近年、多くの企業が人材育成や組織改革に取り組んでいます。しかし「研修をしても成果が続かない」「社員の当事者意識が高まらない」といった声は後を絶ちません。そんな中、「従業員一人ひとりの自発性を引き出すことで、組織全体を変革する」独自のプログラムを展開しているのが、株式会社ディシプリナ です。代表取締役の山本真吾さんに、その想いと実践について伺いました。
目次
ディシプリナが手掛ける二つの事業
ディシプリナの事業は大きく二つの柱から成り立っています。
①「人材育成・組織開発」②「変革コンサルティング(経営・業務コンサルティング)」です。
なかでもメインとなるのは、人材育成・組織開発の領域。山本さんは「企業が変わるのは最終的には“人”である」という信念を持ち、社員一人ひとりが主体的に考え、行動できるような仕組みづくりを支援しています。
「下8割を上位2割に」──2:6:2の法則を超えるアプローチ
一般的に、組織は「上位2割の優秀層」と「下位8割」に分けられると言われます。ディシプリナのプログラムは、この「下8割」の社員を、上位層と同じパフォーマンスを発揮できる人材へと成長させることを目指しています。
そのための鍵となるのが、お客様の「成し遂げたいこと」を徹底的に探求する仕組み です。ジョブ理論をベースに「機能的」「感情的」「社会的」という三つの切り口から顧客ニーズを掘り下げ、グループディスカッション形式で多角的に考えます。これにより、社員は「お客様が本当に求めているもの」を主体的に理解し、課題解決へとつなげることができるのです。
仮説検証を通じて芽生える当事者意識
プログラムは単なる座学やワークショップに留まりません。社員自身が立てた仮説を実際の顧客インタビューで検証し、気づきを得るプロセスを組み込んでいます。
「最初に描いた仮説が覆されることは多い」と山本さんは語ります。しかし、その試行錯誤を重ねることで、社員の中に「お客様のためにどうすれば良いかを考え抜く習慣」が生まれます。この繰り返しが、当事者意識と自発的行動を起こせるその「空気」を組織全体に根付かせていくのです。
目指すのは「良質な問題設定力」を持つ人材の創出
AIやDXが進展する現代、課題解決のスピードや正確性では人間は機械に勝てません。山本さんが注目するのは、むしろ 「問題をどう設定するか」 という力です。
「ビジネスは問題設定とその解決の組み合わせ。解決はAIが担えるが、良質な問題設定は人間にしかできない」と語る山本さん。ディシプリナのプログラムは、この「問題設定力」を磨くことで、社員を“生き生きと働く人材”へと成長させることを目指しています。
最後に──働く人をもっと生き生きと
山本さんの原点には、「働く人がもっと生き生きしてほしい」という強い願いがあります。
「お客様に喜んでもらうためにどうすべきかを考え抜き、自ら動く。その実感こそが、働く喜びだと思うんです」
ディシプリナの取り組みは、単なる研修を超え、社員と組織を持続的に変革していく実践型の支援です。組織改革や人材育成に悩む企業にとって、大きなヒントとなるのではないでしょうか。
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山本真吾さんと株式会社ディシプリナ
株式会社ディシプリナは、2つの事業を手がけています。1つは人材育成・組織開発、もう1つは変革コンサルティング(一般的にいう業務コンサルティング)。メインは前者です。代表取締役を務めるのが山本真吾さんです。
人材育成のサービスを提供している会社は数多くあります。そのなかで同社が掲げているのは、かなり明快な一点でした。組織を語るときによく使われる「2:6:2」――その下の8割層を、上位2割層と同じパフォーマンスが出せるところまで引き上げる。それを目指したサービスだといいます。
SIer13年から、なぜ「人」の領域で起業したのか
山本さんの経歴は、人材業界一筋ではありません。新卒で国内のSIerに入り13年。その後コンサルティングファームへ移り、製造業を立ち上げ、前職はデザインコンサルティングファーム。UXデザインやデザイン思考を活用したコンサルティングを長く手がけてきました。
人材開発の部署にいたわけでもありません。それでもこの領域で起業したのは、どの仕事を通じても同じ結論にたどり着いたからでした。
企業が変わる、組織が変わるというのは、結局のところ「人」だ。人が変わらないと、企業も組織も変わらない。SIerにいたときも、ビジネスコンサルティングをしていたときも、そう思い続けてきたといいます。
「フレームを埋めて、結局何になるんだろう」への違和感
起業の直接の動機になったのは、既存の人材育成サービスへの違和感でした。
