「全てご縁です。」勝手に上山観光大使!? 文房具好きによる文房具好きのための文房具店、”おかぶん”の実体


おかげさま文房具店 店主 土屋 稚 WAKA TSUTIYA

山形県上山市の一角に、秘密基地のような文房具店があるのをご存知ですか?首都圏のポップアップなどにも精力的に参加されているので、もしかしたらあなたもどこかで名前を見かけたことがあるかもしれません。ここは「おかげさま文房具店」。キュートなおかっぱ頭がトレードマークの、店主土屋さんが迎えてくれるこだわりいっぱいの文房具店です。地元上山の旅館とコラボした月をイメージしたインクなどを販売しています。

全てご縁なんです。繋がりが生んだ大人気商品

ーさっそくですが、オンラインショップで商品拝見しました。全部かわいくて選べな
いのですが、一部有名なイラストレーターさんともコラボされていますよね。


土屋さん:はい、うちの大人気のラインですね。mizutamaさんとコラボした新発売のマスキングテープは予想以上の勢いで売れていて、発送が追いつかないほどで。mizutamaさんとの出会いはお店を始める前に遡るんですが、とある文房具イベントでサインをいただいてからお話しするようになりました。
その後、山形の文房具好きで集まりたいなぁって思ったタイミングがあって、山形文房具会を作ったんですけれど。呼びかけて8人くらい集まった中の一人がmizutamaさんだったんです。その後おかぶんを始めるタイミングでまたお話しさせていただいて、オープン記念のオリジナル商品で初コラボさせてもらいました。これも大好評でした。

あとは…このロゴマークって、何の形かわかりますか?

土屋さん:私の文房具好きを昔から知るデザイナーの友人が作ってくれて。上から見るとえんぴつの形をしているんです。さすが私の好みを知り尽くしていて、かなり気に入っています。こんな形で、本当に色々な人とのご縁で今の形になっていますし、毎日みなさんに感謝してお店を続けていきたいです

ーなるほど、子供の頃から文房具がお好きだったんですね。初めて見た時、すごく優
しそうなロゴだなと感じました。「おかげさま」という店名にもその面影がありま
すよね。


土屋さん:そうですね、「おかげさま」というこの言葉が大好きで、周囲への感謝を忘れずにやっていくという意味で名付けました。オンラインショップで購入してくれる人にも感謝の気持ちは絶対に伝えたいので、全部手書きのお手紙を入れるようにしています。

ー手書きはすごいですね。お一人でやられていると、かなりのご負担ががあるように
思いますが、苦ではないですか?


土屋さん:もちろん大変ではありますが、苦ではないですね。やりたいからやっているし、それがお店に足を運んでくれるきっかけになったら嬉しいです。お店をやっていると、見えないものの繋がりがすごくあるなあと感じていて。同じ文房具を見ても、子供が「何これー!」と言っている横で、お父さんお母さんは「タイムスリップしたみたい。。」と目をキラキラさせている。そこからまた新しい会話が生まれて、、って、そんな場面を見るとお店の端っこでニヤニヤしちゃいますね。こういうのはオンラインではわからないですし、人との繋がりはそういうところでも大切にしていきたいと思っています。

古いものが好きなんです
懐かしい、廃番しちゃったもう買えない文房具とかが好きで。
それを見てるお客さんのお話を聞くのも楽しいですね。


「ただ文房具が好きなだけじゃだめですか?」おかぶん開店秘話

上山で文房具店を開くに至ったきっかけは何ですか?

土屋さん:昔から文房具が大好きで。子供時代には100個ペンケースを持っていた時もありました。前職は介護福祉士だったんですが、子供が生まれて専業主婦になって、ふとまだ働きたいなと思った時に、当たり前のように文房具店を開こうと思いました。ちょうど家の物置小屋も使えそうだったので、その勢いで商工会の相談所に行ったら、「やべぇ人きた!」ってざわざわしてましたね。笑 補助金などの利用にあたって色々制約がある中で、「ただ文房具が好きなだけじゃダメですか?」ってマインドで開店まで全部楽しく挑戦しました。なる!って思ったらなるんです。

地元が好きすぎて、#勝手にかみのやま観光大使

Twitterで「#勝手にかみのやま観光大使」として活動されていますよね。文房具の情
報はもちろんですが、このハッシュタグがついた投稿もすごく面白くて、つい遡っ
て読み込んじゃいました。土屋さんと上山とは、どんなご縁なんですか?


土屋さん:生まれも育ちも上山で、大学で仙台に通っていた以外は離れたことがないんです。勝手にかみのやま観光大使 は私が作ったハッシュタグで、ふとした時につけています。最近では私以外にも使ってくれている人が二人ほどいて、上山を知らない人にも楽しく見てもらえたら嬉しいです!実は上山市長から3回くらい観光大使としてのお話しをいただいたこともあるんですが、やっぱり自分で自由にやるのが好きで。お店もイベントもそうですが、本当に、やりたいことをやってるだけなんですよ。笑 上山の外に出たいと思ったこともないし、これからも離れるつもりはありません。

実はこのハッシュタグを使ってくれている「ごりらのすみ家(@gorilla_no_sumika)」さんは知り合いなんです。カラフル4匹のゴリラがストレッチ教室をしたりする、ユニークなお取り組みで・・・ついに先日、文房具でコラボしちゃいました。笑 セレクトもですが、好きがこうじて文房具作りのアドバイスやその販促支援まで手がけていたりします。


土屋さんの文房具コミュニティでの影響力はかなりすごそうですね。笑
主催のイベントもされていますよね。最高時は1000人近く来場者数があるとか。


土屋さん:はい、年に2回”かみぶんフェス”をしています。私にとっては上山から文房具を発信することに意味があって。「上山に面白れぇお店あるじゃん!」って思ってもらいたいですね。最近は上山に新しいお店も増えてきたと感じます。地元の若い人も含めて、上山をどんどん盛り上げていきたいです。

ー市長からお声がけもあるほどですから、おかぶんさんの地元への貢献度はきっと計り知れないものがあるんでしょうね。上山での展開も含め、今後のビジョンなどはありますか?

土屋さん:ビジョンって特に無いんです。本当にやりたいことをやって、今目の前にあることを大切にしています。でも、だからこそ、ポップアップやコラボ商品などにフットワーク軽く取り組めますし、今の所後悔したことは無いです。大好きな文房具を通じて皆様に感謝の気持ちを還元しながら、地元を盛り上げていけたら、私らしくて良いなと思います。

編集後記
誰でも子供の頃から身近な文房具。私はとりあえず可愛い!と思ったら集めてしまうたちで、今回の取材もとても楽しみにしていました。土屋さんに取材させていただいて、一番「ほぉ」っとなったのは「文房具で人が繋がる」というお話し。たしかに、お母さんの子供の頃のお道具箱を掘り出したら、私も持っているサクラのクレパスが入ってた、なんてことがありました。昨今のレトロブームで、昔ながらのものを目にする機会が増えましたが、文房具はその象徴的な存在とも言えます。愛に溢れる土屋さんがセレクトし、時には作ってしまった心踊る文房具たちを、あなたもぜひオンラインショップからお迎えしてみてください。

Profile

おかげさま文房具店 店主

土屋 稚 WAKA TSUTIYA