ヨーグルト代は牛乳代の89%まで来ていた 10市では逆転し、1位は水戸市の1.19倍【家計調査】

ヨーグルト代は牛乳代の89%まで来ていた 10市では逆転し、1位は水戸市の1.19倍【家計調査】

冷蔵庫の中で、牛乳とヨーグルトはどちらが主役でしょうか。「飲むのが牛乳、おまけがヨーグルト」という順番で考える人は多いと思います。筆者もそう思っていました。

ところが総務省統計局の家計調査から、家庭が1年間に乳卵類(牛乳・乳製品・卵)へ使ったお金を52市ぶん並べ直すと、順番はかなり入れ替わっていました。全国平均で牛乳15,836円に対してヨーグルト14,105円。すでに牛乳代の0.89倍まで来ています。

そして52市のうち10市では、ヨーグルト代が牛乳代を上回っていました。いちばん差が開いていたのは水戸市で1.19倍(ヨーグルト17,665円・牛乳14,872円)。甲府市・前橋市・福島市・高知市・山形市・岐阜市・静岡市・さいたま市・盛岡市が続きます。

さらに踏み込むと、もっと強い共通点が出てきました。乳製品を5区分(粉ミルク・ヨーグルト・バター・チーズ・他の乳製品)に割ると、52市すべてで最大はヨーグルト。例外はひとつもありません。この記事では52市ぜんぶの金額と、ヨーグルト・チーズ・卵がそれぞれ別の地図を描いていたところまで載せます。

まず結論:乳卵類の内訳は「乳製品45.7%・牛乳29.8%・卵24.5%」

家計調査の「乳卵類」は、二人以上の世帯が1年間に家庭で買った牛乳・乳製品・卵の合計です。外食や給食で口にした分は入りません(外食側は外食にお金を使う街ランキングと外食費で最大の費目は「その他の食事」だったにまとめています)。

全国平均53,146円の中身は、3本柱でこうなっています。

  • 乳製品 24,283円(45.7%)
  • 牛乳 15,836円(29.8%)
  • 卵 13,027円(24.5%)

そして乳製品24,283円の内訳が、この記事の出発点です。

  • ヨーグルト 14,105円(乳製品の58.1%)
  • チーズ 7,077円(29.1%)
  • バター 1,368円(5.6%)
  • 粉ミルク 938円(3.9%)
  • 他の乳製品 794円(3.3%)

ヨーグルト1品目で乳製品の6割近く。しかも牛乳という単独の大費目に、1品目で0.89倍まで迫っています。乳卵類を「牛乳・卵・その他」と3つに分けて考えるより、「牛乳・ヨーグルト・卵・チーズ」の4本柱で見たほうが実態に近い、ということになります。

52市すべてで、乳製品の最大費目はヨーグルトだった

まず押さえておきたいのは、ここに地域差がまったく無いことです。

  • 乳卵類の3本柱で最大なのは、52市すべてで乳製品(牛乳が最大の市は0、卵が最大の市も0)
  • 乳製品5区分で最大なのは、52市すべてでヨーグルト(チーズが最大の市は0)

肉類の記事では「52市のうち50市で豚肉が最大、2市だけ牛肉」という2市の例外があり、魚介類の記事では「街いちばんの魚」が10市に分かれました。乳製品は52市対0市。食卓の品目としては、かなり珍しい全会一致です。

地域差は「どれが1位か」ではなく、その1位がどれだけ突き抜けているかに出ます。乳製品に占めるヨーグルトの比率を見ると、上は盛岡市63.2%・前橋市62.8%・松山市62.7%・水戸市62.3%・福井市62.3%、下は札幌市50.3%・那覇市52.0%・福岡市53.0%。最大でも6割強、最小でも5割という幅の中で、全市がヨーグルトを1位に置いています。

