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レゴ®×対話で組織が動く──福岡・あすく社労士事務所の泉隆一さんが語る「理念浸透」と「働きがいを生む研修」

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「対話から、理想の明日をクリエイト」。福岡県古賀市に拠点を置く あすく社労士事務所(あすくプロジェクツ) の代表であり、社会保険労務士・研修講師として活動されている 泉 隆一 さんは、レゴ®シリアスプレイやリフレクションカードを活用した“対話型の学びの場”づくりに力を入れていらっしゃいます。メーカー勤務から調理師、店舗運営、健康診断会社、Amazon Japanのカスタマーサービスまで、十回の転職を経験してこられた泉さん。その多様なキャリアの蓄積が、現在の理念浸透・リーダーシップ開発・心理的安全性を重視した研修へと結びついています。本稿では、公式ミッションとキャリアの軌跡を重ねながら、泉さんが語る“働きがいを中心とした組織づくり”の構造に迫ります。

今回は 石塚直樹 がナビゲーターを務め、あすく社労士事務所代表・社会保険労務士の泉 隆一さんに、キャリアの背景、Amazonでの学び、対話を軸にした研修の思想、そしてミッション「対話から、理想の明日をクリエイト」に込められた意味について伺いました。

歯車のように働くこと”への違和感──自分の手で価値を生みたい

石塚:
まずは現在のお仕事について教えていただけますでしょうか。

泉さん:
現在は福岡県古賀市を拠点に あすく社労士事務所(あすくプロジェクツ) を運営しています。社会保険労務士としての業務だけでなく、企業向けの研修講師として活動する比重が高くなっています。レゴ®シリアスプレイやリフレクションカードを用いた理念浸透、リーダーシップ、ハラスメント予防、心理的安全性、1on1など、対話を中心に据えた研修を全国の企業・自治体に提供しています。

石塚:
研修講師としての活動も非常に積極的でいらっしゃいますね。もともとのキャリアはどのように始まったのでしょうか。

泉さん:
私が社会人になったのは1994年で、いわゆる就職氷河期の第1世代です。運よくメーカーに就職することができたのですが、組織文化が非常に軍隊的で、上下関係が厳しい環境でした。働きながら「私は会社の大きな仕組みの中の歯車でしかない」と感じる場面が多く、自分の手で価値を生み出す実感が得られませんでした。

石塚:
そこからキャリアを大きく転換されたわけですね。

泉さん:
はい。「自分の手でつくったものを、人に直接届けて喜んでもらえる仕事がしたい」と強く思うようになり、メーカーを退職して調理師専門学校に通いました。福岡は食文化が豊かで、自分がつくった料理で人を喜ばせられることに魅力を感じました。卒業後は町のレストランに就職し、調理師として働き始めました。

石塚:
飲食の道に進まれたのですね。

泉さん:
はい。ただ、最初に働いたレストランはパワーハラスメントが強く、長く続けられる環境ではありませんでした。その後、ベーカリーレストランを運営する企業に転職し、店長・マネージャーとして勤務することになります。ここでは、店舗運営・サービス・販促企画・人材育成など、資金繰り以外のほぼすべてを任されました。この経験は、今の研修講師の仕事にもつながっています。

十回の転職が“強み”へ変わった日──社労士との出会い

石塚:
その後もさまざまな職場を経験されたと伺っています。

泉さん:
そうなんです。飲食業や店舗運営をはじめ、いくつかの仕事を経験し、結果として転職回数は十回ほどになりました。その中でも特に印象的だったのが、健康診断会社で働いていたときに出会った 80代の社会保険労務士の先生 との会話です。

石塚:
どのような出会いだったのでしょうか。

泉さん:
その先生から「これまでどんな仕事をしてきたのか」と聞かれ、飲食や店舗運営などの経験をお話ししました。すると先生は「こんなに多様な職場を知っているのは、社労士として大きな強みだよ。むしろ羨ましいくらいだ」と言ってくださったんです。

石塚:
ご自身のキャリアの捉え方が大きく変わる瞬間ですね。

泉さん:
まさにそうでした。それまで私は転職回数の多さをどこかでマイナスに感じていました。しかし先生のひと言で、「これは強みなんだ」「価値のある経験なんだ」と気づけました。その時から社会保険労務士という仕事に興味を持ち、資格取得を目指すようになりました。

石塚:
そこからすぐ勉強を始められたのですか?

