納豆の購入額ランキング、1位は福島市|上位12市に西日本から入ったのは熊本市だけだった

納豆の購入額ランキング、1位は福島市|上位12市に西日本から入ったのは熊本市だけだった

納豆をよく食べる街はどこか。茨城か、東北か、という見当はつきますが、順番まではなかなか出てきません。

総務省統計局の家計調査から答えを出すと、こうなりました。1位は福島市の7,102円。2位が盛岡市の6,950円、3位が秋田市の6,875円で、全国平均は4,759円です。1世帯が1年のあいだに納豆に払った金額で、福島市は全国平均の1.49倍でした。

そして52市ぜんぶを並べて、もうひとつ見えたことがあります。上位12市のうち11市が東北・北関東・中部の市で、西日本から入ってきたのは12位の熊本市だけでした。しかもその12位と13位のあいだには、411円という段差があります。

この記事では、52市ぜんぶの購入額と、その段差の中身、そして「納豆の街」と「豆腐の街」がまったく重ならなかったことまでまとめます。

まず前提:これは「購入額」で、県ではなく52市の数字

数字の意味を先に確かめておきます。使ったのは家計調査の「乾物・海藻、大豆加工品等」の表で、二人以上の世帯・1世帯当たりの年間支出金額、2023〜2025年の3か年平均です。

2つ、注意点があります。

ひとつは金額の表だということ。この表には干ししいたけ・わかめ・こんぶ・豆腐・梅干しなど数量の列を持つ品目もありますが、納豆には数量(パック数やg)の列がありません。したがってこの記事は「納豆の消費量ランキング」ではなく「購入額ランキング」です。安い納豆をたくさん買う街と、高い納豆を少し買う街は、この表では区別できません。

もうひとつは対象が市だということ。52市は都道府県庁所在市と政令指定都市で、県全体の平均ではありません。「福島市が1位」は「福島県が1位」ではない、ということです。あわせて、スーパーなどで買った分の金額なので、外で食べた納豆や自家製は入りません。

納豆の購入額ランキング(52市ぜんぶ)

全国平均は4,759円です。それ以上だったのは26市、ちょうど半分でした。

順位市年間の購入額全国平均比
1福島市7,102円1.49倍
2盛岡市6,950円1.46倍
3秋田市6,875円1.44倍
4水戸市6,797円1.43倍
5青森市6,732円1.41倍
6山形市6,461円1.36倍
7長野市6,384円1.34倍
8前橋市6,383円1.34倍
9仙台市6,195円1.30倍
10富山市6,110円1.28倍
11宇都宮市6,087円1.28倍
12熊本市6,008円1.26倍
13さいたま市5,597円1.18倍
14新潟市5,420円1.14倍
15甲府市5,373円1.13倍
16浜松市5,321円1.12倍
17千葉市5,189円1.09倍
18東京都区部5,102円1.07倍
19静岡市5,093円1.07倍
20金沢市5,078円1.07倍
21福岡市5,067円1.06倍
22札幌市5,066円1.06倍
23鹿児島市4,944円1.04倍
24横浜市4,785円1.01倍
25川崎市4,776円1.00倍
26岐阜市4,772円1.00倍
27福井市4,748円1.00倍
28佐賀市4,744円1.00倍
29相模原市4,691円0.99倍
30大分市4,637円0.97倍
31長崎市4,507円0.95倍
32名古屋市4,457円0.94倍
33宮崎市4,372円0.92倍
34北九州市4,341円0.91倍
35那覇市4,271円0.90倍
36津市4,212円0.89倍
37岡山市4,207円0.88倍
38山口市4,199円0.88倍
39大津市4,165円0.88倍
40奈良市4,069円0.85倍
41京都市3,921円0.82倍
42松江市3,881円0.82倍
43松山市3,847円0.81倍
44鳥取市3,842円0.81倍
45広島市3,723円0.78倍
46神戸市3,491円0.73倍
47高松市3,468円0.73倍
48徳島市3,282円0.69倍
49大阪市3,199円0.67倍
50高知市3,176円0.67倍
51堺市3,137円0.66倍
52和歌山市2,468円0.52倍

上位10市の平均は6,599円、下位10市の平均は3,363円。1位と52位では2.9倍ひらいています。変動係数は23.0%で、同じ家計調査でいえば餃子(24.2%)に近い、地域差がはっきり出るタイプの品目です。参考までに、餃子の購入額ランキングは上位3市が突き抜ける形でしたが、納豆は上位12市がひとかたまりになる形でした。

