外食費で最大の費目は「その他の食事」だった 全国平均54,738円・1位は東京都区部の106,115円【家計調査】

外食費で最大の費目は「その他の食事」だった 全国平均54,738円・1位は東京都区部の106,115円【家計調査】

外食の話をするとき、私たちはたいてい料理の名前で話します。すし、焼肉、ラーメン、ハンバーガー。統計の表もそうやって並んでいます。

ところが、総務省統計局の家計調査で外食費の内訳をぜんぶ足し合わせてみると、金額がいちばん大きかったのは、名前のついたどの料理でもありませんでした。「他の主食的外食」という、分類の残りの部分です。全国平均で年間54,738円。すし(16,577円)の3.3倍、焼肉(8,444円)の6.5倍にあたり、食事代150,575円の36.4%を占めます。

そして街ごとに見ると、この費目がいちばん大きいのは東京都区部の106,115円。全国平均の約1.94倍でした。

前回の記事「外食にお金を使う街ランキング1位は東京都区部」では、すし・和食・焼肉といった名前のついた9品目の1位がどの街かを見ました。今回は同じ表の、これまで扱ってこなかった残りの部分——「その他」「中華食」「学校給食」——を読みます。統計の目立たない場所ほど、街の食生活の違いがはっきり出ていました。

家計調査の「外食」は、どう分かれているのか

まず全体の地図から。家計調査(二人以上の世帯・2023〜2025年平均)の外食費は、次のように分かれています。

費目年間支出額外食費に占める割合
外食(合計)186,665円100%
一般外食178,909円95.8%
食事代150,575円80.7%
喫茶代10,261円5.5%
飲酒代18,073円9.7%
学校給食7,756円4.2%

※割合はShikisai編集部が金額から算出(小数第1位まで)。四捨五入のため合計は100%になりません。

ここでひとつ、意外な事実があります。家計調査の「外食」には学校給食が含まれているのです。外食費186,665円のうち7,756円、4.2%が給食代です。「外食にお金を使う街」を語るとき、実は給食費の多い街も少し押し上げられている、ということになります。

もうひとつ、逆方向の注意もあります。持ち帰って家で食べる弁当や惣菜は、家計調査では外食に入りません。別の費目として集計されます。「外で買って食べたごはん」がすべてこの表に載っているわけではない、ということです。

食事代の中身を金額順に並べ直すと、「その他」が突出していた

外食費の8割を占める「食事代」は、表の上で10の品目に分かれています。この10品目を足すと食事代とぴたり一致します(全国平均で1円の丸め差)。つまりこの10行が、外食のごはん代のすべてです。

表の順番は統計局の分類順に並んでいるので、金額の大きい順に並べ直してみました。

順位品目年間支出額食事代に占める割合
1位他の主食的外食54,738円36.4%
2位和食26,615円17.7%
3位すし(外食)16,577円11.0%
4位洋食13,378円8.9%
5位中華そば8,752円5.8%
6位焼肉8,444円5.6%
7位日本そば・うどん7,467円5.0%
8位ハンバーガー6,446円4.3%
9位中華食5,121円3.4%
10位他の麺類外食3,036円2.0%

※割合はShikisai編集部が算出。四捨五入のため合計は100%になりません。

2位の和食から10位の他の麺類外食まで、9品目を全部足しても95,836円。1位の「他の主食的外食」ひとつだけで、その半分以上の金額が動いている計算になります。

では「他の主食的外食」とは何か。表からわかるのは、上に並んだ9つの名前のどれにも当てはまらない主食的な外食、という定義だけです。具体的な品目名は、この表からは特定できません。名前が挙がっていない食事——定食や丼もの、カレー、麺類でもすしでも焼肉でもない一皿、フードコートや社員食堂での食事など——がここに集まっていると読むのが自然ですが、これは編集部の推測であり、統計局が内訳を公表しているわけではありません。

言い方を変えると、私たちの外食費のうち最大の部分は、統計が名前をつけていない「ふつうのごはん」に使われているということです。ご当地グルメの話をするときに見落とされやすい、けれど家計としてはいちばん大きい部分がここにあります。

「その他の食事」にお金を使う街ランキング 1位は東京都区部の106,115円

その最大の費目を、街ごとに並べたのがこちらです。

順位都市年間支出額全国平均比
1位東京都区部106,115円1.94倍
2位さいたま市86,834円1.59倍
3位千葉市78,795円1.44倍
4位横浜市73,578円1.34倍
5位津市72,696円1.33倍
6位神戸市71,574円1.31倍
7位川崎市71,568円1.31倍
8位福岡市69,932円1.28倍
9位名古屋市67,916円1.24倍
10位熊本市65,083円1.19倍
全国平均54,738円1.00倍