ヨーグルト代が牛乳代を上回った10市

ここが今回いちばんの発見です。ヨーグルト支出額を牛乳支出額で割った比率を52市で並べ、1.00倍を超えた市を抜き出しました。

順位市ヨーグルト牛乳ヨーグルト÷牛乳乳製品に占めるヨーグルト
1水戸市17,665円14,872円1.188倍62.3%
2甲府市14,736円13,556円1.087倍58.1%
3前橋市15,687円14,547円1.078倍62.8%
4福島市16,160円14,998円1.077倍61.0%
5高知市13,066円12,129円1.077倍60.9%
6山形市17,109円16,033円1.067倍61.6%
7岐阜市14,355円13,859円1.036倍61.0%
8静岡市14,080円13,651円1.031倍57.1%
9さいたま市17,175円16,830円1.020倍58.8%
10盛岡市15,778円15,578円1.013倍63.2%

全国平均は0.89倍なので、この10市は平均から見ても外れています。並べてみると、関東北部から東北・甲信にかけての内陸と、高知市という顔ぶれです。水戸市・前橋市・甲府市・福島市・山形市・盛岡市・さいたま市・静岡市・岐阜市。

逆にヨーグルトより牛乳のほうが大きい側の上位は、和歌山市0.664倍・京都市0.667倍・鳥取市0.715倍・奈良市0.733倍・宮崎市0.755倍と、西日本と山陰が並びます。乳卵類の総額ランキングでは奈良市が2位・京都市が10位と上位にいるので、「お金を使っていない」わけではありません。同じ予算を牛乳に寄せているという配分の違いです。

乳卵類の支出額ランキング52市ぜんぶ

総額の1位はさいたま市の58,813円。全国平均の1.11倍です。奈良市58,722円、東京都区部58,506円、名古屋市58,368円が続き、上位4市は445円の幅に収まりました。1位と2位の差はわずか91円です。

順位市乳卵類の年間支出額全国平均比牛乳乳製品卵ヨーグルト÷牛乳
1さいたま市58,813円1.11倍16,830円29,226円12,757円1.02倍
2奈良市58,722円1.10倍19,422円24,667円14,633円0.73倍
3東京都区部58,506円1.10倍16,443円29,613円12,450円0.97倍
4名古屋市58,368円1.10倍18,103円26,768円13,497円0.86倍
5浜松市57,274円1.08倍16,988円26,623円13,663円0.94倍
6川崎市57,077円1.07倍16,329円28,707円12,041円0.95倍
7千葉市56,873円1.07倍16,535円27,476円12,862円0.96倍
8神戸市56,432円1.06倍18,063円24,275円14,094円0.78倍
9横浜市56,348円1.06倍16,755円26,944円12,650円0.87倍
10京都市56,180円1.06倍18,947円23,276円13,956円0.67倍
11福島市56,133円1.06倍14,998円26,490円14,644円1.08倍
12山形市56,116円1.06倍16,033円27,785円12,297円1.07倍
13相模原市56,099円1.06倍16,303円26,607円13,188円0.92倍
14大津市56,010円1.05倍17,835円24,407円13,768円0.78倍
15岡山市55,637円1.05倍18,042円24,371円13,225円0.81倍
16水戸市55,572円1.05倍14,872円28,338円12,361円1.19倍
17堺市55,391円1.04倍17,493円23,593円14,305円0.80倍
18新潟市55,277円1.04倍16,020円25,971円13,286円0.97倍
19富山市54,442円1.02倍16,933円24,988円12,521円0.91倍
20広島市54,369円1.02倍16,470円23,970円13,929円0.86倍
21鳥取市54,348円1.02倍18,146円20,940円15,262円0.71倍
22仙台市54,102円1.02倍15,100円26,198円12,805円0.99倍
23津市53,458円1.01倍16,162円23,765円13,530円0.92倍
24松江市53,286円1.00倍17,152円22,823円13,310円0.81倍
25長野市53,278円1.00倍16,614円24,303円12,362円0.81倍
26山口市52,581円0.99倍16,585円22,584円13,411円0.84倍
27岐阜市52,233円0.98倍13,859円23,545円14,829円1.04倍
28徳島市52,133円0.98倍16,515円23,233円12,385円0.81倍
29大阪市51,927円0.98倍15,561円22,911円13,454円0.84倍
30盛岡市51,794円0.97倍15,578円24,975円11,241円1.01倍
31甲府市51,654円0.97倍13,556円25,343円12,754円1.09倍
32宇都宮市51,603円0.97倍15,293円24,866円11,445円0.94倍
33高松市51,275円0.96倍16,274円22,266円12,735円0.83倍
34秋田市51,269円0.96倍15,151円23,414円12,705円0.92倍
35熊本市50,940円0.96倍15,161円21,146円14,633円0.77倍
36福岡市50,837円0.96倍15,045円22,754円13,038円0.80倍
37静岡市50,556円0.95倍13,651円24,675円12,230円1.03倍
38前橋市50,555円0.95倍14,547円24,997円11,010円1.08倍
39金沢市49,473円0.93倍14,057円23,430円11,987円0.93倍
40札幌市49,280円0.93倍14,015円22,768円12,497円0.82倍
41高知市49,002円0.92倍12,129円21,443円15,431円1.08倍
42福井市48,748円0.92倍14,592円21,245円12,910円0.91倍
43青森市48,422円0.91倍15,228円22,266円10,928円0.86倍
44長崎市48,265円0.91倍14,119円20,140円14,006円0.83倍
45鹿児島市47,854円0.90倍13,814円20,615円13,425円0.81倍
46北九州市47,723円0.90倍13,621円20,018円14,084円0.84倍
47和歌山市46,902円0.88倍15,229円17,268円14,405円0.66倍
48松山市46,793円0.88倍14,616円19,019円13,158円0.81倍
49那覇市46,726円0.88倍13,195円20,897円12,634円0.82倍
50佐賀市46,385円0.87倍13,547円20,232円12,606円0.91倍
51宮崎市45,372円0.85倍14,428円18,941円12,004円0.76倍
52大分市45,271円0.85倍12,455円19,592円13,225円0.93倍
-全国平均53,146円1.00倍15,836円24,283円13,027円0.89倍

