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なぜ、今あらためて「帝王学」なのか?
「ビジネス書を読んでも、リーダーシップ研修を受けても、どこか物足りなさを感じてしまう。」
そう語るのは、株式会社因幡古典探求舎 代表取締役の都泰寛(みやこ・やすひろ)さんです。
都さんが実践・研究されているのは、中国古典に基づいた“帝王学”。歴史の中で育まれ、裏打ちされたリーダー哲学を通じて、現代の組織マネジメントや人格形成に新たな視点を投げかけています。
「リーダーとしての“技術”だけでなく、“人としての在り方”を学ぶ機会が必要なんです」
と語る都さんの思考と実践を、じっくりと紐解いていきます。
“知識”ではなく、“学問”としてのリーダー論を
都さんの原点は「抜き書き」でした。
学生時代から読み続けていた中国古典(『貞観政要』『論語』『十八史略』など)から、リーダーの姿勢や言葉を抜粋し、Wordファイルに記録し続けていたそうです。その分量は、40字×40行の原稿用紙で30ページ以上にも及びます。しかし、それはただの読書メモではありませんでした。
抜き出された言葉はやがて体系化され、中心には帝王学の古典的テキスト『貞観政要』が据えられました。
「現代のリーダー論は、どうしても個人の経験や成功体験に寄りかかってしまいがちです。でも古典は、時代を超えて読み継がれ、淘汰されずに残ってきた“本質”だけが詰まっている。だからこそ、普遍性があるのです。」
「人を大切にせよ」は当たり前?それでも見落とされる“深層”
都さんが紹介する帝王学の教えのひとつに、こんな一節があります。
「天下を安んぜんとせば、まずその身を正すべし」
「良い組織を築きたいなら、まずは自分自身を正すべきである」と解釈されるこの言葉。ですが、“自分を正す”とは一体どういうことなのでしょうか?
「表面的に“人を大事にしている風”を装っても、心が伴っていなければ、やがて組織は崩れてしまいます。帝王学は、“内面の修養”を徹底して求めてくる。そこが、現代的なテクニック論とは根本的に異なる点です。」

書籍とセミナーを通して、実践の場を広げる
現在、都さんはこれまでの研究と実践をもとに、書籍『人格修養のすすめ』を出版されています。さらに、「帝王学リーダーシップセミナー」や「中国古典に学ぶ会」などを通じて、リーダー層はもちろん、子どもや主婦、社会人など幅広い層へ向けた古典教育の場を提供されています。
「“帝王”という言葉に堅苦しさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも本質は、『人としてどう在るべきか』を問い続ける学びです。だからこそ、立場や年齢を問わず、誰もが触れる価値があると思っています。」
また、ご希望があれば、企業向けのコンサルティングも実施されており、単発のセミナーにとどまらず、「実践」を伴走支援するスタイルも特徴のひとつです。
「帝王学といえば因幡古典探求舎」と言われる存在へ
今後の展望についてお伺いすると、都さんはこう語ってくださいました。
「将来的には、“帝王学といえば因幡古典探求舎”と認知される存在を目指しています。学問の力が、社会や人の役に立つことをもっと多くの方に伝えていきたいですね。」
現在は、公式サイトのほか、専門家メディア「マイベストプロ」でも定期的に記事を執筆。
また、メールやLINE、電話などによるお問い合わせにも対応されており、“最初の一歩”として気軽に相談できる体制が整っています。

編集後記:新しくて、古い。人間そのものに立ち返る学び
リーダーが迷い、組織が疲弊する今。
その答えは、斬新なテクニックや理論ではなく、「人間そのものに立ち返る」ことかもしれません。
帝王学は、決して特別な立場の人だけの学問ではありません。
自分を律することから始める、すべての人のための実践的な教えだと、都さんは繰り返し語ってくださいました。
▼公式HPはこちら
株式会社因幡古典探求舎とは
株式会社因幡古典探求舎は、帝王学を用いたセミナーなどを通じて、その内容を伝えることを主な事業としている会社です。代表取締役は都泰寛さん。
「帝王学」――聞いたことはあるけれど、よく分からない。そういう言葉の代表格ではないでしょうか。この回は、その中身を都さんに一つずつ解いてもらった回です。
始まりは、Wordファイルの「抜き書き」だった
都さんがこの仕事を始めたきっかけは、事業計画でも起業願望でもありませんでした。
昔から歴史書や思想書が好きでよく読んでいた。そのなかから、経営者やリーダー、人の上に立つ者としての考え方・態度・姿勢に役立つ内容を抜き書きし、長らく保管していたのだといいます。
抜き書きの出典として挙がったのは、こうした古典です。
- 『貞観政要』――帝王学の教科書と言われる古典
- 『論語』――中国古典の代表格といえる思想書
- 『十八史略』『戦国策』――中国の歴史書
共通していたテーマを、分かりやすい言葉にするとこうなります。リーダーシップ、組織運営、組織マネジメント――そしてそれらを行ううえで身につけるべきこと。
どのくらい貯まっていたのか。Wordのファイルに文章だけを並べて、数十ページにおよぶ量になっていたそうです。
それを『貞観政要』の内容に沿って体系的にまとめ、一段落したところで知人に見せたところ、こう言われました。
これはぜひとも広く世に発信して、知ってもらうべきである。
それが、今の活動の出発点になっています。
帝王学が、ほかのリーダーシップ論と根本的に違う2点
