茨城県・佐藤酒店4代目社長が挑戦する酒店の新しい形


株式会社豊栄 代表取締役 佐藤栄介 EISUKE SATO

2019年には日本最大級のサイクリングリゾートである「プレイアトレ土浦」、2023年には「イオンモール土浦」にも新店舗を出店した佐藤酒店。

2022年11月に4代目社長に就任した佐藤栄介さんは、曽祖父の代から70年以上経つ佐藤酒店に新たな風を吹き込んでいます。

今回のインタビュー記事では、地元に密着し、老舗の伝統を守りつつも新たな挑戦を続ける佐藤酒店の4代目社長・佐藤栄介さんにインタビューをさせていただきました。

ー今日は佐藤さんの人となりも含めてお話を伺っていきたいと思います。幼少期はどんなお子さんでしたか?

佐藤社長:明るく活発でリーダーシップのある幼少期だったと思います。デパートとかの子供の遊び場では、その日初めて会った子たちを仕切りまとめていたそうです笑。習い事も好きで水泳、英会話、サッカーなどを習っていました。

ー学生時代に力を入れて取り組まれていたことはありますか?

佐藤社長:サッカーは小学2年生から初めて高校3年生まで一生懸命取り組んでいました。高校3年生の時はキャプテンを務め、高校生活の全てを捧げていましたね。今でも週に2回ほどはフットサルをやるほど、サッカーはやるのも観るのも大好きです。

ーそのころのキャプテン経験が、さまざまな新しい取り組みを牽引していくリーダーシップに繋がっていそうですね。現在4代目として就任するまで、どんなお仕事をされていたのでしょうか?

佐藤社長:家業である自社への入社を志して大学を中退したので、社会人になってからはすぐに自社で働いていました。最初の数年は夜勤でカラオケのアルバイトも掛け持ちしていました。

ー家業とアルバイトの掛け持ちをしていた時期があるのですね。なかなかハードだと思いますが、それはどういったご事情だったのでしょうか?

佐藤社長:私が家業に就き始めた頃は、経営状態もかなり悪く自社からは5万円ほどのお給料しか貰えませんでした。もちろん家業ですし当時は目の前の事に一生懸命だったので不満こそありませんでしたが、まだ20歳そこそこでしたので生活費の他に遊ぶお金を稼ぐために外でアルバイトをする流れに至りました。アルバイト先がきちんとした会社で、バイトリーダーを任せられるなどここでもバイトでありながらマネジメントやサービスを学べたのも今考えれば外で学べる貴重で恵まれた環境でした。

ーなるほど、そういった厳しい時期も乗り越えられてきたのですね。

佐藤社長:はい。そこから代表取締役に就いたのは2022年の11月。2020年に父である社長が脳卒中で倒れ、それからの数年リハビリを続けてきましたが現場復帰が難しくなった事を期に代表を交代しました。

ーそういった意味では予期せぬタイミングでの社長就任だったのですね。お仕事をする中で苦労したことはありますか?

佐藤社長:修行に出ていた訳でもなかったので、自分から勉強できる環境を求めて実務を行いながら時間を見つけては他の酒屋さんや酒蔵見学、試飲会などに出向いて勉強しました。その当時は苦労とは思っていませんでしたが、今思えばあの頻度でよくやっていたと思います。

ーお酒の知識はご自身で開拓しながら身につけて行ったのですね。そういう行動をとれた原動力は何だったのでしょうか?

佐藤社長:やっぱり初代の曽祖父から紡いできた「佐藤酒店」を褒められることですね。あとはやっぱり、お客様や従業員をワクワクさせて、驚かせたり、喜んでくれた時のリアクションや”あの笑顔”はたまらないです。

ーお客様だけでなく、従業員の方も喜ばせたいという想いは本当に素敵だと思います。Tiktokを拝見すると、従業員の方達との距離の近さを感じますが、何か意識していることはありますか?

佐藤社長:お客様ファーストであることは間違い無いのですが、実は同じくらい大切にしていることがあるんです。それは自分達も含めた従業員の暮らしが豊かになる事です。それは金銭的にだけでなくメンタル的にも。そんな暮らしを楽しんでいる従業員が創り出す店づくり、接客って自然とお客様をワクワクさせますよね。

ースタッフが楽しく働くからこそ、お客様を楽しませられるということですね。佐藤酒店さんは、地元の茨城のお酒に非常にこだわっていらっしゃると思うのですが、生産者さん達との関わりはいかがでしょう?

佐藤社長:曽祖父の頃から父の代まで扱わせてもらってきた地酒の数々が、自分の代になっても扱わせてもらっている事はとても感謝しています。またそれらの既存商品も含めて新規で扱わせてもらっている商品達も造り手が世代交代をしていて、自分の同世代やお兄さんお姉さん世代の近い若手の目線でこの先長いお付き合いができる事にも期待しています。

ー関わる人たちみんなで新しい風を巻き起こしていけるといいですよね。佐藤酒店さんとして、何か新しい取り組みで行っていることはありますか?

佐藤社長:先ほども触れていただきましたが、Tiktokのアカウントを作って情報発信することにチャレンジしています。何度かバズった動画があって、周りの人から「tiktok見たよ!」と言われたり、以前は北海道に出張に行った際に話しかけられたこともあり、手応えを感じています。またオンラインショップの方もリニューアルをかけており、今後はインターネットを通して茨城の地酒を全国に発信するような役割も担っていきたいですね。

ーTiktokは200万以上再生されている動画もありますよね!「お酒に酔いにくくなる裏技」という動画、私も参考にさせていただいています(笑)

佐藤社長:ありがとうございます(笑)

ー2023年OPENのイオンモール土浦店での日本酒量り売り、2019年OPENのプレイアトレ土浦店での角打ちなど、新しい取り組みへ挑戦する姿勢を感じますが、こういったアイデアはどこから出てくるのでしょうか?

佐藤社長:基本的に常にアイデアは考えていますが、お客様の声はもちろん仕事中・出先・遊びの場など日常の様々なシーンにおいてインスピレーションをもらっています。異業種であったり離れていれば離れている程そういった環境から学ぶことはかなり多いです。そしていつもシャワーを浴びている時にそれらがまとまって閃くことが多いです。それらを相談に乗ってくれる先輩方や、体現してくれる従業員には感謝です。

ーありがとうございます。最後にこれからの展望をお聞かせください。

佐藤社長:そうですね、今度は、土浦市内でお酒に関連した拠点を増やしていきたいです。その拠点を通じて自社の発展や地域課題に取り組んでいきたいと思っています。そして、自分たちのメインである商業を通じて、農業、水産業などの一次産業に関わったり、はたまた商業として観光業などにも進出し雇用の創出や人口増加など魅力的な街づくりに直接的に関わっていきたいですね。

ーこれからより幅広い分野で佐藤酒店さんのお名前を伺う機会がありそうですね。本日はありがとうございました。今後の更なるご発展を祈念しております。

佐藤社長:本日は取り上げていただきありがとうございました!

編集後記

4代目社長の佐藤栄介さんに貴重なお時間をいただきインタビューをさせていただきました。インタビュー内でもおっしゃっていましたが、新しい取り組みをするたびに、何か1つでも工夫を凝らしてお客様やスタッフの方を楽しませようとされている姿勢が、まさに佐藤社長のお人柄から伝わってくるインタビューでした。佐藤酒店の今後に注目です!

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