埼玉県川口市で整体院とピラティススタジオを運営する荒井俊輔。整体の専門知識とピラティスを掛け合わせた独自のアプローチで、身体の本質に迫る施術と指導を展開する。健康的で美しい身体づくりを実現するための哲学、具体的なメソッド、初心者にも取り入れやすいマシンピラティスやセルフケアのポイントを紹介。身体と心の調和を追求する荒井の世界観に触れる。
目次
整体とピラティスは、何が違うのか
荒井俊輔さんは、埼玉県川口市鳩ヶ谷で紬友整体院とピラティススタジオTRYを経営しています。整体院の院長であり、スタジオの代表です。
まず、この2つの違いから。荒井さんの説明はとても整理されていました。
大きな枠でいえば、どちらも体を調整する「身体調整法」です。違いは、こうなります。
- 整体=手技で筋肉や関節を緩めて体を整える(=やってもらう)
- ピラティス=動いてもらうことで筋肉の機能やバランス、関節のズレを修正して整える(=自分が動く)
- 鎖骨の間――ちょうどネックレスがくっつくようなくぼんだ部分を意識する
- そこを天井から紐で引っ張られているイメージで、上にグーッと持ち上げる
- 横から見て首の筒が地面に対して垂直になっていれば一つの目安。この状態になると自然と肩が開く
- 肩甲骨が動ける隙間ができるので、その状態で肩甲骨を背骨のほうにグーッと寄せる
- 寄せたまま両手をバンザイして上に突き上げる
では、どちらが自分に向いているのか。荒井さんはこう分けていました。
整体が向くのは――体がすごく疲れている方、ストレスで緊張して全体的に筋肉が張っている方、局所的な痛みが強い方。まず整体で体を緩めてあげることが大事になる。
ピラティスが向くのは――長時間のスマホやパソコン作業で姿勢が悪くなり、体を動かす機会が減っている方。しっかり動かして筋肉のバランスと機能を整える。
そして「両方必要な人はどうすれば」と聞かれた答えは、順番の話でした。
まず整体で緩め、そこからピラティスに入ると、より体が調整される。
マットピラティスとマシンピラティスの違い
この回でいちばん実用的だったのが、マットとマシンの話です。
ピラティスと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、マットの上でインストラクターの指示に従って動く形でしょう。荒井さんによれば、日本ではスペースの問題などがあってマットのピラティスが先に普及したという事情があります。
一方、本場のアメリカなど海外ではマシンを使うほうが主流。専用のリフォーマーやチェアといったマシンを使って行うのがマシンピラティスです。
ここからが意外なところでした。
マットは手軽にできる。けれど意外と強度が高く、体を動かす感覚が苦手な方にはすごく難しく感じてしまう。「やったんだけどうまくできなかった」「すごい辛いんだな」で終わってしまう。
それに対してマシンはバネが負荷になるのですが、そのバネが体の動きを補助してくれる。いろいろな姿勢でできる分、筋肉を使う感覚や正しい体の動かし方を簡単に体に教えることができる。
だから、荒井さんの結論はこうです。
初心者の方ほど、マシンピラティスのほうがおすすめ。
実際、来られる方はマットから入った人が多いものの、マットをやってみて難しくて一旦離れてしまうというケースが多い。最初にマシンから入っていれば、離れずに続けられていたのではないか――そう感じているそうです。
動画を見て自己流でやると、なぜか「太くなる」
YouTubeを見て自分でやっている、という方は多いはずです。荒井さんのところにも、そうした方から質問が来ます。
内容は、たとえばこういうものです。やっていたら痛めてしまった。目的ではない形で、太くなってきてしまった。
「逆に太くなる場合もあるんですか」と驚くパーソナリティに、荒井さんはこう説明しました。
普段使っている場所をより鍛えてしまって、かえって太くなってしまう。女性のお悩みとしては多いそうです。
荒井さん自身、初めてピラティスをやったときは「意外と簡単にできてしまうな」という感覚だったといいます。ところが後から学んでいくなかで、「本当に動きがいろいろ間違ってたんだな」と気づいた。
インストラクターの指示通りに動いたときには、整体で整った感覚とはまた違う「背が伸びたような感じ」があった。それが「これはすごく良いエクササイズだ」と思った最初の印象でした。
もう一つ、グループレッスン中心であることの限界も指摘していました。個別で体を見てもらった経験がない方が多く、強度もそれぞれバラバラ。だから初めてマシンを経験すると「この動作って、こういう筋肉を使ってやらないといけないんだ」という気づきを感じる方が多いのだそうです。同スタジオはマンツーマン。ピラティスがもともとリハビリ発祥のエクササイズであることを踏まえた形です。