※全国平均比はShikisai編集部が算出。

上位は東京・さいたま・千葉・横浜・川崎と、首都圏の都市が固まりました。ここは想像どおりです。

面白いのは5位の津市でしょう。三重県の県庁所在地で、上位の政令指定都市に比べれば街の規模は大きくありません。それでも72,696円と、横浜市(73,578円)との差は882円しかありません。同じく10位の熊本市(65,083円)も、9位の名古屋市(67,916円)と2,833円差です。人口規模の順番とは、必ずしも一致していません。

もうひとつ、6位神戸市の71,574円と7位川崎市の71,568円は、その差わずか6円。3年平均でこれだけ近い数字が並ぶのは、偶然とはいえ気持ちのいい一致です。

いちばんの発見は「その他の比率」——山形市の14.5%と那覇市の48.7%

ここからが、今回いちばん面白かったところです。

金額の大小は、その街の食事代の総額に引きずられます。そこで「食事代のうち、何%が『その他の食事』か」を計算してみました。これは、その街のごはん代が、名前のついた料理にどれだけ集まっているかを裏側から測る数字になります。

比率が高い順の上位10市です。

順位都市「その他」の割合他の主食的外食食事代
1位那覇市48.7%56,467円115,941円
2位東京都区部47.8%106,115円222,104円
3位神戸市47.7%71,574円149,923円
4位津市47.3%72,696円153,818円
5位福岡市45.6%69,932円153,513円
6位長崎市43.7%48,097円110,031円
7位さいたま市43.3%86,834円200,734円
8位千葉市42.7%78,795円184,587円
9位熊本市42.0%65,083円155,049円
10位和歌山市41.9%54,148円129,229円
全国平均36.4%54,738円150,575円

※割合はShikisai編集部が同じ表の2つの数字から算出(小数第1位まで)。統計局が公表している数値ではありません。

金額では15位だった那覇市が、比率では1位に立ちました。食事代そのものは115,941円と控えめですが、その半分近くが「名前のつかない食事」に向かっています。那覇市は前回の記事でハンバーガー1位(8,417円)だった街でもあり、外食の重心が定食・軽食の側にあることがうかがえます。

そして反対側です。比率が低いのは、山形市(14.5%)、高松市(17.2%)、佐賀市(17.6%)、仙台市(19.0%)、高知市(19.5%)でした。

ここで数字の意味が反転します。比率が低い街は、外食費が少ない街ではありません。名前のついた一品に、食事代がはっきり集まっている街です。同じ表で確かめると、こうなっています。

  • 山形市(14.5%)……中華そば 21,695円で全国1位。日本そば・うどんも3位、すしも4位
  • 高松市(17.2%)……日本そば・うどん 17,704円で全国1位。和食も4位
  • 佐賀市(17.6%)……和食 41,245円で全国2位
  • 高知市(19.5%)……焼肉 19,541円で全国1位。すし9位、ハンバーガー4位
  • 仙台市(19.0%)……中華そば3位、日本そば・うどん9位、他の麺類外食5位

つまり「その他」の比率は、その街に”看板メニュー”がどれだけはっきりあるかの目安として読めます。比率が低い5市は、いずれも何かの品目で全国上位に食い込んでいました。山形市のラーメンについては「ラーメンに一番お金を使う街はどこか」で全国平均の2.5倍という数字を扱っています。

逆に比率の高い街は、外食が特定の料理に偏らず、日常の食事に広く分散している——そう考えると、上位に大都市が多いのも腑に落ちます。選択肢が多い街ほど、ひとつの名前に集まりにくいわけです。

外食店がどこに、どんな形で並ぶかについては、店舗開発を38年続けてきた方に伺った「商業施設への出店はデベロッパー側ありきで決まる」が参考になります。人の流れ、競合の状況、住んでいる層——出店を決める側が見ているものと、この表の数字は、たぶん同じものを別の角度から見ています。

中華食1位は京都市の8,639円 上位4市は116円差に並んだ

食事代の9位、全国平均5,121円の「中華食」も、これまで扱っていなかった費目です。中華そば(ラーメン)とは別に立てられている、中華料理店での食事にあたります。

順位都市年間支出額
1位京都市8,639円
2位岐阜市8,558円
3位名古屋市8,551円
4位横浜市8,523円
5位東京都区部8,005円
6位堺市7,847円
7位大阪市7,535円
8位川崎市7,420円
9位大津市7,027円
10位静岡市6,982円
全国平均5,121円