この回の核心が、ここでした。世の中にリーダーシップ論や組織マネジメントの理論は無数にあります。そのなかで、帝王学は何が違うのか。
都さんの答えは、2点に絞られていました。
1つ目。学問・教養に基づいていること。
個人の考えや個人的な体験ではなく、個々人の経験や知恵が結集された「学問」に基づいている。
2つ目。それを実践してきた先人の歴史があること。
学問という確固とした根拠に立脚しており、さらに実際に実践して成功してきた人たちの歴史的な事例がある。この2点が決定的に違う、と。
「人を大事にする」を文字どおり実践すると、逆効果になる
では、帝王学は具体的に何を教えるのか。都さんは『貞観政要』の冒頭から説明を始めました。
最初に説かれているのは「君たるの道」――リーダーとしての心構えです。そしてそれは、いきなり「人を大事にすることである」と説かれる。
ただし、と都さんは続けます。ここには読み違えてはいけない一線がある。
形の上だけ大事にするということではない。心から大事にするということ。
そして、ここが読み取れないと後の項目も読めない。それどころか――
下手に文字に書かれていることをそのまま実践すると、かえって逆効果になる。
古典を「使えるフレーズ集」として消費することへの、静かな警告のように聞こえました。
「その身を正す」とは何をすることか
では、心から人を大事にするには、どうすればいいのか。
この問いに対して、『貞観政要』の続きの文言が引かれました。
「もし天下を安んぜんとせば、必ずすべからく、まずその身を正すべし」
都さんの意訳は明快でした。「天下を安んずる」=安定した組織運営をしたいなら、と理解して大丈夫です、と。
つまり、人を大事にするにはどうしたらいいかという問いへの答えが「まずその身を正しなさい」である。
では「身を正す」とは何か。都さんはこれを「身を修める」と言い換えます。ここで出てきたのが、多くの人が名前だけは聞いたことのある科目でした。
修身――かつて実際にあった学校の科目です。あれが「身を修める」ということになる、と。
さらに具体的には何をするのか。答えはこうでした。
『貞観政要』のみならず『論語』などの中国古典に教えられている内容をしっかり学んだうえで、実践していくこと。実践を通して身につけること。
学びと実践は「車の両輪」
現在の活動は、本の出版、中国古典に学ぶ会、帝王学やリーダーシップ・組織マネジメントを題材とするセミナー。抜き書きを体系的に整理したものは、一冊の本にまとめられています。
コンサルティングも扱っています。ただ、その理由がこの学問の性質から来ているのが特徴的でした。
中国古典に基づく帝王学は、一回話を聞いて終わりではない。
学びと実践が、車の両輪のごとく大事である。
だから実践していくなかで、新たな相談や悩み事、「なかなかうまくいかないんだけどどうしたらいいですか」といったことが出てくる。そこに可能な限り対応している、というわけです。
帝王学は、特別な地位の人のためのものではない
今後のビジョンを尋ねられた都さんは、まず誤解を解くところから話し始めました。
帝王学というと、いかにも経営者やリーダーなど特別な地位にある人のための学問に思われるかもしれない。しかし、その前段階にあるのが「身を修める」ことです。
そして「身を修める」とは、普遍的な人の道、道徳倫理にあたる。学び、実践を通して自らの人格を磨き上げていくもの。
だから――
特別な人たちのためのものではなく、年齢・性別に関係なく、どんな人でも学ぶべきもの。学んで損はないもの。
この考えから、都さんは古典教室のチラシを新たに作成し、興味のあるお子さんや社会人を募る活動を始めています。将来的な展望はこうでした。
「帝王学と言ったら因幡古典探求舎でしょ」と言われるくらいまで、しっかりと広めたい。
情報が溢れる時代だからこそ
最後のメッセージが、この回の主張を要約していました。
世の中には、リーダーシップ論、ビジネスの成功の秘訣、部下や社員との効率的なコミュニケーションの取り方――そういったものが溢れている。
そんな時代だからこそ、しかるべき学問に基づいた帝王学。
自らの人格を磨き上げることによって、次々に現れる方法論に飛びつかずとも、安定した組織運営、そして最終的な成功への道のりは間違いなくつながっている。それは歴史的な事例として数多くの君主や経営者が実証している――というのが都さんの立場です。
そのうえで、こう付け加えていました。「帝王学なんてなんだか難しそうだな」と思われずに、もっと肩の力を抜いて、興味を持ってお気軽にお尋ねいただけたら、と。
※本記事は、ラジオ番組でお話しいただいた内容をShikisai編集部が記事としてまとめたものです。発言は趣旨を損なわない範囲で整理しています。古典の引用は番組内で語られた読み下しに沿っています。
ご紹介
Profile
株式会社因幡古典探求舎
代表取締役
鳥取県立鳥取西高校卒業 大正大学歴史文化学科卒業 大正大学大学院文学研究科宗教学専攻東洋哲学コース修了 小学生の頃から歴史が好きで、小学館の歴史漫画を繰り返し読んでいました。高校生になると史書に興味が深まり、休憩時間には図書館で新釈漢文大系を読む日々を送りました。大学では諸子百家などの経書にも親しみ、関心は伝記や伝統文化へと広がっていきました。 私は、歴史や東洋哲学の知識は、活かしてこそ意味があると考えています。その知の実践的な形が「帝王学」です。 これを通して、一人でも多くの優れたリーダーが育ってほしい。それが私の願いです。
株式会社ウェブリカ
代表取締役
新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。