総額で見ると52市の幅は1.30倍・変動係数7.2%。主食(穀類)の記事で見た1.25倍と同じく、「合計はあまり違わないのに内訳が違う」タイプの費目です。

なぜ逆転が起きるのか:ばらつきの差

逆転の理由は、区分ごとの「揺れ幅」を並べると見えてきます。

区分全国平均最大の市最大と最小の倍率変動係数乳卵類総額との相関
乳卵類53,146円さいたま市 58,813円1.30倍7.2%-
牛乳15,836円奈良市 19,422円1.60倍10.4%0.780
乳製品24,283円東京都区部 29,613円1.71倍11.7%0.843
ヨーグルト14,105円水戸市 17,665円1.75倍12.6%0.785
チーズ7,077円東京都区部 9,446円2.12倍16.0%0.672
バター1,368円京都市 1,976円2.09倍17.4%0.638
他の乳製品794円川崎市 1,243円2.47倍20.6%0.675
卵13,027円高知市 15,431円1.41倍7.7%0.141
粉ミルク938円高知市 2,039円8.36倍44.9%-0.045

読み方はこうです。

ヨーグルトは1.75倍・12.6%で、牛乳の1.60倍・10.4%より揺れが大きい。 つまりヨーグルトのほうが「街によって買い方が変わる品目」です。全国平均で0.89倍という近い位置にいて、片方だけが大きく揺れれば、揺れた側が上に出る街が必ず現れます。10市という数は、その結果として出てきた数字です。

もうひとつ効いているのが乳製品全体のまとまりの良さです。乳製品は総額との相関0.843でもっとも強く、ヨーグルトも0.785、牛乳も0.780。「乳卵類にお金を使う街」はおおむね乳製品も牛乳も多い、という素直な関係があります。その上で、ヨーグルトのほうが振れ幅が広いぶん、総額が平均並みの街(水戸市は総額16位、甲府市は31位、高知市は41位)でもヨーグルトだけが突き抜けることが起きます。

