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鋼材本数管理をAIで自動化|目視カウントを98%精度で置き換えるスマホアプリとは Runtec株式会社 大倉 豊大

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Runtec株式会社代表・大倉豊大さんは、鉄鋼商社での業務経験と、独学で培ったプログラミングおよびAI技術を背景に、現場業務に直結するプロダクト開発を行っています。鋼材の本数をスマートフォンでリアルタイムに計測するAIアプリをはじめ、従来は人の目視や手作業に依存してきた工程を、高い精度を持つAIによって置き換える取り組みを進めてきました。
開発の出発点は、新規事業や外部向けサービスの構想ではなく、自社業務における効率化や品質管理の改善にあります。本記事では、大倉さんのキャリアの変遷、社内業務の自動化からAI活用に至る経緯、プロダクト開発の具体的な内容、今後の展望について、対話形式で整理します。

今回はWebricaの石塚直樹がナビゲーターとなり、Runtec株式会社代表・大倉豊大さんのキャリアや取り組みについて伺いました。

挑戦の原点

石塚:
まずは、大倉さんのこれまでのキャリアについて伺います。現在はRuntec株式会社の代表として開発を行っていますが、社会人としてのスタートはどのようなものでしたか。

大倉さん:
実家がトマト農家で、社会人になってから最初の数年間は農業に従事していました。栽培管理や出荷作業など、日々の作業を行う中で、現場での判断や段取りが重要になる仕事でした。

石塚:
そこから鋼材専門商社へ転職されたのですね。

大倉さん:
当時の社会状況や収入面の事情もあり、サラリーマンとして別のキャリアを選択しました。鋼材専門商社では、製造業向けの素材を扱う業務に携わることになりました。

鋼材商社での業務経験

石塚:
鋼材商社では、どのような業務を担当されていましたか。

大倉さん:
入社当初は営業部門に所属し、顧客対応や受発注業務、納期調整などを担当していました。倉庫や出荷現場とも連携しながら業務を進める必要があり、現場の流れを把握する機会が多くありました。

石塚:
業務を進める中で、課題に感じていた点はありましたか。

大倉さん:
在庫管理や出荷作業では、手作業による確認や入力が多く、作業負担が大きいと感じていました。特に本数管理や棚卸作業は、ミスが許されない工程でした。

〈編集注:鋼材は本数や材質の誤りが品質や安全性に影響するため、管理精度が求められます〉

社内IT部門への異動と業務自動化

石塚:
そこからIT部門へ異動された経緯を教えてください。

大倉さん:
業務の中で、個人的に学んでいたプログラミングを使い、簡単なツールを作成しました。入力作業を自動化したり、処理を効率化したりする取り組みを続けていました。

石塚:
それが評価されたのですね。

大倉さん:
業務改善の効果が出たこともあり、社内のIT系部門へ異動することになりました。異動後は、社内業務全体を見渡しながら、どの工程をシステム化できるかを検討していました。

石塚:
具体的にはどのような業務ですか。

大倉さん:
生産管理や出荷管理のワークフローを整理し、帳票処理やデータ入力をシステムで置き換えていきました。既存の業務を止めずに改善することを重視していました。

AIアプリ開発のきっかけ

石塚:
そこからAIを活用した開発に進んでいくわけですね。

大倉さん:
業務自動化を進める中で、人の目や経験に依存している工程が残っていることに気づきました。その代表例が、鋼材の本数管理でした。

石塚:
鋼材の本数管理は、どのような点が課題だったのでしょうか。

大倉さん:
倉庫内では多くの鋼材を扱うため、本数を正確に数える必要があります。従来は作業者が目視で一本ずつ確認していましたが、作業時間がかかり、ミスのリスクもありました。

リアルタイム計測アプリの仕組み

石塚:
そこで、AIを使ったアプリを開発されたのですね。

大倉さん:
スマートフォンのカメラで鋼材をかざすことで、リアルタイムに本数を計測するアプリを開発しました。撮影後に解析する方式ではなく、その場で結果が表示される仕組みです。

石塚:
現場での使い勝手も考慮されていますね。

大倉さん:
作業を止めずに使えることを重視しました。また、アプリ内にAIを内包しているため、電波が届かない倉庫内でも使用できます。

AI学習と開発体制

石塚:
精度についても伺いたいです。

大倉さん:
海外のAI学習プラットフォームを活用しています。学習データの生成や学習プロセスの一部をAIが担い、複数のAIが学習状況を監視・補正します。

石塚:
精度はどの程度でしょうか。

大倉さん:
鋼材本数の検出では、最終的に98%以上の精度を確保しています。

石塚:
開発体制についても教えてください。

大倉さん:
基本的に一人で開発しています。学習環境を効率化することで、短期間での開発が可能になりました。

今後の展望

石塚:
今後、取り組んでいきたいテーマはありますか。

大倉さん:
切断後の鋼材断面の表面精度を評価する仕組みを検討しています。断面の状態によって、その後の加工工程の効率が変わります。

石塚:
生産管理システムへの応用についてはいかがでしょうか。

大倉さん:
既存の生産管理システムを入れ替えるのではなく、その上にAI機能を追加し、自然言語で検索や集計ができる仕組みを目指しています。あわせて、多言語対応を進め、海外展開も検討しています。

編集後記

本記事では、Runtec株式会社代表・大倉豊大さんへの取材内容をもとに、プロダクト開発の経緯や技術的な取り組みについて整理しました。開発の起点は、社内業務における具体的な課題であり、外部市場を前提とした構想ではありません。鋼材本数の計測や断面精度の評価など、業務上重要でありながら人手に依存してきた工程に対して、AIを用いた置き換えが進められています。
対話の中では、精度や再現性、開発スピードといった実務上の要件が中心に語られていました。既存の業務やシステムを前提とし、それらをどのように補完するかという視点が一貫しています。本記事は、製造・流通分野におけるAI活用の具体例として、業務改善やシステム設計を検討する際の参考資料となることを目的としています。

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Profile

大倉 豊大

Runtec株式会社
代表

大倉 豊大

おおくら とよひろ

X(旧:Twitter) Youtube

実家がトマト農家で、社会人としてのキャリア初期は農業に従事。その後、鋼材専門商社へ転職し、営業部門を経て社内IT部門へ異動。業務の中で培った現場理解と、独学で身につけたプログラミング技術を活かし、在庫管理や出荷管理などの業務自動化に取り組む。
社内業務の改善を進める過程でAI技術の活用に着目し、鋼材の本数をスマートフォンでリアルタイムに計測するAIアプリを開発。人の目視や経験に依存していた工程を、精度98%以上のAIで置き換える仕組みを構築する。
現在はRuntec株式会社の代表として、鉄鋼業界を中心に、現場業務に直結するAIプロダクトの開発を行っている。既存システムを前提としたAIアドインや、多言語対応による海外展開にも取り組んでいる。

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石塚 直樹

株式会社ウェブリカ
代表取締役

石塚 直樹

いしづか なおき

新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。
腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。
地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。

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