「農家さんの良い食材を発信したい」チーズケーキ専門店「ソラアオ」福本大二さんの想い


ソラアオ 代表 福本 大二 FUKUMOTO DAIJI

突然ですが、ソラアオのチーズケーキをご存知でしょうか?ソラアオカフェから始まり、現在はチーズケーキ専門店を運営している株式会社ソラアオ。クラウドファンディングサービス「Makuake」で丹波栗のチーズケーキ、落花生のチーズケーキが大成功し、注目を集めました。その成功の裏には、農家さんの想いや、京都産の良い食材を、広めたいという福本さんの想いがありました。今回は、そんな福本さんに起業の経緯と大成功したクラウドファンディングの裏にあった、素材にかける思いについてお話を伺ってきました。

パティシエになりたいという夢があった

—本日はお時間をいただきありがとうございます。まずはチーズケーキ専門店を始めた経緯について教えてください。

福本さん 元々学校で情報処理について学んでいたこともあり、そのままの流れでSE職に就くことになったんですが、昔からもの作りが好きで、学生時代からケーキを作ったり料理を作ったりしていて、やっぱり料理とお菓子をしたいなという夢が諦めきれなくて。3年勤めたSE職を辞めて24歳の時に一念発起をして、昼はカフェで働きながら、夜はお菓子の専門学校に通うという生活をしておりました。

—会社を実際に辞めてまで、お菓子や料理作りに取り組みたいと思った原動力はどこにあったのでしょうか?

福本さん 自分が作ったものを誰かが食べて喜んでくれるという事が、自分にとって1番の喜びで天職だと思っていました。独立するまで10年はかかると見込んでいたので、挑戦するなら早いほうがいいと思って始めました。

—その喜びを初めて感じたきっかけのようなものがあったのでしょうか?

福本さん 小さい頃ですが、両親が共働きだったので姉とご飯を作って待っていることが多かったのですが、その時に作った卵焼きであったり、スイーツでプリンを作ったり、作ったものを家族が美味しいと言って喜んでくれる。これが非常に大きかったです。

—ご家族に振る舞ったことが原体験だったのですね。専門学校を卒業してからは、どのような経緯でチーズケーキにたどり着いたのでしょうか?

福本さん はい。そこから、専門学校を卒業して、初めはパティシエをしながら、レストランでデザートや料理を作って覚えたり、パン屋でパンやピザを作ったり、お菓子を自作しながら自分の引き出しを増やしていました。独立のタイミングは、子供が産まれてから、子供がいる生活も加味した上で「ここだ!」と思っていた物件が、たまたまタイミングよくテナント募集をしていたこともあり、いましかないと思って動き始めました。最初は料理もお菓子もパンもやりたいという思いがあったのでカフェを開きました。やがて、ケーキのテイクアウトを始めるようになり、お客さんから通販でもケーキを出してほしいと言われたので通販を始めました。その時に出していたのがチーズケーキになります。

京都のチーズケーキとして出すなら尖ったものを出そうと思っていたので、関西では有名な佐々木酒造さんとケーキのコラボがしたいと思うようになりました。

佐々木酒造の純米大吟醸の酒粕を使ったチーズケーキを開発

そこで、一人では不安だったので、お世話になっている商工会議所さんに声をかけて、アポを取ってもらいました。そこで、今も販売しているプレミアムチーズケーキと日本酒チーズケーキを持っていったら、プレミアムチーズケーキは絶賛されたんですが、日本酒チーズケーキは、日本酒が素材を殺しているとご指摘をいただきました。そこで社長さんから純米大吟醸の酒粕を提供していただいて、これを使ってチーズケーキを作ってくれと言われました。そこから試行錯誤を繰り返し、生まれたのが日本酒チーズケーキになります。

—開発にはどれくらいの期間がかかったのでしょうか?

