ただのリフォームでは満足できないあなたに贈る、田口寛英のリフォーム哲学。住む人一人ひとりに寄り添い、家を通じて心地よい生活を作り上げる方法とは?専門知識と深い理解で、あなたの人生を豊かにするリフォームの秘訣をお届けする。
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目次
「住まいの主治医」という立ち位置
株式会社田口住生活設計室は、さいたま市にある設計事務所です。ただし手がけるのは新築ではなく、既存住宅の耐震診断やリフォーム。代表取締役の田口寛英さんは、自らを「住まいの主治医」と呼んでいます。
施工ももちろん行います。しかしその前に必ず取り組むことがある、と田口さんは言います。住む人にとって、その家とは何なのか。その人の人生や生活を踏まえたうえで、家をどうしていくかを一緒に考える――つまりコンサルティングです。
建築士であり、「素人のプロ」
田口さんは建築士です。しかし本人はこう表現します。建築の専門家である前に、人生や暮らし方の専門家でありたい。もっとも、暮らし方の専門家は一人ひとり全員がそうなのですが――そこに立った建築の人間でありたい、という意識だそうです。
自称は「素人のプロ」。この言葉が出てくる背景には、耐震診断を28年続けてきた経験がありました。
「専門家の正解」と「住む人の正解」は同じではない
阪神・淡路大震災以降、田口さんはずっと耐震診断に携わってきました。大学の研究者による講演や勉強会にも出ています。
そこで語られるのは、家の構造の専門家としての正しさです。それは当然、正しい。しかし田口さんはこう続けます。それが、住む人にとっての正しさとイコールではない。
極端な例として挙げられたのが、高齢の方の住まいでした。あと1〜2年で施設に入る予定がある。それでも命を守るために500万、1000万をかけて補強しましょう――これは専門家の立場では正解です。しかし住む人にとって、あと1〜2年のために1000万をかけることはどうなのか。
かといって、やらなければ危険であることも事実です。だから田口さんは、いくらかけるのかを一緒に考えます。その人の資金の状況も、価値観も違う。そのうえで「最低限、これくらいはやりませんか」と提案する。専門家と一般の方の人生観の折り合いをつけながら、最善の方法を考えるという仕事です。
この姿勢は、業界のなかでは必ずしも歓迎されません。「邪道だ」「お前は何をやっているんだ」という意見ももらうといいます。それでも田口さんの考えは変わりません。「1000万は払えないからやらない」となってしまうくらいなら、最低限をやる。そこでこそ専門性を発揮する。
父の口癖は「売ってはいけないよ」だった
田口さんの父親は、建築材料の問屋を営んでいました。ただし「家業を継いだ」という話ではありません。「あんな親父の仕事なんかやるもんか」と思っていたからです。
学生時代、親孝行のつもりで父の仕事を手伝ったことがありました。問屋業ですからセールスの仕事です。ところが父は、客先へ行ってもセールスをしません。倉庫の片付けをしたり、積み込みを手伝ったりしている。
一方でライバル会社の営業は「今月これをどうですか」と売り込んでいる。「親父、仕事してねーじゃん」「かっこ悪いな」。田口さんはそう思い、絶対に継がないと決めて別の会社へ就職しました。父にとっては完全に逆効果だったわけです。
ただ、父には口癖がありました。酔うと必ず言っていた言葉です。「売ってはいけないよ」「俺は売り込むことをしないけど、仕事をしているんだよ」。
押し込み営業をやめて、掃除を始めたら売上が上がった
就職先は家電メーカーの販売会社。セールスの最前線に立ち、数字を持たされました。昭和の時代であり、押し込み営業が当たり前でした。
「テレビ何十台お願いします」と頼み込む。すると店員の嘆きが聞こえてくる。「また店長が仕入れて、誰が売るんだよ」。そして在庫を捌かなければならないから、来店した客に「在庫がある」という理由で商品を勧める。
田口さんは思いました。これはおかしい。この会社は辞めたっていい、くらいに考えたそうです。
そこで何をしたか。お客さんのところへ行き、店員が喜ぶことは何かと考えて、掃除をしたり草取りをしたりし始めたのです。かつて「かっこ悪い」と思った父と、同じことをしていました。
ところが――売上が上がったのです。
営業活動は何もしていない。リベートも出していない。それなのに店員たちが「田口があんなことばかりやってるから、俺たちが面倒見なきゃまずいよね」と、自分の商品を売ってくれるようになった。田口さん自身は他メーカーの商品を接客して売っていたにもかかわらず、です。
