街ごとに「全国平均から一番離れている食べ物」を出したら19品目に分かれた 1位は山形市の中華そば2.48倍【家計調査】

街ごとに「全国平均から一番離れている食べ物」を出したら19品目に分かれた 1位は山形市の中華そば2.48倍【家計調査】

ランキングはふつう、品目を決めてから街を並べます。ラーメンなら1位はどこか、パンなら1位はどこか、という読み方です。

今回はその向きを逆にしてみました。街を先に決めて、その街が全国平均からいちばん大きく離れている食べ物は何かを、52市ぜんぶについて計算したのです。使ったのは総務省統計局の家計調査(二人以上の世帯・2023〜2025年平均)の「穀類」と「外食」の表。名前のついた20品目について、市の年間支出額を全国平均で割り、いちばん倍率の高かった品目をその街の「一番」としました。

結果、いちばん離れ方が大きかったのは山形市の中華そば。全国平均8,752円に対して21,695円で、2.48倍でした。2位は高松市の日本そば・うどん(2.37倍)、3位は高知市の焼肉(2.31倍)。

そして52市の「一番」は、19種類の品目に分かれました。すし、もち、小麦粉、喫茶代、ハンバーガー。品目別のランキングでは1位の街ばかりが目立ちますが、街の側から見ると、思いがけない一品がその街の輪郭を描いていました。

なお、金額そのものの大小を見た記事は別にあります。外食の総額と品目別の1位は「外食にお金を使う街ランキング1位は東京都区部」、家で買う主食の金額は「パンにお金を使う街ランキング1位は神戸市」にまとめています。今回はそれらと同じ表を、街ごとの「偏り」という角度から読み直したものです。

52市それぞれの「一番離れている一品」一覧【2023〜2025年平均】

倍率の大きい順に52市すべてを並べました。「突出度」はその倍率の順位です。金額の大きさではなく、全国平均と比べてどれだけ離れているかを並べていることに注意してください。

突出度いちばん全国平均から離れている品目年間支出額全国平均全国平均比
1山形市中華そば(外食)21,695円8,752円2.48倍
2高松市日本そば・うどん(外食)17,704円7,467円2.37倍
3高知市焼肉(外食)19,541円8,444円2.31倍
4東京都区部飲酒代(外食)36,241円18,073円2.00倍
5新潟市中華そば(外食)16,863円8,752円1.93倍
6さいたま市飲酒代(外食)33,081円18,073円1.83倍
7熊本市飲酒代(外食)31,882円18,073円1.76倍
8福井市もち(穀類)3,057円1,787円1.71倍
9秋田市乾うどん・そば(穀類)3,943円2,325円1.70倍
10宇都宮市洋食(外食)22,654円13,378円1.69倍
11富山市もち(穀類)3,026円1,787円1.69倍
12京都市中華食(外食)8,639円5,121円1.69倍
13岐阜市中華食(外食)8,558円5,121円1.67倍
14名古屋市中華食(外食)8,551円5,121円1.67倍
15横浜市中華食(外食)8,523円5,121円1.66倍
16大分市焼肉(外食)13,960円8,444円1.65倍
17仙台市中華そば(外食)14,207円8,752円1.62倍
18長野市小麦粉(穀類)1,025円651円1.57倍
19静岡市日本そば・うどん(外食)11,718円7,467円1.57倍
20堺市焼肉(外食)13,132円8,444円1.55倍
21佐賀市和食(外食)41,245円26,615円1.55倍
22金沢市もち(穀類)2,672円1,787円1.50倍
23福島市中華そば(外食)13,031円8,752円1.49倍
24大阪市中華食(外食)7,535円5,121円1.47倍
25川崎市中華食(外食)7,420円5,121円1.45倍
26鳥取市即席麺(穀類)3,493円2,412円1.45倍
27岡山市焼肉(外食)12,124円8,444円1.44倍
28水戸市洋食(外食)19,167円13,378円1.43倍
29青森市カップ麺(穀類)8,326円5,833円1.43倍
30札幌市洋食(外食)18,638円13,378円1.39倍
31盛岡市中華麺(穀類)6,475円4,716円1.37倍
32大津市中華食(外食)7,027円5,121円1.37倍
33神戸市食パン(穀類)14,550円10,713円1.36倍
34福岡市飲酒代(外食)24,345円18,073円1.35倍
35奈良市中華食(外食)6,761円5,121円1.32倍
36浜松市米(穀類)39,473円30,111円1.31倍
37那覇市ハンバーガー(外食)8,417円6,446円1.31倍
38津市小麦粉(穀類)849円651円1.30倍
39前橋市生うどん・そば(穀類)4,751円3,777円1.26倍
40千葉市喫茶代(外食)12,899円10,261円1.26倍
41徳島市ハンバーガー(外食)8,098円6,446円1.26倍
42山口市日本そば・うどん(外食)9,162円7,467円1.23倍
43鹿児島市ハンバーガー(外食)7,849円6,446円1.22倍
44相模原市喫茶代(外食)12,325円10,261円1.20倍
45松江市即席麺(穀類)2,871円2,412円1.19倍
46広島市小麦粉(穀類)757円651円1.16倍
47北九州市日本そば・うどん(外食)8,524円7,467円1.14倍
48宮崎市米(穀類)34,346円30,111円1.14倍
49和歌山市食パン(穀類)12,050円10,713円1.13倍
50甲府市生うどん・そば(穀類)4,192円3,777円1.11倍
51長崎市米(穀類)33,398円30,111円1.11倍
52松山市パスタ(穀類)1,637円1,517円1.08倍