段差は12位と13位のあいだにあった

隣りあう順位の差をぜんぶ計算すると、いちばん大きいのは51位→52位の669円です。これは最下位の1市だけが離れている形なので、ランキングの構造としてはあまり意味がありません。

その次に大きかったのが、12位→13位の411円でした。3番目が5位→6位の271円、4番目が45位→46位の232円です。つまり上から数えて、最初に現れるまとまった切れ目が12位と13位のあいだにあります。

この「上位12市」の内訳が、今回いちばんの発見でした。

  • 東北6市(福島市・盛岡市・秋田市・青森市・山形市・仙台市)が、6市とも入っている
  • 北関東3市(水戸市・前橋市・宇都宮市)
  • 中部2市(長野市・富山市)
  • そして九州から、熊本市

地域ごとに平均を取ると、形がもっとはっきりします。東北6市の平均は6,719円で全国の1.4倍、しかも6市すべてが全国平均以上。関東は9市中8市、中部は11市中8市が全国平均以上です。いっぽうで中国5市・近畿7市・四国4市は、1市も全国平均に届いていません。近畿7市の平均は3,493円、四国4市は3,443円でした。

納豆は、よく「東日本の食べもの」と言われます。その言い方が52市の家計簿のうえでどれくらい当たっているかというと、地域平均で東北1.4倍・近畿0.7倍、つまり倍半分の差という形で出ていました。

西日本から上位に入ったのは、熊本市だけだった

近畿・中国・四国・九州沖縄の25市のうち、上位12市に入ったのは熊本市(12位・6,008円)の1市だけです。2番目に高い西日本の市は21位の福岡市(5,067円)で、熊本市とは941円の差があります。

熊本市のデータをもう少し見てみます。大豆加工品の総額は15,174円で52市中14位、そのうち納豆が39.6%を占めます。油揚げ・がんもどきは3,312円で13位と高めですが、豆腐は5,060円で42位。つまり熊本市は大豆加工品のお金の置きどころが、豆腐ではなく納豆と油揚げに寄っている街でした。

ここで数字が言えるのはそこまでです。なぜ熊本市でそうなるのかを家計調査の金額から断定することはできません。ただ、同じ九州でも長崎市31位・北九州市34位・宮崎市33位・那覇市35位と並ぶなかで、熊本市だけが12位にいるのは、九州全体の傾向ではなく熊本市の固有の事情だということは読み取れます。

「納豆の街」と「豆腐の街」は、まったく重ならなかった

この表には、大豆加工品が4つに分かれて入っています。全国平均は、豆腐5,330円・納豆4,759円・油揚げ・がんもどき3,010円・他の大豆製品906円。合計の「大豆加工品」は14,006円で、4つの和との差は全国で1円、52市でも最大1円しかありません。きれいに足し合わせられる表です。

そこで、52市それぞれで「いちばんお金を使っている大豆加工品はどれか」を出してみました。

  • 豆腐が1位:34市
  • 納豆が1位:17市
  • 油揚げ・がんもどきが1位:1市(福井市)

納豆が街いちばんの大豆加工品になるのは、52市のうち3分の1だけでした。しかもその17市は、納豆ランキングの上位とぴったり同じではありません。納豆ランキング2位の盛岡市は、この17市に入っていません。盛岡市の納豆は6,950円ですが、豆腐が7,115円でそれを上回るからです。逆に、納豆21位の福岡市・22位の札幌市・30位の大分市は、納豆が街いちばんになっています。札幌市は豆腐が4,574円で50位と低く、結果として納豆が最大になる形でした。

相関を取ると、この無関係さがはっきりします。

組み合わせ相関係数
納豆 × 大豆加工品の総額0.763
納豆 × 乾物・海藻0.524
納豆 × 豆腐0.085
納豆 × 油揚げ・がんもどき-0.038
豆腐 × 油揚げ・がんもどき-0.009

納豆と豆腐はほぼ無関係(0.085)、納豆と油揚げも無関係(-0.038)。同じ大豆から作られ、同じ売り場に並んでいるのに、街ごとの買われ方は連動していません。いっぽうで納豆は総額とは強く動きます(0.763)。大豆加工品の総額を押し上げているのは、豆腐より納豆の差のほうだということです。

