身体はよろこび、心は満たされる野尻ケイクのケーキ。健康を第一に考えた素材選びと製法とは?


株式会社Orijin 取締役 野尻 竜生 TATSUO NOJIRI

美味しいのに罪悪感なく食べられる。そんな禁断のケーキがあってもいいのでしょうか。株式会社Orijinが運営する野尻ケイクは、健康を第一に、素材・製法にこだわり、美味しさも追求しているケーキ屋さんです。始められた背景には、代表・野尻恵子さんの体と食材の関係性を考えるきっかけになったホテル勤務時代の違和感からきていました。近年、ヴィーガンの料理・スイーツも注目を浴びていますが、美味しいケーキを作る上で大切にしていることは何なのでしょうか。今回は経営などを統括されている旦那様の竜生さんにお話を伺ってきました。

ホテル勤務時代に感じた「ある違和感」

—野尻ケイクはどういう経緯で始められたのでしょうか?

野尻さん:彼女は、元々パティシエを目指していたので、製菓専門学校を卒業後に関西のホテルに就職して洋菓子の基礎を習得していましたが、その際、あまりにも多く使われる白砂糖やバター乳製品に疑問を持ち始め、体と食材との関係性を考えるようになりました。その後地元に戻り、結婚・出産を経験し、健康に気を遣いながら美味しいケーキを食べたいと思うようになりました。ただ、過去の経験から添加物などを使っているケーキは食べると心と体と共に罪悪感を感じるので、添加物を一切使わない美味しいケーキを、そして健康に気を遣いながら、働いている従業員も笑顔で楽しい環境に。そのような思いで始めました。

—健康に気を遣いながら生まれたものなんですね。添加物を使わずケーキを作る上で、大切にしていることを教えてください。

野尻さん:まずは、素材のこだわりがあります。野菜は有機農法の物を取り扱っていて、扱う素材は美味しさを一番優先にしているので、福井県産のもので統一するというより、良いところの美味しいもので揃えています。また、添加物を使わないで、美味しいケーキを作ることが私たちのコンセプトなので、砂糖は白砂糖を使わず、自家製の甘酒や北海道産のてん菜糖、キビ砂糖を使って、ホイップクリームも卵や生クリーム・豆乳を使わず、自家製で美味しさを追求しています。そして、野尻ケイクの洋菓子の多くはヴィーガンで、かつグルテンフリーです。

—コンセプトを軸に素材にこだわっておられるんですね。製法では、どのような取り組みをされているんでしょうか?

酵素を壊さないで栄養を直接補給できる方法があった

野尻さん:製法では、ローフード製法をとっています。Raw(ロー)とは、「生」という意味で、食物が持っている酵素が壊れない・48℃以下で調理するローフード、ロースイーツを意味します。その特徴として、スイーツなのに栄養豊富で、ムースのように口溶けが滑らかで、お腹にもたれないさっぱりとした余韻を楽しめます。

—まさに罪悪感なく楽しめますね。竜生さんもローフードのパワーを感じるご経験があったそうですね。

野尻さん:健康にいいことを色々試していた時にコールドプレスのジュースを初めて飲んだんです。(コールドプレスとは、果物や野菜を粉砕して、そのまま加熱することなく搾汁すること)すると、眩暈がしてきて、体がすごく熱くなって体内の神経が浮き上がってくるような感じがしました。やはり栄養素を極力そのまま体に入れた方が素材本来のパワーを活かせると思いました。

—先ほど、洋菓子はヴィーガンでグルテンフリーだと仰っていましたが、やはり最近そのようなニーズの高まりを感じていらっしゃいますか?

野尻さん:うちは幅広いお客さんがきてくれていますね。健康志向の強い方や食物アレルギーを持っている方では、よそのケーキは食べれなかったけど、野尻ケイクのケーキは食べられたといってくださる方も多いですし、普通のケーキ屋だと思って来店される方も多いです。また、うちは男の人が来店される事が多く、あっさりしていて重すぎないケーキがとても好評です。

—美味しいケーキでも、カロリーを気にせず食べられることが多くの方に受け入れられているんですね。新店舗を出されるようですが、新店舗を出そうと思ったきっかけは何でしょうか?

新店舗では、お客さんと私たちを繋ぐそういった場所を作りたい

野尻さん:生産量を上げるために、どこか新しいところに拠点を作って生産をする場所を作る必要があったので移転を考えていました。一年ほど探していたのですが、紹介いただいて見つけた新拠点は、目の前にドーンと山があって、反対には田んぼがありとても静かでのどかな場所でした。それに加えて、高速道路のインターも近く、アクセスも良い素晴らしい場所だったんです。当時使っていたであろう機械も残っていたので、当時のいいところは残しつつ、そのままの空間を継承していくと言いますか、お客さんと私たちを繋ぐそういった場所にしながら野尻ケイクらしさも出していきたいですね。

—空き家を空き家のままだけでなく有効活用しているところが地域に根ざしていますね。最後に、今後のビジョンについて教えてください。

野尻さん:私たちの作るケーキは健康を第一に、かつ上質で安心できる美味しいケーキを作ることがコンセプトです。しかし、美味しさは二の次に考えられてしまい、ヴィーガンの料理やスイーツは美味しくないというイメージがついてしまっているのが非常に悔しいです。そんなイメージを払拭するように頑張ってこれからも作っていきたいと思います。1月からはオンラインショップのみの運営となりますが、新店舗オープンまで楽しみにしていただけたらと思います。

編集後記

ご自身の経験を元に始められたケーキ作りですが、健康に気を遣いながら気にせずケーキを食べられるという部分に興味を惹かれた方も多いのではないでしょうか。白砂糖や添加物を使わない素材や酵素を壊さない製法で作っているケーキは見た目も非常にキュートで、食欲をそそられます。新店舗がオープンしたら直接お店に行ってみたいものですね。オンラインショップでは、店頭で人気の高いカットケーキをセットにして販売されています。実際に食べてみたらあなたも野尻ケイクの虜になるかもしれません。

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株式会社Orijin 取締役

野尻 竜生 TATSUO NOJIRI