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商業施設への出店はデベロッパー側ありきで決まる。店舗開発コーディネーター西村恒男さんに聞く

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店舗開発のプロが語る、商業施設への出店戦略と成功の秘訣。コンビニから始まり、ピザチェーン、そして独立。立地と店舗の強みを活かしたマッチングで、無名店も大成功。スイーツ&デリの可能性も紹介。飲食店経営者必聴の insider tips が満載。

「店舗開発コーディネーター」という仕事

西村恒男さんが代表を務める合同会社ネオ・フロンティアの仕事は、商業施設という場所に店舗を出店させることです。西村さんはそれをコーディネーターと名乗っています。創業した頃には、同じことをしている人があまりいなかったといいます。

キャリアの原点はコンビニチェーンでした。社会人になったとき、自分でセクションを選べるなかで「開発」を選びます。バブルが始まる前――およそ38年前のことです。

当時の業界の規模感が語られています。西村さんがいたチェーンは1,000店舗ほど。業界トップでも1,200店ほどでした(そのチェーンは現在1万数千店)。まさにコンビニが増えていくタイミングです。

担当エリアは神奈川。横浜、川崎、相模原、三浦半島から鎌倉まででした。

加盟店開発の最優先条件は「お酒の免許」だった

最初の仕事はフランチャイズの加盟店開発です。

これは、すでに商売をしている個人商店――酒屋、米屋といったお店に、活性化という意味で加盟してもらうという仕事でした。だから経営者に会って話をするところから始まります。

そして当時の成否を分けた条件が、今の感覚では意外なものでした。

お酒の免許です。

今は取りやすくなりましたが、当時は特定のところしか免許が取れなかった。だからベースとしてお酒があることが強みになる。ロケーションももちろん見るけれど、免許が取れる方を最優先に加盟していただくのが第一条件だったといいます。

直営店開発は「完全に立地ありき」

その後、西村さんは東京本部の開発企画部で直営店舗の開発にも携わります。ここで加盟店開発との違いに直面しました。

加盟店はお酒の免許などの条件があるが、直営店は完全に立地ありき。

では、良い立地とは何か。西村さんが挙げたポイントはこうです。

  • 人の流れ(動線)
  • 競合店の状況――ただし「めちゃくちゃ売れている競合の傍に出したほうが取れる」という考え方もある
  • 住んでいる層――当時のコンビニの中心客は独身男性だったため、そうした層が住んでいるか、働いているか、店前を通るか
  • 大手チェーンだったため情報が入りやすく、開発はしやすかった、とも振り返っていました。

    「年に200店できますか」と聞かれて

    次の転機は、宅配ピザチェーンへの移籍でした。

    アメリカでそのビジネスを目の当たりにした社長が日本でも展開しようとしていた会社で、遊技機メーカーだったため資金力があり、かなりの費用をかけて人を集めていました。ファーストフード業界の経験者を集めてオペレーションを固めるなかで、開発部門だけが手薄だった。そこに声がかかります。

    入社して、いきなりこう言われたそうです。

    「年に200店くらいできますか」

    西村さんの感覚は、コンビニ基準でした。コンビニ開発は一人で2か月に1店舗できれば合格。つまり年に6店舗ほど。

    それでも、物件開発であれば情報さえ集めればいけるのではないかと考え――

    「まあ、できるんじゃないですか」と言ってしまって、後から大変だった。

    結果として、最初の半年で必死に結果を出し、そこで7年を過ごします。コンビニで作った開発のベースがあったからこそ、信用を得られたといいます。

    路面店の物件は「早い者勝ち」になる

    独立後、西村さんが直面したのが情報の非対称性でした。

    コンビニもデリバリーピザも、基本は路面店。つまり不動産物件に対して出店します。そしてそこは熾烈な物件の取り合いです。

    一般的な情報は不動産の流通ネットワークで共有されています。多くの不動産会社が加盟しているため、どうなるか。

    早い者勝ちになってしまう。

    だから裏の情報を探せるかどうかが勝負になる。コンビニ時代は大手企業の傘下だったため、銀行や取引先の建築業者からいろいろな情報が入ってきた。しかしピザチェーンではそれがなく、不動産会社に当たっていくしかなかった

    独立後に、そこで勝負するのは難しい。周囲からも「その商売では食べていけない」と言われたそうです。

    そこで目をつけたのが商業施設でした。

    商業施設は「主催者側ありき」で決まる

    30年近く前、ショッピングセンターが増え始めていました。駅でも駅長室を畳んでそこに店を作ったほうが、鉄道収入が落ちるなかで事業として伸びるのではないかという発想が出てきていた時期です。

    ここで、路面店とはまったく違う論理が働きます。西村さんの説明はこうです。

    商業施設は「自分たちがどういう施設を作って、どういうお客様に来ていただくか」から始まる。つまりデベロッパー(主催者側)ありき。

    どんな館を作り、どんな客を集めるか――ファミリーか、若い女性か、シニアか。そこにが出る。それに合わせて店舗構成・フロア構成を組み、ふさわしい店をピックアップして声をかける