水戸市が分かりやすい例です。総額55,572円は52市の16位ですが、乳卵類に占める乳製品の比率51.0%は52市で1位。そのうえヨーグルト比率も62.3%(4位)で、二段重ねで寄せた結果が1.19倍という数字になっています。

チーズはまったく別の地図を描いていた

同じ乳製品でも、チーズはヨーグルトと別の動きをします。乳製品に占めるチーズの比率で並べると、顔ぶれが入れ替わりました。

順位市乳製品に占めるチーズチーズ支出額ヨーグルトの比率
1札幌市36.9%8,409円50.3%
2長野市35.0%8,496円55.0%
3横浜市32.6%8,772円54.0%
4福岡市32.4%7,371円53.0%
5那覇市32.2%6,723円52.0%
6東京都区部31.9%9,446円54.0%
7金沢市31.9%7,477円55.7%
8熊本市31.8%6,723円54.8%
9相模原市31.7%8,428円56.5%
10大津市31.4%7,664円57.2%

1位は札幌市の36.9%、2位は長野市の35.0%。 金額でも長野市8,496円(5位)・札幌市8,409円(7位)で、総額ランキングでは札幌市40位・長野市25位という位置にいながら、チーズだけは上位に食い込んでいます。3位以下は横浜市・福岡市・那覇市・東京都区部と、政令市・県庁所在市の大きな街が続きます。

相関で見ても別物でした。ヨーグルト×チーズは+0.597で、同時に多い傾向はあるものの一本の線には乗りません。バター×チーズは+0.529で、こちらはパンや菓子づくりの材料として一緒に動いている感じがあります。バターの1位は京都市1,976円で、乳製品に占めるバター比率8.5%も52市で最大。京都は牛乳も18,947円(2位)、牛乳の数量も80.39ℓ(2位)と、乳製品の中では「飲む・焼く」側に寄った街です。

京都産の食材でチーズケーキをつくる会社の話は、「農家さんの良い食材を発信したい」チーズケーキ専門店「ソラアオ」で聞いています。丹波栗や落花生という地域の素材と乳製品を組み合わせて新しい市場をつくった事例で、統計の「チーズ7,077円」「バター1,368円」という数字の向こう側にある仕事です。

卵は、この表の中で独立した軸だった

3本柱のうち卵だけは、ほかの数字とほとんど連動していませんでした。

  • 卵×乳卵類総額 = +0.141(ほぼ無関係)
  • 卵×乳製品 = −0.272
  • 卵×ヨーグルト = −0.223
  • 卵×チーズ = −0.317

乳製品に寄せた街と、卵に寄せた街は裏表になっている、ということです。卵自体のばらつきは1.41倍・変動係数7.7%で、乳卵類の中ではもっとも地域差が小さい区分です。どの街もだいたい同じくらい買う。だから「卵の比率が高い」は「ほかが控えめ」とほぼ同じ意味になります。

乳卵類に占める卵の比率で並べると、こうなりました。

順位市乳卵類に占める卵卵の支出額卵の数量1kgあたり
1高知市31.5%15,431円32,306g478円
2和歌山市30.7%14,405円33,180g434円
3北九州市29.5%14,084円30,138g467円
4大分市29.2%13,225円32,038g413円
5長崎市29.0%14,006円30,996g452円
6熊本市28.7%14,633円31,470g465円
7岐阜市28.4%14,829円34,727g427円
8鳥取市28.1%15,262円36,349g420円
9鹿児島市28.1%13,425円31,302g429円
10松山市28.1%13,158円32,909g400円
11佐賀市27.2%12,606円28,463g443円
12那覇市27.0%12,634円29,691g426円

1位は高知市の31.5%(卵15,431円、金額でも52市1位)。和歌山市30.7%、北九州市29.5%、大分市29.2%、長崎市29.0%と、四国・九州・紀伊半島が並びます。数量で見ると1位は鳥取市の36,349g(年間でおよそ600個ぶん)で、新潟市34,919g、岐阜市34,727gが続きました。