倍率が1.5倍以上だったのは52市のうち21市。一方で1.2倍未満の街も8市あり、街によって「どれくらい尖っているか」自体がかなり違いました。

2倍を超えたのは4市 上位3市はどれも「外で食べるもの」

全国平均の2倍を超えたのは、山形市・高松市・高知市・東京都区部の4市だけでした。

品目年間支出額全国平均比
山形市中華そば21,695円2.48倍
高松市日本そば・うどん17,704円2.37倍
高知市焼肉19,541円2.31倍
東京都区部飲酒代36,241円2.00倍

山形市の中華そばは、品目別に見ても52市中の1位です。この点は「ラーメンに一番お金を使う街はどこか」で詳しく扱いました。今回わかったのは、山形市にとって中華そばは「全国1位の品目」であると同時に、20品目のなかで自分の街をいちばん特徴づけている一品でもあるということです。山形市の2番目は乾うどん・そば(1.53倍)、3番目は日本そば・うどん(1.47倍)で、上位が麺で埋まります。麺に強い街、という言い方が数字の上でも成り立ちました。

高松市の日本そば・うどんは17,704円で、2位の静岡市(11,718円)に6,000円近い差をつけています。高松市は家で買う生うどん・そばも1.71倍で、外でも家でもうどんという構図でした。香川の食にまつわる記事としては「地域で愛されるしょうゆ豆を全国へ!3代目社長の挑戦」があります。

高知市の焼肉19,541円は、2位の大分市13,960円を大きく上回ります。高知市は飲酒代も1.58倍で2番目に高く、外で食べて飲む機会が多い街の姿が数字に出ています。高知の食材を扱う企業の話は「老舗の生姜屋が挑む自社ブランド商品!クラフトジンジャーが支持を集める理由とは?」でも紹介しています。

東京都区部の飲酒代36,241円は全国平均のちょうど2.00倍。都区部は喫茶代も1.59倍で、外で過ごす時間そのものにお金がかかる街だと読めます。

いちばん多くの街の「一番」になったのは中華食 8市はすべて三大都市圏

52市の「一番」を品目別に数えると、最も多かったのは中華食で8市。しかもその顔ぶれが、きれいに揃っていました。

中華食の年間支出額全国平均比
京都市8,639円1.69倍
岐阜市8,558円1.67倍
名古屋市8,551円1.67倍
横浜市8,523円1.66倍
大阪市7,535円1.47倍
川崎市7,420円1.45倍
大津市7,027円1.37倍
奈良市6,761円1.32倍

8市すべてが、京阪神・中京・京浜のいずれかに属します。東北にも九州にも中華食を「一番」とする街はありませんでした。

家計調査の「中華食」は、中華そば(ラーメン)とは別立ての費目です。ラーメン店以外の中華料理店での食事がここに入ります。全国平均は5,121円と、外食のなかでは小さい費目ですが、大都市圏では横並びに1.3〜1.7倍へ持ち上がっていました。中華街のある横浜市・大阪市はもちろん、内陸の岐阜市・大津市・奈良市まで同じ傾向だったのが意外な点です。大都市圏は通勤圏が広く、昼食を外で取る回数が多い。その受け皿として中華料理店が厚い、という説明が素直でしょう。

品目別の1位は京都市の8,639円ですが、2位の岐阜市・3位の名古屋市・4位の横浜市とは100円ほどの差しかありません。中華食は「1位の街」がある品目ではなく、「大都市圏という帯」がある品目でした。