「これが、うちの父親が言っていた『売ってはいけないよ』か」――そこで初めて腑に落ちたといいます。そして大嫌いだったはずの父の会社へ入ることを決めました。それがたまたま、建築の世界だったのです。
建築が好きなわけではなかった
意外なことに、田口さんは「建築が好きなわけではない」と言い切ります。
問屋業は物流の世界です。直接のユーザーと話すには、間に何軒も挟まる。どんなに良い提案をしても、自分のお客さんがいて、その先にお客さんがいて、その先にやっとユーザーがいる。遠い。そこにストレスが溜まっていきました。
ならば自分が直接お客さんに会おう。そのためには資格が要る――そう考えて30代で夜間の学校に通い、建築士の資格を取りました。
「建築をやりたいんじゃないんです。人に伝えたいための資格だったんです」。田口さんは笑いながら「今でも図面は書けない」とも言い添えました。
リフォームにも「セカンドオピニオン」を
リフォームコンサルという言葉は、あまり耳にしません。田口さんいわく「ビジネスとしては成り立たないから、誰もやらない」。
それでも始めた理由は、寄せられる相談でした。田口さんはYouTubeで「リフォーム百科事典」というチャンネルを運営し、業界の本音を発信しています。こういう見積もりを出すのはおかしい、こういう業者に騙されてはいけない――といった内容です。
それを見た人から、問い合わせや相談が次々に届くようになりました。「業者の言うことがどうも」「相見積もりをたくさん取ったけれど、結局分からない」。
そのうちに田口さんは確信します。医療にセカンドオピニオンがあるように、リフォームの業界にも第三者の視点が必要だ。ビジネスとして成り立ちにくくても、需要は確実にある――そこからリフォームコンサルティングが始まりました。
「売ってはいけないよ」という父の言葉が、形を変えていまの仕事になっている。そう見える回でした。
※本記事は、ラジオ番組でお話しいただいた内容をShikisai編集部が記事としてまとめたものです。発言は趣旨を損なわない範囲で整理しています。
ご紹介
Profile
株式会社 田口住生活設計室
代表
株式会社田口住生活設計室の代表取締役として、埼玉県さいたま市北区本郷町を拠点に建築士として活躍。リフォーム、耐震診断・補強、住宅コンサルティング、バリアフリー改修といった幅広い分野で専門知識と経験を活かしている。「人を大切にする世の中をつくること」を理念に掲げ、住む人の視点に立った提案と施工を行う。 1998年4月1日に株式会社田口住生活設計室を設立して以来、地域に根ざした活動を展開。YouTubeチャンネル『リフォーム百科事典』では、リフォームや住宅に関する情報を積極的に発信中。さらに、耐震診断やプラン作成に関するセカンドオピニオンを提供するため全国を飛び回るなど、コンサルタントとしてもその手腕を発揮。リフォームや新築工事、耐震補強、遺品整理、不動産関連サービスなど多岐にわたる事業を展開しており、長年の経験を持つ職人による高品質な施工と、「住まいの主治医」としてお客様に寄り添い続ける。
【職歴】(株)リュードリュー ホットヨガ インストラクター業務(1年間)(株)アディスミューズ 建築事務所総務部にて、来客応対 勤怠管理など(3年間)2010年よりフリーランス活動【趣味】フラダンス、旅行、料理、映画鑑賞、マラソン【特技】バレエ(18年)声楽(10年)【実績】<TVリポーター、ナレーションなど>テレビ埼玉「ごごたま」J:COM千葉セントラル・東京北・神奈川県央各局「デイリーニュース」JCN足立「妻好・アッコの足立広報」「MAQUIA ONLINE」CM「旅フェア」CM「アクサハッピー劇場」WEB CM「ショップチャンネル」<ラジオ パーソナリティ・リポーター>FM世田谷「Setagaya Goes On」ラジオ成田「Morning View NARITA Radio Café」レインボータウンFM「大江戸ワイドスーパーアフターヌーン」<ミュージカル出演>「赤毛のアン」ダイアナ役(東京国際フォーラム 2013年)「GANG」プラム役<イベント・展示会MC>「東京モーターサイクルショー2013」MIDLANDブース「DNP 記者発表会」「SONY ランドセル贈呈式」「千場義雅トークショー」(新宿高島屋)<映画出演>「口裂け女 リターンズ」シズコ役「海に降る雪」看護婦役