ここで面白いのが、金額1位の高知市と数量1位の鳥取市が別だということです。1kgあたりに直すと高知市478円・鳥取市420円で、全国平均は426円。高知市は「卵にお金を使う街」、鳥取市は「卵をたくさん買う街」と、性格が違います。

卵をつくる側の現場の話も取材しています。鹿児島県で養鶏専門の経営コンサルタントをしているKTコンサルタントの木村拓哉さんは、卵を産む鶏(レイヤー)と鶏肉になる鶏(ブロイラー)の両方を見られる立場から、同業がほとんどいない仕事について話してくれました。長野市で塾を主宰する「思考道場 楠塾」の小林良行さんは、公文式本部を経て放し飼いの自然養鶏で起業し、卵の味で評価された経験を教育のスタイルにつなげた人です。

卵を材料として使う側では、鎌倉しふぉんがベーキングパウダーを使わず卵の力だけで泡立てる製法を語っていますし、川崎の洋菓子店イルフェジュールは卵白とチョコレートを乳化させる方法に行き着いています。年間13,027円という平均値は、こういう仕事の積み重ねの上に乗っている数字です。

粉ミルクは8.36倍:家族のかたちがそのまま出る区分

乳製品5区分のうち、粉ミルクだけは性格がまったく違いました。

  • ばらつきは8.36倍・変動係数44.9%で、この表でいちばん大きい
  • 乳卵類総額との相関は−0.045で、ほぼ無関係

金額の上位は高知市2,039円・名古屋市1,858円・徳島市1,835円・鹿児島市1,832円・那覇市1,733円。全国平均は938円です。粉ミルクは乳児のいる世帯かどうかでほぼ決まる区分なので、食の好みではなく世帯構成の違いがそのまま金額に出ていると読むのが妥当でしょう。高知市が卵1位・粉ミルク1位という組み合わせで出てくるのは偶然ですが、乳製品のほかの区分(チーズ22.4%は52市で下のほう)とはまったく別の理由で動いていることは押さえておきたいところです。

なお「他の乳製品」は中身が公表されていません。2.47倍・20.6%というばらつきで、上位は川崎市1,243円・横浜市1,121円・東京都区部1,071円・京都市1,059円。生クリームや練乳などが入ると推測はできますが、公表されていないものを断定はできないので、ここでは区分名のまま扱います。

数量と単価:牛乳は1ℓいくらで買われているか

牛乳には数量(ℓ)の列があるので、金額÷数量で1ℓあたりの単価が出せます。主食の単価を比べた記事と同じ読み方です。

順位市牛乳の数量牛乳の支出額1ℓあたり
1奈良市82.73ℓ19,422円234.8円
2京都市80.39ℓ18,947円235.7円
3名古屋市78.24ℓ18,103円231.4円
4神戸市76.99ℓ18,063円234.6円
5大津市76.59ℓ17,835円232.9円
6長野市76.21ℓ16,614円218.0円
7堺市75.96ℓ17,493円230.3円
8岡山市75.29ℓ18,042円239.6円
9相模原市75.13ℓ16,303円217.0円
10さいたま市74.89ℓ16,830円224.7円
-全国平均68.33ℓ15,836円231.8円

数量の1位は奈良市の82.73ℓで、全国平均68.33ℓの1.21倍。金額でも19,422円で52市1位なので、奈良市は「牛乳をたくさん買う街」として金額・数量そろって1位でした。長野市は数量6位(76.21ℓ)に対して金額は16,614円(14位)で、1ℓあたり218.0円。相模原市の217.0円に次いで低い水準です。

52市の1ℓ単価は217.0円から277.5円の幅に収まっていて、全国平均は231.8円。1.28倍しか違いません。牛乳は品目としての規格がそろっているので、パンや麺のように単価が1.4倍以上開くということが起きにくいようです。チーズは1.24倍(100gあたり183.0円〜226.7円)、バターは1.25倍(同212.3円〜264.9円)で、こちらも似た幅でした。