納豆が大豆加工品に占める比率を見ると、1位は水戸市と青森市の44.2%、次が前橋市42.9%・秋田市42.8%・福島市41.9%。下は和歌山市23.4%・堺市23.8%・徳島市24.8%でした。「大豆にいくら使うか」ではなく「大豆のお金を何に割り振るか」のほうに、地域の性格が出ています。

大豆を扱う現場の話としては、横浜で150年続く麹屋の五代目が、味噌と麹の商売をどう継いだかを話してくれています。もともとは地域の人が持ってきた米を麹にして返す商売で、本業は農業、麹作りは冬場の仕事だったという話です。発酵食品が家ごとに作られていた時代の名残が、いまの売り場の地域差のどこかに残っているのかもしれません。

油揚げの1位は福井市で、全国平均の1.9倍だった

4区分のうち、地域差がいちばん極端だったのは油揚げ・がんもどきです。

1位は福井市の5,855円。全国平均3,010円の1.9倍で、2位の京都市4,309円にも1,546円の差をつけています。最下位との比は3.6倍で、納豆の2.9倍より開いています。上位は福井市・京都市・金沢市・奈良市・富山市と続き、北陸と近畿が並ぶ形でした。

福井県には、油揚げの専門店があります。Shikisaiでは、油揚げ専門のレストランを営む谷口屋の谷口誠さんにお話を伺いました。もとは地域の人が持ってくる大豆と、自分たちで作った豆腐・油揚げを交換するところから始まった店で、油揚げ作りで肝になるのは「掃除」だと話しています。

この油揚げ1位という結果は、同じ家計調査の別の表とも重なります。もちにお金を使う街と小麦粉を買う街では、もちの1位も福井市でした。福井市は納豆では27位(4,748円・全国平均ちょうど)ですが、油揚げともちでは1位。ひとつの街の食の個性は、品目を1つ見るだけでは出てこない、ということでもあります。

なお豆の郷土食という点では、香川に「しょうゆ豆」があります。黒川加工食品の3代目社長が、ソラマメを保存用に乾燥させて美味しく食べる方法を探すうちに家庭の味になった、と説明しています。こちらは大豆ではなくソラマメなので、家計調査の「大豆加工品」には入りません。高松市は納豆47位・豆腐7位で、表の中では「豆腐の街」に分類される市でした。

豆腐は「金額」と「丁数」で順位が入れ替わる

最後に、購入額ランキングを読むときの注意をひとつ。この表で数量の列を持っている豆腐を使うと、金額と数量で順位がまったく違うことが確認できます。

豆腐の金額1位は那覇市の7,708円。ところが丁数で見ると、那覇市は52市中51位の67.52丁でした。1丁あたりに直すと那覇市は114.2円で、全国の64.6円の1.77倍。

いっぽう丁数の1位は富山市の108.15丁、2位は新潟市の105.85丁です。新潟市は1丁あたり48.7円で、52市でいちばん安い。新潟市の豆腐の金額は5,156円で36位ですが、丁数では2位です。

つまり「お金を使っている街」と「量を買っている街」は別物です。納豆には数量の列がないので、この記事の順位はあくまで金額の順位であり、「納豆を何パック食べているか」の順位ではありません。同じことは、金額1位はトマト・重さ1位はキャベツだった生鮮野菜の集計や、魚に使うお金の集計でも確認しています。

出典と注記

  • 出典:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均)」の「乾物・海藻、大豆加工品等」の表(品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング)。元ファイルは rank06.xlsx(シート名「乾物・海藻、大豆加工品等」)。原表の表記は「2023年(令和5年)~2025年(令和7年)平均」
  • 取得日:2026年11月1日
  • 対象:都道府県庁所在市および政令指定都市の52市。県全体の数字ではありません
  • 数字:二人以上の世帯・1世帯当たり年間の支出金額(円)。2023〜2025年の3か年平均
  • 納豆の列は金額のみで購入数量の列がないため、本記事は「購入額」として扱っています。同じ表で数量の列があるのは、干ししいたけ・わかめ・こんぶ・豆腐(丁)・梅干し・だいこん漬・はくさい漬・こんぶつくだ煮です
  • 集計に使った数値は、取得した統計表の数値のみです。順位・比率・相関・地域平均は編集部が計算しました

この記事を書いた人

Shikisai編集部

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「ありのままの想いが地域と未来を紡ぐ」をコンセプトに、地域で働く経営者の想いと取り組みを取材・発信しているWebメディアです。補助金・認証制度などの記事は、行政機関の公表情報(一次情報)を編集部が確認のうえ執筆しています。

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