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藤本健介(天昇電気工業)とは?1936年創業・売上7割が自動車向けの成形メーカーを語る

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1936年創業の老舗プラスチックメーカー、天昇電気工業。ラジオ部品から自動車部品、土木資材まで手がける同社。現在は売上の7割を自動車関連が占め、独自の技術力と革新的な新製品「テンレイン・スクラム」で、持続可能な社会づくりに挑戦する。藤本社長が描く、多様な人材と共に歩む企業の未来とは。ぜひ最後までお聞きください。

藤本健介さんと、天昇電気工業株式会社

天昇電気工業株式会社は、合成樹脂の成形加工と絶縁材料の製造販売を手がける、東証スタンダード市場に上場する企業です。創業は1936年。プラスチック業界の老舗として、私たちの身の回りにある製品を支えてきました。

その代表取締役社長を務めるのが藤本健介さんです。就任は2024年6月27日。長く原料メーカー側にいた立場から、成形加工を担う側のトップへと移った経歴の持ち主です。

1936年創業──ラジオの「顔」から始まった会社

同社は1936年、材料を扱う商社として始まりました。転機は1940年の東京工場稼働です。ここから、プラスチック材料を販売するだけの会社から、成形し、加工し、販売する会社へと姿を変えていきます。

創業当初に手がけていたのはソケットやスイッチ。そこから、当時お茶の間に広がりはじめていたラジオの正面パネル――藤本さんの言葉を借りれば「顔の部分」――の樹脂化へと進んでいきました。

戦後、テレビや洗濯機といった家電が各家庭に入っていく時代になると、流れはさらに加速します。当初は金属でつくられていた製品が、より軽く加工しやすい樹脂へと置き換わっていく。同社はその過程を顧客と一緒に歩んできました。木箱や金属の箱だったコンテナのような入れ物をプラスチックに置き換え、自社商品として展開したのもこの流れです。

藤本さんは、この歩みをひとことでこう表現しました。「多素材からプラスチックへの流れを作ってきたのが天昇電気」。いまでは当たり前に見えるプラスチック製品の多くが、かつては別の素材だったということです。

原料メーカーの営業から、成形メーカーの社長へ

藤本さんは1960年生まれ。1985年に三井石油化学工業へ入社し、1年間の人事を経て、その後はずっと営業畑を歩んできました。扱っていたのはポリプロピレンとポリエチレンです。

この2つの樹脂がどれだけ身近かは、用途を並べると分かります。コンテナ、衣装ケース、日用品のボトル、フィルム、レジ袋やごみ袋、そして自動車のバンパーやインストルメントパネル――。自動車向け、家電向け、フィルム・シート向けと、分野ごとに知識を積み上げながら営業をしてきたといいます。

そして天昇電気工業は、当時の顧客の一社でした。原料を売る側から、その原料を成形して製品にする側へ。商流の川上から川下へ移った形になります。

売上の約7割は自動車向け

現在の主力は自動車です。家電製品は、円高が進んだ時期にかなりの部分が海外へ移りました。そのぶん比重が増したのが自動車向けで、売上の約7割を占めます。

内容は外装部品と内装部品。自動車メーカーと直接取引のある部品メーカー(Tier1)や、その下で成形品をつくるTier2という位置づけで関わっています。

残る3割は、OA機器の部品、身の回りのさまざまなプラスチック成形品、そして自社商品です。自社商品にはコンテナのほか、土木用資材の「テンレイン・スクラム」があります。地下に埋設するプラスチック製の雨水貯留浸透施設で、駐車場や公園、学校などの地下に施工されるもの。近年は営業のなかで自社商品の一括りだったこの製品に専任部隊を置き、注力する体制に変えたといいます。ゲリラ豪雨対策という文脈で需要が高まっている領域です。

強みは「継承された技術」と「一貫してできること」

プラスチックの成形をする会社は他にもあります。そのなかで天昇電気工業の強みはどこにあるのか。藤本さんは2つ挙げました。

1つは技術と文化の継承です。創業から88年(取材時点)のあいだに積み重ねた技術が、ベテランから若手へと何代にもわたって受け継がれてきた。創業者は東北の出身で、寡黙で真面目にこつこつと仕事をする人だったといいます。福島に工場があることもあり、同じ気質を持つ人が多い。粘り強く仕上げていく文化が、そのまま社内に残っているのだそうです。

もう1つは一貫対応。単に成形品をつくって納めるのではなく、企画、製品設計、金型製作、樹脂成形、塗装、組み付けまでを自社で担えます。自社商品を手がけてきたからこそ持てた体制で、「プラスチックでこういうことをしたい」という相談があれば、ほぼ一貫して形にできるという強みです。

技術力が具体的にどこに効くのか、という問いに藤本さんが挙げたのは金型でした。射出成形は、溶かした樹脂を注射のように金型へ打ち込んで固め、取り出す工法です。通常の成形法では実現できない形状のデザインでも、金型のつくり方から工夫して仕上げてしまう。そこが技術の見せどころだと語ります。

働く人にとってのやりがい

社内には技術者が多いといいます。自社商品であれば、自分が考えデザインしたものが立ち上がり、実際にどう使われているかを見ることができる。自動車やOA機器の部品であっても、製品設計から関わっていれば、完成した車を見て「あの部品は自分がつくった」と目で確認できる。形として残り、目に見えることが、やりがいに直結しているという話でした。

もちろん、会社はそれだけでは回りません。営業が仕事を取り、技術が設計し、工場が製造して出荷する。生産、検査、SCMと、メーカーとしてあらゆる職種が関わっています。

ラジオの正面パネルから、自動車部品、そしてゲリラ豪雨に備える地下貯留槽へ。手がけるものは時代とともに変わっても、素材の置き換えを通じて暮らしを支えるという役割は変わっていない――そんな会社の輪郭が見える回でした。

※本記事は、ラジオ番組でお話しいただいた内容をShikisai編集部が記事としてまとめたものです。発言は趣旨を損なわない範囲で整理しています。数値・年数は収録時点のものです。

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Profile

藤本 健介

天昇電気工業株式会社
代表取締役

藤本 健介

ふじもと けんすけ

1985年に慶應義塾大学商学部を卒業 同年、三井石油化学工業(現三井化学)に入社 2024年6月に天昇電気工業株式会社の代表取締役社長に就任 「ものづくり」を通して様々な社会課題の解決に貢献し、明るい将来を実現することを目指します。 また、創業以来蓄積してきた技術力と製造力を活かし、ステークホルダーの期待に応える社会貢献を行っています。

石塚 直樹

株式会社ウェブリカ
代表取締役

石塚 直樹

いしづか なおき

新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。■編集長インタビュー「メディア「地域色彩」立ち上げの背景とは?株式会社ウェブリカ・石塚直樹が語る地域企業活性化のビジョン」https://chiiki-shikisai.com/webrica-ishizukanaoki/

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