牧場が自分で生乳を加工する仕事の話は、神奈川県の小野ファームで聞いています。朝しぼった生乳をすぐアイスクリームにすることで鮮度を保つという、牧場を持っているからできる作り方で、学校給食や機内食にも採用されるところまで来た会社です。千葉県君津市の風鈴堂は君津の生乳と地元の卵を使い、ソフトクリームと「きみつプリン」で売上の半分をつくっています。山形のCOZAB GELATOはイタリア仕込みのジェラートを山寺で手づくりしている店で、山形市がヨーグルト17,109円(3位)・逆転比率1.067倍(6位)という数字を出す土地であることと、どこかで地続きのように見えます。

気候や地形が商売のかたちを決めた事例を13本まとめた雪の多い土地では、夏の仕事が生まれるも、こうした地域差の背景を考えるときの参考になります。

今回の集計でわかったことのまとめ

  1. 乳卵類の内訳は全国平均で乳製品45.7%・牛乳29.8%・卵24.5%。3本柱で最大なのは52市すべてで乳製品だった
  2. 乳製品5区分で最大なのは52市すべてでヨーグルト(乳製品の58.1%)。例外は無い
  3. ヨーグルト14,105円は牛乳15,836円の0.89倍まで来ており、10市では逆転。1位は水戸市の1.19倍
  4. 逆転が起きるのはヨーグルトの揺れ幅が大きいから(1.75倍・12.6%/牛乳は1.60倍・10.4%)
  5. チーズは別の地図。乳製品に占める比率1位は札幌市36.9%、2位は長野市35.0%
  6. 卵は総額との相関+0.141でほぼ独立。乳製品とは−0.272で裏表の関係。比率1位は高知市31.5%
  7. 粉ミルクは8.36倍・変動係数44.9%で、食の好みではなく世帯構成が出る区分

「牛乳とヨーグルト、どちらが主役か」という問いは、全国平均ではまだ牛乳に軍配が上がります。ただ差は0.89倍まで縮んでいて、10市ではもう入れ替わっている。街ごとに全国平均から一番離れている食べ物を出した記事で見たように、食卓の地図は品目単位で見るとかなり違う姿をしています。乳卵類もまた、そういう表でした。

出典と注記

  • 出典:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)」の「乳卵類」表(品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング)。元ファイルは rank04.xlsx(シート名「乳卵類」)。取得日は2026年10月4日
  • 調査年:2023年(令和5年)〜2025年(令和7年)の3年平均。単年の数字ではありません
  • 対象:都道府県庁所在市および政令指定都市の52市です。都道府県の数字ではありません。たとえば「茨城県」ではなく「水戸市」、「埼玉県」ではなく「さいたま市」の数字です。この記事で「市」と書いているのはそのためです
  • 世帯:二人以上の世帯の1世帯あたり年間支出額。単身世帯は含みません。世帯人員・年齢構成・持ち家率などは市ごとに違うため、金額の差がそのまま「好み」の差とは言えません
  • 範囲:家庭で買った分だけです。外食・学校給食・職場で口にした牛乳やチーズ・卵は含まれません
  • 区分:「他の乳製品」「他の生鮮肉」と同様、中身が公表されていない区分があります。生クリームや練乳などが含まれると推測はできますが、本記事では断定せず区分名のまま扱いました
  • 編集部の計算:構成比・倍率・変動係数・相関係数・1ℓ/100g/1kgあたり単価は、公表値から編集部が計算した二次集計値です。公表値そのものではありません
  • 検算:牛乳+乳製品+卵=公表「乳卵類」と最大1円差、乳製品5区分の和=公表「乳製品」と最大2円差でした(公表値の丸めによるものです)
  • データの元になった52市ぜんぶの数値は articles/data/stats-dairy-eggs.json に保存しています

家計調査のほかの品目については、肉類・魚介類・主食(米・パン・麺)・パンの内訳でもそれぞれ52市を集計しています。

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Shikisai編集部

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「ありのままの想いが地域と未来を紡ぐ」をコンセプトに、地域で働く経営者の想いと取り組みを取材・発信しているWebメディアです。補助金・認証制度などの記事は、行政機関の公表情報(一次情報)を編集部が確認のうえ執筆しています。

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