福本さん 開発には半年間ほどかかりました。そして、佐々木酒造さんとコラボしてから、催事の出展や卸の仕事をいただくようになり、京都のキヨスクさんでケーキを置くことになりました。その話が出た時くらいですかね、カフェとの両立がいよいよ難しいと思ったので、カフェは辞めてチーズケーキ専門店として始めていくことになりました。

クラウドファンディングでの成功

—そのような経緯だったのですね。チーズケーキ専門店として始められてから、どうしてクラウドファンディングを始める流れになったのでしょうか?

福本さん 最初は、京都の名だたる企業様とコラボさせていただき、ソラアオという名前を広げていたのですが、やがて直接農家さんのとこに行って材料を仕入れるようになったんです。京都市外にはまだまだ知られていない良い食材が豊富で、農家さんのところに行くうちに、お客さんに向けての発信について悩んでいるということを聞きました。どうにかチーズケーキを通して、農家さんの良い食材を発信できないか考えていくようになった時、最高に美味しい丹波栗と出会いまして、これを発信するために、クラウドファンディングを使って応援をしてもらおうと思ったんです。結果、200万円以上の応援をいただいて大成功しまして、その翌年にテレビ「ザワつく!金曜日」に栗農家の方と一緒に番組に取り上げられ大バズりし、今では予約でしか買えない商品になりました。

—農家さんの良い食材を発信するためにクラウドファンディングを利用されたのですね。落花生のチーズケーキも同じように大成功していますが、同じような経緯だったのでしょうか?

偶然の出会いを果たした神崎の希少な落花生

福本さん いえ。落花生に関しては、本当に偶然の出会いでした。京都の老舗の和菓子屋さんの銘菓に舞鶴の夏みかんが使われていることを知り、詳しくお話を聞きたかったので、夏みかんの農家の方に会いにいったんです。しかし、行ったのが夏じゃなかったので「旬じゃなくて現物が無くてね。代わりに今とれたての落花生があるから食べてみて。」と言われたので、食べてみたら美味しすぎて感動してしまいまして。これは、絶対にチーズケーキに使いたいと思いましたね。

よくよく調べていくと、落花生は知られざる舞鶴の特産で、土地柄水を吸収しない痩せた土地なんですが、痩せた土地だからこそ美味しい落花生が採れるんです。まだあまり知られていないこの素晴らしい落花生を発信する時に丹波栗のクラウドファンディングを思い出しまして、始めました。

—たまたま出会ったものだったのですね。やはり今後も地元の京都産のものにこだわって素材選びをしていく想いがあるのでしょうか?

福本さん そうですね。京都の、地元のものを使っていきたいです。昔パン屋に勤めていた時にオーナーから、高級ジャムを売り出したいから開発して欲しいと言われて、北海道から沖縄まで美味しい食材を取り寄せてというのを半年くらい開発していたんですけど、その技術もありイチゴやブルーベリーなどの果物は一度ジャムにしてからチーズケーキに使っています。また、素材を探すことがとても好きなので、まだ見ぬ隠れた素材を探しては、見つけていきたいと思っています。

—そう言った意味では福本さんは素材探しのプロとも言えますね。最後に、今後のビジョンについて教えてください。

福本さん 今後は、京都産の牛乳を使ってチーズを作り、そのチーズをもとにチーズケーキを作りたいです。現在は、牛乳は京都産のものでチーズは北海道産の物を使っています。砂糖がちょっと難しいので完全京都産で作られたチーズケーキを目指すのは難しいんですが、全て国産のもので、なるべく京都のものを使って作っていきたいと思います。

編集後記

まだあまり知られていない良い素材でチーズケーキを作り、世の中に発信していく福本さんセンスと行動力を感じることができたインタビューでした。日本にある良い素材を使った新たなチーズケーキが、素材自体の認知向上にも繋がっており、まさに新たな価値を生み出しています。ソラアオは、店舗を構えていないお取り寄せメインのお店になります。丹波栗のチーズケーキは予約必須ですが、その他のチーズケーキは下のオンラインショップからお求めいただけますのでぜひ一度食べてみてください!

Profile

ソラアオ 代表

福本 大二 FUKUMOTO DAIJI