創業60年以上、東京・荒川区で地域に根ざしてきた株式会社形山工務店。その三代目・専務取締役の形山龍之介さんをゲストにお迎えし、家業を継ぐまでの紆余曲折、職人としてのこだわり、そして公務店業界の現状や課題についてじっくりとお話を伺いました。 厳しい父に一度は入社を拒まれ、他社で修業を積んだのちにたどり着いた「本当に信頼される仕事」とは?大工の世界で大切にしている「1mmへのこだわり」と「人とのつながり」。業界として価格競争が進む中、大切している考え方とは?温もりある会話から、住まいづくりの真髄と、これからの建築業界の未来像が見えてきます。
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リフォームとリノベーションは、何が違うのか
物件情報でよく見る「リフォーム済み」「リノベーション済み」。この2つ、実は明確に意味が違います。
東京都荒川区で株式会社形山工務店の専務取締役を務める形山龍之介さんに、その違いを説明していただきました。
リフォーム=既存のものを新しくする
リフォームは、間取りを一切変えないのがポイントです。
いま住んでいる住宅のなかで、古くなったキッチンや風呂、トイレを新しく交換する。フローリングが古くなったので張り替える。壁紙を綺麗にする。
つまり既存のものを新しくする――それがリフォームという言葉の意味合いです。
リノベーション=間取りそのものを変える
一方のリノベーションは、間取りそのものを変えてしまう工事を指します。
形山さんが挙げた例が分かりやすいので紹介します。
仮に間取りが3LDKだったとします。しかし子どもたちが自立して、そんなに部屋数が要らなくなった――こういうお客様はよくいるそうです。
そこで部屋を一つ潰して、リビングを大きくしてみようと考える。さらにそこへ新しい風呂やキッチンを入れて、その物件に付加価値をつけてあげる。
形山さんの言葉でまとめると、リノベーションとは一度間取りをなくして、そのお客さんに合った住みやすい間取りを新しく作ってあげることです。
株式会社形山工務店とは
形山工務店は、形山さんの祖父が創業して60年以上になる会社です。拠点は東京都荒川区。
メインはいま説明した住宅のリフォーム・リノベーション。依頼はお客様から直接来ることもあれば、不動産会社経由のこともあります。
あわせて不動産事業と解体工事も手がけていますが、その関わり方には特徴があります。
不動産については、自社が直接業を営んでいるというより、提携している個人の不動産会社との連携です。そちらから案件の紹介を受けることもあれば、逆に自社のお客様が土地や不動産を売却したいというとき、提携先に話を持っていく。やりとりは不動産会社が担い、工事は形山工務店が担当するという形です。
解体工事は、メインが住宅の内装解体。ときには家屋や戸建ての解体、樹木を伴う大掛かりな解体にも対応します。ただし割合でいえば9割方は住宅の内装解体で、リフォーム・リノベーションに伴って出るゴミの産業廃棄物処理などが中心になるといいます。
父に「入れてくれないか」と言ったら、断られた
形山さんは現在、営業と現場の管理を担当しています。ただし家業に入るまでの経緯が、少し変わっていました。
高校を出たとき、たまたま家業が工務店だったので、父にこう言いました。「私も入れてくれないか」と。
正直なところ、そのときは大工という仕事に特別な興味があったわけではなかったといいます。入れるものだと思っていた。ところが――断られてしまったのです。
父の言葉はこうでした。
「大工をやるのであれば、他の工務店に行きなさい」
それがきっかけで、形山さんは他所の工務店で世話になることになります。そしてそこで、自分自身が大工という職人の仕事に強い魅力を感じるようになっていきました。
修行を積み、やがて個人事業主として独立。家業にすんなり入れてもらえなかったことが、結果として職人としての土台を作ったことになります。
「リフォーム済み」と「リノベーション済み」の違いを、これだけ具体的に説明できる背景には、そうして積み上げた現場の時間がありました。
※本記事は、ラジオ番組でお話しいただいた内容をShikisai編集部が記事としてまとめたものです。発言は趣旨を損なわない範囲で整理しています。
ご紹介
Profile
株式会社形山工務店
専務取締役
株式会社形山工務店 専務取締役。株式会社形山工務店は、東京都荒川区町屋に本社を構え、リフォーム・リノベーション・不動産事業を展開。お客様営業担当兼現場管理監督として、お客様の住まいをより快適な空間へと変える提案から、現場の管理まで幅広く担当。三代目として、職人のこだわりと誇りを大切にしながら、伝統の技術と新しいアイデアを融合させた家づくりに取り組む。宇宙物理学を学んだユニークな経歴やコールセンターでの経験を活かし、多角的な視点でお客様からの要望に応える。また、現場管理や営業だけでなく、職人としての誇りや技術の継承にも力を入れている。
経歴:大学卒業後、「東京アナウンスセミナー」でスキルを磨く。2015年に「第24代椿の女王」に選ばれ、1年間伊豆大島の観光大使として活動。2020年にNHK和歌山放送局の契約アナウンサーとして入局。出演番組:「ギュギュっと和歌山(わかやま見つけ隊)」「ぐるっと関西おひるまえ」