1位は京都市の8,639円、全国平均の約1.69倍でした。中華街のある横浜市は4位です。

さらに目を引くのは、1位から4位までが116円差に収まっていること。京都・岐阜・名古屋・横浜という、地理的にも街の性格もばらばらな4市が、ほぼ同じ金額で並びました。上位10市を見ても、関西(京都・堺・大阪・大津)、東海(岐阜・名古屋・静岡)、首都圏(横浜・東京・川崎)の三つの塊でできています。

同じ「中華」でも、中華そばの上位が山形・新潟・仙台・宇都宮と東日本に偏っていたのとは、まるで違う地図です。麺の一杯と、円卓の料理は、別の文化として広がってきたのだと読めます。

「他の麺類外食」1位はさいたま市の4,955円

食事代の10品目のうち最も小さい「他の麺類外食」(全国平均3,036円)も見ておきます。そば・うどん・中華そばのどれでもない麺類の外食にあたる費目です。

順位都市年間支出額
1位さいたま市4,955円
2位前橋市4,607円
3位静岡市4,586円
4位東京都区部4,543円
5位仙台市4,355円
6位名古屋市4,355円
7位千葉市4,041円
8位川崎市4,035円
9位新潟市4,008円
10位宇都宮市3,871円
全国平均3,036円

1位はさいたま市の4,955円。5位の仙台市と6位の名古屋市は4,355円で同額でした。

金額としては小さい費目ですが、上位に関東・東海の都市が並ぶ点は「その他の食事」の分布と似ています。家で食べる麺については「主食は1kgいくらか」でカップ麺や乾めんの単価を扱っていますので、あわせてどうぞ。

学校給食が最も多いのは山形市の16,636円

最後に、外食費の中に含まれている学校給食です。全国平均は年間7,756円でした。

順位都市年間支出額
1位山形市16,636円
2位熊本市15,897円
3位浜松市14,491円
4位金沢市13,994円
5位鹿児島市13,122円
6位秋田市13,111円
7位鳥取市12,794円
8位岡山市12,590円
9位岐阜市12,493円
10位山口市12,487円
全国平均7,756円

この数字は、読み方にいちばん注意が必要な費目です。家計調査は世帯の支出を集計したものなので、給食費は「その街の給食が充実しているか」ではなく、調査対象の世帯に学齢期の子どもがどれだけいるか、そして給食費をどのように徴収しているかによって大きく変わります。自治体ごとの制度の違いがそのまま金額に出るため、給食の質や量を比べる材料にはなりません。

そのうえで面白いのは、山形市が中華そば1位でもあり、学校給食1位でもある点でしょう。名前のついた一品に食事代が集まる街であり、同時に給食費の計上も大きい。ひとつの街の数字は、いくつもの事情が重なってできています。

給食は、地域の食品メーカーにとって大切な取引先でもあります。神奈川の牧場が作るアイスクリームが「学校給食や機内食にも採用される」までに何を積み上げたのかという話は、この統計の裏側にある現場の一例です。名前のつかない「その他の食事」を支えているのも、業務用の食肉加工から自社ブランドのとんかつへ広げた作り手のような会社です。統計の残りの部分には、たくさんの会社が入っています。

この数字を読むときの5つの注意点

  1. 「県」ではなく「市」の数字です。 対象は都道府県庁所在市と政令指定都市の52市。山形市の数字は山形県全体の数字ではありません。
  2. 二人以上の世帯・1世帯当たりの年間支出額で、単身世帯は含まれません。世帯人数や年齢構成の違いがそのまま金額に効きます。
  3. 2023〜2025年の3か年平均です。単年の変動をならした値なので、直近1年の状況とは一致しません。
  4. 「他の主食的外食」の中身は、この表からは特定できません。 本記事の推測部分は推測として書いています。
  5. 持ち帰りの弁当・惣菜は外食に含まれません。 「外で買って食べたもの」全体を表す数字ではない点にご注意ください。

なお、家で買う主食のほうの数字は「パンにお金を使う街ランキング1位は神戸市」でまとめています。外と家の両方を並べると、街ごとの食卓がもう少し立体的に見えてきます。

出典

本記事の金額はすべて上記の公表資料に掲載された値です。割合・全国平均比・「食事代に占める他の主食的外食の割合」は、同じ表に載っている数字からShikisai編集部が計算したもので、統計局が公表している数値ではありません。

この記事を書いた人

Shikisai編集部

Shikisai編集部

「ありのままの想いが地域と未来を紡ぐ」をコンセプトに、地域で働く経営者の想いと取り組みを取材・発信しているWebメディアです。補助金・認証制度などの記事は、行政機関の公表情報(一次情報)を編集部が確認のうえ執筆しています。

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