英語力の土台を育むために、グローバルな英語教育に触れた髙橋さゆりさんが届ける英会話スクール「ワールドエデュケーション」


株式会社ワールドエデュケーション 代表 髙橋 さゆり TAKAHASHI SAYURI

英会話教室に通っても話せない。せっかく入会しても続かない。

グローバル化が進み、英語力が当たり前のスキルとして求められつつある一方で、こんな挫折を経験したことはありませんか?

本城式英会話スクールを経て、2015年に子ども向け英会話スクール「ワールドエデュケーション」を立ち上げた髙橋さゆりさんのもとには、広告をしていないにも関わらず、英語力が確実に身に付くという評判から、絶えず受講者が訪れています。もともと”英語が大の苦手だった“髙橋さんは、約10年におよぶ3カ国の海外生活で、3人の子どもとともに現地の英語教育で学び、不自由なく話せるレベルへと上達。「そのときの経験と手法が今に活かされている」と話します。いったい、どんなレッスンなのでしょうか。

海外生活をきっかけに学んだ英語力の土台

ーーワールドエデュケーションではどんなレッスンをされているのでしょうか?

髙橋さゆり:私自身がアメリカ、オーストラリア、そしてニュージーランドで子育てをしながら、約10年の海外生活を送るなかで、初めはまったく英語ができなかった状況から、英語が不自由なく喋れるようになり文字も読めるようになりました。レッスンには、そのときに学んだ「フォニックス」という手法を取り入れています。フォニックスは、発音矯正と捉えられがちですが、そうではなく、文字を見ながら音を出す手法です。かつ英語力アップに必須である「本読み」の初めのステップでもあります。

日本では教わることがなく、ほかの英会話スクールとは違うので、一般の方には受け入れられにくいかもしれませんね。まず最初は、英語の音を理解し、発音することを学びます。そして、音と文字の照らし合わせができるようになると、単語が読めるようになり、文章を日本語に変換しなくてもイメージで捉えられるようになります。

海外生活での一枚

レッスンを続けていくと、アルファベットが苦手な方でも文字が読め、文章を理解できるようになり、私が言った音を全部書き起こせるようになるんです。さらに、音と文章の作りとその聞き方を学ぶことで、徐々に聞こえ始め、文章を聞いた順に理解できるようになります。ビジュアルでイメージできるようになるので、急に日本語でひらめくといったような、英語のまま理解できる回路が脳に作られるようになります。私たちが力を入れているのは、「音」と「音読」、「基礎の文法」を軸とした英語力の土台づくりなんです。

受講者の対象は基本的には子どもですが、大人の方からも要望をいただき、大人向けにも展開しています。オンラインのレッスンがメインです。

ーーほかの英会話スクールとの違いはどういった点でしょうか?

髙橋さゆり:レッスンはネイティブに近い手法を用いていますが、違う点は、日本人の立場から説明して覚えてもらうことです。ネイティブの方が用いる小さい子に自分の真似をさせる教え方は上手ですが、それを一つひとつ説明することは難しいんですね。実は、うちの子どもたちがそうで、小さい頃から英語を聞いて育っているので、発音だけはどうしても教えられないんです。またここでは、20歳の頃の歯科衛生士としての経験も活かされています。口の中がわかるので、舌の位置も丁寧にお伝えするんです。「舌がこうなってるよ」とか、「舌が今、上顎に当たったのですが、わかりますか?」といったように説明をして、理解を深めてもらいます。

そのほか、例えばof(オブ)の使い方など文法を教えるときは、例文だけでなく、その理由を日本語で説明しています。子どもは最初、感覚で覚えていき、日本語が長けてくる小学3年生くらいから文法を始めると、わかるようになります。小学生になったら、できればこのレッスンを受けてほしいですね。

どんなメリットがあるの?「本読み」をベースにするワケ

ーーワールドエデュケーションを立ち上げた背景を教えてください。

髙橋さゆり:私自身、英語が苦手で大嫌いだったけど、それでも喋れる自分がいて、伝わる言葉があって。そんな経験から、多くの方が使えるようになれたらいいなと思うんです。日本の方ってすごく勉強されてるのにもったいない。英語力の土台さえわかれば、喋ることも理解することも問題なくできるようになりますから。

あともう一つ、子どもにとっては、これから先、英語ができたほうがいいということ。今日本は、日本円が安くて、インバウンドで観光客が多く訪れるような状況。海外に就職するという選択肢も出てきますよね。そういう意味でも、今の子どもたちは英語ができて当たり前じゃないと、この先、生き抜いていくのは大変だと思います。

ーー「本読み」をベースにしているのはなぜですか?

髙橋さゆり:本読みは、音読がベースです。音読で音をきれいに読めるようになると、自分が喋る言葉は必ず通じるし、逆に、音を聞いたときには、単語と一致しやすいんです。もし聞いた単語の意味がわからなくても、音がわかれば質問して知ることができます。大事なのは、喋っても聞いても音がわかることなんです。

ーーこの発想はどこから来たのですか?