北陸3市はそろって「もち」だった

今回いちばん驚いたのがここです。北陸の県庁所在市3つ——福井市・富山市・金沢市のすべてで、20品目のなかで最も全国平均から離れていたのが「もち」でした。

もちの年間支出額全国平均比その街の2番目
福井市3,057円1.71倍乾うどん・そば(1.16倍)
富山市3,026円1.69倍中華そば(1.54倍)
金沢市2,672円1.50倍すし(外食)(1.35倍)

もちの全国平均は1,787円。外食の品目にくらべれば小さな金額です。にもかかわらず、北陸3市ではこの小さな費目が、米でもパンでもすしでもなく、その街をいちばん特徴づける一品になっていました。もちの品目別ランキングでも1位福井市・2位富山市・3位金沢市と、上位3つを北陸が占めています。

家で買う穀類の金額そのものは「主食は1kgいくらか」で単価まで分解しましたが、そこでは見えなかった形です。金額の絶対値が小さい品目は、金額順のランキングだと表の下のほうに埋もれます。倍率で見る読み方は、小さな費目に宿った地域差を拾い上げるということがわかりました。

東北・北信越の4市は中華そば 日本海側に並ぶ

中華そばを「一番」とした街は4市。山形市・新潟市・仙台市・福島市です。品目別の上位10市を見ると、この傾向はさらにはっきりします。

順位年間支出額全国平均比
1山形市21,695円2.48倍
2新潟市16,863円1.93倍
3仙台市14,207円1.62倍
4宇都宮市13,592円1.55倍
5富山市13,507円1.54倍
6福島市13,031円1.49倍
7秋田市11,919円1.36倍
8盛岡市11,244円1.29倍
9さいたま市11,134円1.27倍
10長野市10,683円1.22倍

上位10市のうち7市が東北・北信越に集まりました。ただし宇都宮市・富山市・盛岡市は中華そばが強くても、その街の「一番」は別の品目(順に洋食・もち・中華麺)です。中華そばが強い街と、中華そばが「いちばんの特徴」になる街は、必ずしも同じではないという点は、今回の読み方でこそ見えるところでした。

山形の食まわりの記事としては「山形発のジェラート専門店。本場イタリア仕込みの石田流ジェラートとは?」も公開しています。

名前の通った20品目で、どの街の「一番」にもならなかったのは「すし」だけ

比較に使った20品目のうち、19品目がどこかの街の「一番」になりました。ならなかったのは「すし(外食)」ただ一つです。

すしが弱いわけではありません。むしろ逆で、すしの倍率が高い街は次のとおりです。

順位すし(外食)の年間支出額全国平均比その街の「一番」
1金沢市22,406円1.35倍もち
2富山市21,750円1.31倍もち
3名古屋市21,079円1.27倍中華食
4山形市21,005円1.27倍中華そば
5静岡市20,969円1.27倍日本そば・うどん

全国平均は16,577円。1位の金沢市でも1.35倍にとどまり、中華そばの2.48倍や焼肉の2.31倍のような突き抜け方をしません。すしは、どの街でもそれなりに食べられていて、街ごとの差がつきにくい品目なのです。金沢市はすしの倍率が52市で最も高い街ですが、その金沢市でさえ、もち(1.50倍)のほうが全国平均からの離れ方は大きい。すしが「地域の名物」として語られやすいわりに、家計の数字の上では全国区の食べものだったというのは、今回いちばん意外な発見でした。

喫茶代が全国1位の名古屋市が、それでも「中華食の街」になった理由

名古屋市の喫茶代は16,431円で、52市中の1位(全国平均比1.60倍)。喫茶店文化の街として語られるとおりの数字です。ところが名古屋市の「一番」は喫茶代ではなく中華食(1.67倍)でした。その差はわずか0.07ポイントです。

同じことが岐阜市でも起きています。岐阜市の和食は42,533円で52市中の1位(1.60倍)ですが、街の「一番」はやはり中華食(1.67倍)でした。

喫茶代を「一番」とした街は千葉市(1.26倍)と相模原市(1.20倍)の2市。どちらも喫茶代の品目別順位では名古屋市・東京都区部より下です。品目のなかで1位でも、その街のなかで1位とはかぎらない。逆に、品目別では目立たない街が、他の19品目が全国平均並みであるがゆえに、その一品で「一番」になることもあります。二つのランキングは別のことを測っている、ということです。

