるため、この数字には計上されません。ランキングの下位は「ラーメン不毛の地」ではなく、その街の外食文化の個性を映す鏡でもあるわけです。
意外なところでは、「ラーメンの聖地」のイメージが強い札幌市が37位(7,627円)と、全国平均を下回っています。種明かしをすると、家計調査が数えるのはその街に住む世帯の支出だけ。観光客が味噌ラーメンをどれだけ食べても、札幌市の数字には入りません。ご当地グルメの「知名度」と、地元の人の「日常の食卓」は別物だということを、この統計は教えてくれます。
もうひとつ面白いのは4位の宇都宮市。「餃子のまち」として知られますが、ラーメンでも全国4位(13,592円)に入っています。餃子とラーメンを一緒に頼む食べ方を思い浮かべると、この順位には妙な説得力があります。
山形市の21,695円は「何杯分」か
年間21,695円という数字は、体感に直すとどれくらいでしょうか。仮に1杯800円とすれば年間27杯、およそ2週間に1杯強のペースです。これは「二人以上の世帯」の支出なので、家族で出かければ回数はもっと少なくても届きますが、全国平均(8,752円=同じ仮定で年11杯)との差は歴然です。
しかもこれは外食だけの数字。家で食べるカップ麺・袋麺は別品目なので、山形の食卓に上るラーメンの総量は、この数字よりさらに多いはずです。
「街」の数字であって「県」の数字ではない——読み方の注意
このランキングを使うときに気をつけたいポイントを3つ挙げておきます。
第一に、対象は都道府県庁所在市と政令指定都市です。 たとえば「栃木県民より山形県民のほうがラーメンにお金を使う」とは、この数字だけからは言えません。あくまで山形市と宇都宮市の比較です。
第二に、これは「外食」の支出だけです。 カップ麺や袋麺は「即席麺」という別の品目で集計されているため、家でラーメンをよく食べる街は、この数字には表れません。
第三に、3か年平均である点です。 単年のランキングは順位の入れ替わりが起きやすいため、この記事では2023〜2025年の平均値を使っています。年ごとの細かい変動を見たい場合は、出典の統計局ページで単年データも確認できます。
統計は、こうした「集計の約束ごと」を押さえて読むと、ぐっと信頼できる道具になります。
ラーメン消費日本一の街・山形で商売をする人たち
Shikisaiは、この「ラーメン日本一の街」がある山形の事業者を取材してきました。ラーメンではなくても、地域の食文化や暮らしに向き合う経営者の話は、この土地の空気を知る手がかりになります。
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飲食に限らず、地域で商売をする人の「なぜこの街でやるのか」という話は、統計の数字の裏側にある暮らしを教えてくれます。
出典と注記
- 出典:総務省統計局 家計調査 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)(取得日:2026/08/26)
- 数値は二人以上の世帯の1世帯当たり年間支出金額。品目は「中華そば(外食)」。
- 対象は都道府県庁所在市および政令指定都市であり、県全体の数字ではありません。
- 本記事は公表された統計数値のみを掲載しており、順位・金額の解釈は編集部によるものです。
この記事を書いた人

Shikisai編集部
「ありのままの想いが地域と未来を紡ぐ」をコンセプトに、地域で働く経営者の想いと取り組みを取材・発信しているWebメディアです。補助金・認証制度などの記事は、行政機関の公表情報(一次情報)を編集部が確認のうえ執筆しています。
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