山本さんが挙げたのは2点です。1つは一方通行的なサービス提供になっていること。もう1つは、20年も30年も前の理論やフレームワークを、そのままクライアント企業にインストールしていること。それは本質的ではないのではないか、と。
具体例として名前が挙がったのが、新規事業や新サービス開発の研修でおなじみのリーンキャンバスやバリュープロポジションといった手法です。「型に言われたことを埋めていって、結局これが何になるんだろう」――研修を受けたことがある人なら覚えのある感覚ではないでしょうか。
人が起因になって企業は成長する。ならば、人がもっと自発的に思考し、考え抜いて行動するようなサービスが作れないか。ディシプリナのプログラムは、ベースとなる先端の理論を自社流に独自カスタマイズしたオリジナルとして組み立てられています。
上位2割は何が違うのか
そもそも「上位2割」は何をしているのか。山本さんの整理はこうです。
お客様が求めているものを、しっかり捉えることができる。それを深く思考することができる。そのうえで、お客様が成し遂げたいことをどうすれば実現できるかを、自発的に行動して提供できる。これが上位2割の特徴だといいます。
言い換えれば、顧客のニーズに対する当事者意識です。ディシプリナのプログラムは、その当事者意識を持てる状態を作り出そうとしています。
プログラムの中身──「機能的・感情的・社会的」の3つの切り口
中核にあるのはジョブ理論です。「ユーザーはドリルが欲しいのではなく、穴が欲しいのだ」という有名な文脈でよく語られる考え方で、お客様が本質的に欲しいものは何か、成し遂げたいことは何かを徹底的に探求します。
独自性があるのは、その探求の仕方です。まず顧客を設定し、その顧客が成し遂げたいことは何かという問いを投げかける。このとき、アウトプットを「機能的」「感情的」「社会的」という3つの切り口で出してもらいます。
これによって、顧客が成し遂げたいことが網羅的かつ体系的に抽出され、偏らない。一人で考えると、思いつくものはあっても視野が狭まり、そこで答えを出した気になってしまう。3つの切り口を意識することで、その落とし穴を避けられるという設計です。
もう1つの特徴が形式で、20〜30名規模のワークショップとしてグループディスカッションで進めます。自分のアウトプットだけでなく、周囲から出てきた内容も見ながら意見交換する。「僕はこう思っていたけれど、この人はこう思っていたのか」と他者の価値観を知ることで、探求の網羅性がさらに上がります。
「打ち手」と「期待される成果」を並べる
顧客が成し遂げたいことが言語化されたら、次の段階へ進みます。
それを実現するための「打ち手」を考える。そして、その打ち手が実行されたとき、お客様にとって期待される成果は何かを出す。この打ち手と期待される成果をグルーピングしていくことで、最終的に「どういうサービスを提供すればお客様に喜んでいただけるか」というアイデアやネタが、いくつも抽出されていく――というのが全体の流れです。
研修を受けても成果が続かない、社員の当事者意識が高まらない。多くの企業が抱えるこの課題に対して、ディシプリナが出した答えは「フレームを教えること」ではなく「顧客が成し遂げたいことを、自分の頭で徹底的に探させること」でした。
※本記事は、ラジオ番組でお話しいただいた内容をShikisai編集部が記事としてまとめたものです。発言は趣旨を損なわない範囲で整理しています。
ご紹介
Profile
株式会社ディシプリナ
代表取締役
大手国内SIerにて13年間 ITコンサルティング、プロジェクトマネジメントに従事。事業統括長を歴任。
その後、PwCコンサルティングにて大手ハイテク・通信キャリアドメインを中心にDXコンサルティング案件を多数担当。
2017年からはCIO兼生産管理管掌役員として航空エンジン部品製造業の立ち上げに従事。
その後、デザインコンサルティングファームの役員としてデザイン思考やUXデザイン領域の講演・ワークショップ開催・新規事業開発支援を中心に活動。
2023年に株式会社ディシプリナを立ち上げ、現在は法人向けの人材育成・組織開発支援、および変革コンサルティングサービスを提供中。
株式会社ウェブリカ
代表取締役
新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。
腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。
地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。
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