倍率が小さい街は「全国平均に近いバランス型」

表の下のほうを見ると、松山市(パスタ1.08倍)、長崎市(米1.11倍)、甲府市(生うどん・そば1.11倍)のように、いちばん離れている品目でも1.1倍前後という街があります。

これは「特徴がない」という意味ではありません。20品目のどれもが全国平均の近くに収まっている=献立の構成が全国の平均像にいちばん近い街、と読むのが正確です。1品目に大きく寄っている街と、20品目に均等に分散している街。どちらも家計の姿としては成り立ちます。

外食の内訳をさらに細かく分解した「外食費で最大の費目は「その他の食事」だった」では、名前のついた一品が強い街ほど「その他の食事」の比率が低い、という逆向きの関係を見ました。今回の結果と合わせると、街の食の個性は「何を多く食べるか」だけでなく「どれだけ一品に寄るか」という濃淡でも表せるということになります。

なぜこうなるのか 編集部の見立て

数字の背景について、統計そのものからは断定できません。そのうえで、表を通して見えた傾向を3つ挙げます。

1. 外食の品目のほうが、倍率が大きく出やすい。 52市の「一番」のうち、外食側の品目が33市、家で買う穀類側が19市でした。家で食べるものは全国どこでもスーパーの品揃えが似ているのに対し、外食は店の数と業態の構成がそのまま金額に出ます。高知市の焼肉、山形市の中華そばのように2倍を超えるのは、いずれも外食側でした。

2. 小さな費目ほど、地域差が倍率として大きく現れる。 もち(全国平均1,787円)、小麦粉(651円)、パスタ(1,517円)といった小さな費目が、北陸・長野・松山などの「一番」に立ちました。金額が小さいぶん、行事や家庭の習慣の違いが割合として拡大して見えます。長野市の小麦粉1.58倍、津市の1.30倍、広島市の1.16倍は、粉を使う家庭料理の位置づけの違いを示していそうです。

3. 隣接する街どうしは似た品目で揃う。 北陸3市のもち、東北・北信越の中華そば、三大都市圏の中華食、九州・四国南部のハンバーガー(那覇市・徳島市・鹿児島市)。県境より広い単位でまとまる品目がいくつもありました。食の地域性は都道府県ではなく、もう少し大きなブロックで動いているように見えます。

静岡市の日本そば・うどん(1.57倍)のように、街の食が店のかたちで残っている例は、Shikisaiの記事でも扱ってきました。静岡の味を東京で出す店の話は「静岡おでんの店「伊豆の味 そうだら」とは?」、喫茶・コーヒーの担い手の話は「感覚ではなく、学びとしてのコーヒーへ」にまとめています。

この数字を読むときの5つの注意

  1. 「県」の数字ではありません。 家計調査の品目別ランキングは都道府県庁所在市および政令指定都市の52市が対象です。「山形市」は山形県全体ではなく、山形市の二人以上の世帯の平均です。
  2. 「全国平均の◯倍」は編集部の計算値です。 同じ表にある市の金額を全国平均で割って求めたもので、統計局が公表している数値ではありません。小数第3位まで計算し、本文では小数第2位に丸めています。
  3. 比較したのは名前のついた20品目だけです。 合計の費目(穀類・パン・麺類・外食・一般外食・食事代など)と、分類の残りを集めた費目(他のパン・他の麺類・他の主食的外食など)は除きました。世帯の子どもの有無や自治体の徴収方法で変わる学校給食も比較から外しています。対象を変えれば「一番」が変わる街はあります。
  4. 穀類は家で買った分だけの集計です。 外食や調理済み弁当に含まれる主食は入りません。「米の支出が少ない街」が「米を食べない街」を意味するわけではないのは、このためです。
  5. 3か年の平均値です。 2023年(令和5年)〜2025年(令和7年)の平均であり、単年の順位とは一致しません。標本調査である以上、近い数字の市どうしの順位差は誤差の範囲に入ることがあります。

出典

  • 総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)」より「穀類」および「外食」の表
  • https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
  • 使用ファイル: rank01.xlsx(穀類・2026年9月10日取得)、rank13.xlsx(外食・2026年9月8日取得)
  • 本文の数値と算出過程は data/stats-city-signature-food.json に保存しています

この記事を書いた人

Shikisai編集部

Shikisai編集部

「ありのままの想いが地域と未来を紡ぐ」をコンセプトに、地域で働く経営者の想いと取り組みを取材・発信しているWebメディアです。補助金・認証制度などの記事は、行政機関の公表情報(一次情報)を編集部が確認のうえ執筆しています。

ご紹介

Profile