髙橋さゆり:当時住んでいたニュージーランドで小学校を3校見学をしたとき、小学1年生から4年生までが同じ部屋で、算数を教わったり、絵を描いたりしていました。ところが、本読みのレッスンになると「お母さん先生」と呼ばれる先生たちが生徒の人数分やってくるんです。一人ひとりの音読をチェックして、意味をチェックして、感想まで聞いて、ようやく次の本が宿題として出される。これを毎日のように繰り返しているんです。

その理由を校長先生方にお聞きしたところ、「子どもは自分が興味があればやる。でも、興味がないとやらない。だから、学校では本読みに力を入れてるんだ。つまり興味を持ったときに、図書館やネットで調べることはいくらでもできるでしょう?本さえ読めれば、すべての知識が入ってくるよね」と言われて、なるほどなと思ったんです。もちろんコミュニケーションは大事だけど、まずは情報を得ることが一番大事なんですね。そこで、会話よりも本読みをベースにしたほうが、そこからの広がり方は全然違うと思い、ワールドエデュケーションをスタートしました。

間違えてもいい。やってみよう。「Try it」に想いを込めて育てていく

ーーワールドエデュケーションの特徴やレッスンで大切にしていることはありますか?

髙橋さゆり:ここでは実践を通して英語力を身に付けてもらいます。私は短大を卒業後、歯科衛生士として働き、帰国後は武蔵野学院大学客員研究員として「概念学習能力で英語の発音を矯正する効果について」に関する論文を書いていますが、学歴よりも実践で学んできたほうなんです。実践で確実に身に付けることを目指していて、英語のテストで100点中10点だった小学6年生が80点を取れたり、話せるようになるレッスンを受講した生徒全員が、会話できるようになったりしています。

レッスンでは、「間違えても大丈夫。最初から直さない」という自分の中でルールを作っています。直してしまうと緊張してしまうので、間違えたところを受け入れることから始め、ほめ育てています。「わかる。わかる。オッケー」と言いながら続けていくと、文法も直るんですよ。

ここには、海外と日本の教育の違いがあるんじゃないかなと思っています。私の大好きな言葉に、英語の「Try(トライ)」があります。日本語だと「Try(トライ)」は「さあ頑張るぞ。やってみよう」という意味合いですよね。でも、英語では「間違えてもいいからやってごらん」です。レッスンで小さい子に使うのが、「Try it(トライッツ)」。そこには「失敗してもいいんだよ。やってごらん」 というメッセージを込めています。そして、失敗して帰ってきたときには「Good Try(グッドトライ)」。これが多分、日本の教育に欠けているところなんですよね。

うちの生徒さんは会話のときに、「Try it」と伝えることで、失敗してもいいと思って話し始めるんです。子育てでも、もう何度「Try」と言ったことか。「OK(オッケー)」と言いながらやってみて、その結果、「友達と遊べて楽しかったね」とか「やっぱりダメだった。これ無理」みたいな(笑)。

レッスンの様子1

レッスンの様子2

ーー今後、力を入れていきたい取り組みはありますか?

髙橋さゆり:子どもの英語力向上に力を入れていきたいですね。子どもはこれからの日本を背負って立つ存在。日本語と英語はできて当たり前の時代だけど、これまでの勉強のように記憶して知らないものがあったらギブアップするのではなく、 知らないものがあってもなんとかできる英語力を身に付けていってほしいですね。ここで教えた子どもたちは、英検で出る長文読解が得意なのですが、それは長文読解であれば、バーっと読んでる間になんとなく意味がわかるからなんですね。

さらに子どもの中でも、小学生の英語学習を埋めたいです。就学前は、日本語も英語もどちらも吸収します。それはまったく問題ないので、好きなように英語を勉強してもらっていいのですが、できれば小学校で、英語のレベルを上げてほしいんです。例えば、小学校六年間で日本語は非常にレベルアップしますよね。日本語を読むところから始めて、最後には歴史や科学の本を読み、さらにそれについて説明できるようになる。この六年間に英語にも取り組んでほしいと思います。

そのためにも、学童でのレッスンを増やしていきたいと考えています。ちょうど富山県の学童でのレッスンがスタートしたところで、オンラインや対面でスタッフが行うなど模索しているところです。東京の学童ではほとんどが導入されているので、地方の学童にアプローチしていきたいですね。

編集後記

髙橋さんは、当初まったく英語ができなかったにもかかわらず、渡米先でプライベートパイロットの資格を取得した経験の持ち主。「Try(失敗してもいいから挑戦してみよう)」の精神が、その行動力に表れているのだと実感したインタビューでした。ワールドエデュケーションが取り組む“英語力の土台”を作るレッスンは、子どもたちの英語力を着実に向上させ、海外で通用する人材の輩出へとつながっていくことでしょう。この手法は今、学童を中心に日本各地へと広がりを見せ始めています。英語力を身に付けたい方のみならず、学童での導入を検討している方は、ぜひ一度アプローチしてみてください。

Profile

株式会社ワールドエデュケーション 代表

髙橋 さゆり TAKAHASHI SAYURI