肩甲骨をぐるぐる回すのは、あまり効果的ではない
番組中、ラジオの前でもできる動きを口頭で教えてもらう場面がありました。ここは実用的なので、順を追って紹介します。
前提として、デスクワークで頭が前に出て、背中が丸くなっている方が多い。そして肩が凝ってくると、多くの人は肩甲骨をぐるぐる回したり、首を回したりします。
ところが荒井さんいわく、それはあまり効果的ではない。
大事なのは土台をつくることです。肩甲骨も頭も、背骨の上にあって肋骨にくっついている。だから、まずここから始めます。
ポイントは背中の中心の筋肉をしっかり使うこと。パーソナリティは実際にやってみて「腕を下ろしたら本当に血が巡ってる感じがする」「指先がじんわり暖かくなってきた」と話していました。
頻度についての目安も、具体的でした。
筋肉は同じ姿勢だと15分ぐらいで固まってしまうと言われている。だから少なくとも30分〜1時間に一度は、体を休めて動かしてあげる。
柔道整復師から、整体、そして分子栄養学へ
荒井さんの出発点は柔道整復師でした。小さい頃にスポーツをしていて、怪我で接骨院によく通っていたことがきっかけです。柔道整復師は接骨院の先生が持っている資格。学校に通って取得しました。
そこから慢性的な疾患に興味を持つようになり、働くなかで整体へ移行していきます。柔道整復師として始めてから10年以上。
ピラティスと出会ったのも、行き詰まりからでした。整体でどうしても症状が戻ってしまう――そのときに運動療法として出会っています。
さらにもう一段、幅が広がります。整体を学んでいくなかで、内臓のほうから不調をきたしている方が現代の生活では非常に多いと感じるようになった。
そこで取り入れたのが分子栄養学です。荒井さんの説明では、通常の栄養学の「栄養素をバランスよく取りましょう」という見方よりも、より個人個人に合わせた栄養指導を行うもの。資格も取得しています。
仕事のこだわりを尋ねられたときの答えも、この経歴と一致していました。栄養や心理学も学んできて、多角的に体を見ることを心がけている、と。
なぜ「TRY」なのか
スタジオ名の由来には、2つの意味が込められています。
1つは、ハードルを下げるため。荒井さん自身、最初はこう思っていたそうです。
ピラティスと聞くと、芸能人やモデルの方がやっているような、すごくハードルが高いイメージがある。名前だけを聞いていた頃は「自分には関係ないのかな」と敬遠していた部分があった。
けれど知っていくなかで本当に必要なものだと感じ、実際にやってみたときの体の変化は全然違うものだった。だから遠ざけるのではなく、挑戦してほしい。そこで「トライ」。
もう1つは、学生時代のラグビーから。ラグビーで有名な「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン」――みんなが一つになってゴールに向かうという言葉です。
お客さん一人で頑張るのではなく、一緒に理想の形を叶えられるように頑張っていきたい。その意味も込められています。
スタジオと院は、埼玉県川口市鳩ヶ谷本町、鳩ヶ谷駅から徒歩10分ほどの場所にあります。
この仕事をしていて良かった瞬間を尋ねられた荒井さんの答えは、こうでした。帰りに笑顔になって「本当に来てよかった」と言ってもらえること。そして、病院や整骨院を何件か回ったけれど変化がなかった方から言われる、この一言。
「最初にここに来ればよかった」
※本記事は、ラジオ番組でお話しいただいた内容をShikisai編集部が記事としてまとめたものです。発言は趣旨を損なわない範囲で整理しています。体の状態には個人差があり、痛みや持病のある方は無理をせず医療機関にご相談ください。
ご紹介
Profile
ピラティススタジオ TRY
代表
ピラティススタジオTRYの代表兼つむゆう整体院の院長。 10年以上にわたり柔道整復師として活動し、接骨院、整形外科、整体院で筋骨格の不調を訴える患者の治療に携わってきました。 ピラティスインストラクターとしても活動しており、ボディメイク効果の高いピラティスを活かした施術を行っています。
経歴:大学卒業後、「東京アナウンスセミナー」でスキルを磨く。2015年に「第24代椿の女王」に選ばれ、1年間伊豆大島の観光大使として活動。2020年にNHK和歌山放送局の契約アナウンサーとして入局。出演番組:「ギュギュっと和歌山(わかやま見つけ隊)」「ぐるっと関西おひるまえ」