    だから西村さんの仕事は、単に商業施設に入れることではありません。

    どういう場所にこの商売が向いているのか。その店の良さを引き出して、「ここの良さならここに持っていけば、こういう戦略でいける」と考える。

    駅ビルの空き区画を埋めた、具体的なやり方

    成功例として語られたケースが、店舗づくりの教科書のような話でした。

    ある駅ビルで1年近く区画が埋まっていないという相談がありました。前の入居はカレー店で、飲食店の後なので設備が一部残っている

    そこに紹介したのが、餃子のテイクアウト店をやっていた台湾出身の経営者でした。この方には特徴がありました。

    • 自家製麺を作っていて、非常に安い価格でラーメンを出せる
    • 点心という強みがある
    • 餃子に人気がある
    • 西村さんが組み立てた戦略は、こうでした。

      ①テイクアウトの店ではなく飲食店にする。ただし店舗入口の脇にテイクアウトコーナーを大きく作る。駅なので、仕事帰りの人が立ち寄りやすい場所だったからです。

      ②スープは専門メーカーから仕入れる。味噌・醤油・豚骨とも良いスープがある。麺は自家製だから原価を抑えられる。安くておいしいラーメンが成立する。

      ③点心と組み合わせたセットメニューを作る。理由が実務的でした。「日本人はセットメニューのチョイスが下手だから」――ちょうどマクドナルドがセットをやっていたことも参考にした、と。

      結果はこうなりました。

      安い単価のラーメンでも、セットで客単価が600〜700円に上がる。さらに売上の半分が餃子のテイクアウトになった。

      この経営者とは、その後1年ほどで13店舗ほどの出店を一緒に手がけたそうです。

      本人が気づいていない強みを探す

      商業施設に出たい店は何を準備すればいいのか。西村さんの答えは、準備というより診断でした。

      問い合わせがあれば、まず店を訪問して話を聞く。正直なところ「ちょっと厳しいな」という方も結構多い。それでも――

      何か一ついいところはあるだろう、というところを見させていただいて、そこを伸ばしませんかと提案する。

      ポイントは、その強みに本人が気づいていないことが多いという点です。だから引っ張り出してあげる。

      気づかれていない強みの例として挙がったのが接客でした。「いつも店員さんが笑顔ですよね」という店がたまにある。商品のほうが弱いこともあるけれど、その良さは生かせる。

      そのうえで、デベロッパーへの通し方も具体的です。まず社長本人に会ってもらい、人柄を見てもらう。小規模な店ほど、そこが効く。もちろん商品も見られる。

      2〜3坪でも商売になる。実演型スイーツという狙い目

      いま西村さんが力を入れているのがスイーツ&デリです。そして、そこにははっきりした理屈がありました。

      実演型が一番価値がある。

      その場で焼く、できたてが食べられる。実際に付き合いのあるアップルパイの店も、現場で焼いて匂いを出して買ってもらうやり方をしています。

      ただ商品を並べておくよりも、パフォーマンスがプラスアルファになる。「おいしそうだね」となり、そこから接客で興味を引き出せる。

      そして、この業態には出店側にとって決定的なメリットがあります。

      投資が軽くて済む。極端な場合、2〜3坪でもできる。

      実例として、東京スカイツリーの商業施設に神戸のスイーツ店を出したケースが挙げられました。ケースで売るので、店舗はわずか2〜3坪

      スイーツは坪効率がすごくいい。飲食店にはかなわない。

      そして投資が軽いということは――ベンチャーや資金力のない方こそ入り込みやすい、というのが西村さんの見立てでした。

      そうした店をぜひ手伝いたい、と西村さんは言います。長くやってきた蓄積があるからです。

      その店の良さを見て、ターゲットを見て、どこにふさわしいか、どこに持っていけばどういう結果が出るか。どの施設が何を考えているかも、だいたい頭の中に入っている。

      なお、扱うのは飲食店だけではありません。物販もサービスも何でも手がけているとのことでした。

      ※本記事は、ラジオ番組でお話しいただいた内容をShikisai編集部が記事としてまとめたものです。発言は趣旨を損なわない範囲で整理しています。数値・事例は収録時点のものです。

      公式サイトはこちら→https://store-location.jp/index.html

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ご紹介

Profile

 西村 恒男

合同会社ネオ・フロンティア
代表

西村 恒男

にしむら つねお

大手コンビニチェーンで店舗開発、FC開発等のマーケティングノウハウのベースを作り、黎明期のデリバリーピザ業界で全国展開する企業のマーケティング、店舗開発戦略、戦術の開発および新規事業開発など店舗戦略、エリアマーケティングのオリジナルノウハウを確立。 1995年 サード経営研究所 創業 2011年 合同会社ネオ・フロンティア 設立

石塚 直樹

株式会社ウェブリカ
代表取締役

石塚 直樹

いしづか なおき

新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。■編集長インタビュー「メディア「地域色彩」立ち上げの背景とは?株式会社ウェブリカ・石塚直樹が語る地域企業活性化のビジョン」https://chiiki-shikisai.com/webrica-ishizukanaoki/

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