泉さん:
2016年春に健康診断会社を退職し、半年間は勉強だけに集中しました。しかしその年は不合格でした。当時の合格率は2.7%(正確には2015年が2.6%、2016年が4.4%)と非常に低く、甘い世界ではないと痛感しました。

Amazonでの日々──行動指針が“日常”になる組織文化

石塚:
その後、Amazon Japanへ転職されたのですね。

泉さん:
はい。勉強を継続しながら生活基盤を保つため、Amazon Japanのカスタマーサービスに転職しました。返品・返金対応、商品交換、お客様の困りごとの解決など、いわゆるCS業務を担当しました。3年半で対応した件数は 2万件以上 にのぼります。

石塚:
非常に大きな経験ですね。勉強との両立は大変だったのではないでしょうか。

泉さん:
決して楽ではありませんでした。しかし「社会保険労務士に合格して人生を変える」という思いで、勤務時間外はほとんど勉強にあてていました。その結果、2017年に2回目の挑戦で合格することができました。

石塚:
その後すぐに独立されたんですか。

泉さん:
いえ。すぐには独立せず、Amazonでの勤務を続けました。「Amazon出身の社会保険労務士」「Amazon出身の研修講師」として活動していきたいと考え、理念や行動指針が現場でどのように浸透し、実践されているのかをしっかり理解してから次に進みたいと思ったからです。

石塚:
Amazonで学ばれた印象的なことはありますか?

泉さん:
最も大きいのはやはり Leadership Principles(行動指針) の徹底です。当時は14個、現在は16個の行動指針がありますが、特に重要なのは

  • カスタマーオブセッション(顧客第一主義)

です。上司から「原則に照らして考えているか?」と常に問われ、日々の行動が必ず理念につながるように働きます。この環境を経験したことが、現在の理念浸透研修の基盤になっています。

コロナ禍での独立──キャリア相談と“働きがい”の再構築

石塚:
そして2020年4月、まさにコロナ禍が始まった時期に独立されたのですね。不安はありませんでしたか。

泉さん:
とても大きな不安がありました。それでも「今動かなければ、何も変わらない」と思い、社会保険労務士として独立しました。当時は外出が制限されていましたので、オンラインを活用して キャリア相談 を主軸に活動を始めました。

石塚:
どのような方からの相談が多かったのでしょうか。

泉さん:
最も多かったのは、40代〜50代の管理職の方々でした。キャリアとしては順調なのに、「このまま今の会社に留まるべきか」「やりたいことに挑戦すべきか」と悩まれていました。私自身が十回の転職を経験しているので、迷いや葛藤を整理するための対話に寄り添うことができたのだと思います。

石塚:
キャリア相談の期間が、後の研修事業にもつながっていったのですね。

泉さん:
そう思います。働く人の迷い、不安、価値観の揺らぎを丁寧に言語化するプロセスを数多く経験したことで、「対話が人を前に進める」ということを強く実感しました。その後、オンラインだけでなく、企業の現場で対話の場をつくりたいと思うようになりました。

石塚:
そこからワークショップの学びへと進むわけですね。

泉さん:
はい。転機になったのが、2022年秋に受講した 青山学院大学のワークショップデザイナー育成プログラム(WSD) です。3〜4ヶ月にわたり、「対話を起点にした学びの場づくり」を体系的に学ぶことができました。この学びが、今の研修事業の中心的な基盤になっています。

レゴ®とカードがつくる“全員参加型”の対話──可視化による自己理解と組織理解

石塚:
ここからは、具体的な研修の内容について伺っていきたいと思います。あすく社労士事務所では、レゴ®シリアスプレイとリフレクションカードを活用した研修を提供されているとお聞きしました。どのように活用されているのでしょうか。

泉さん:
私の研修の中心にあるのは、「参加者全員が主体的に関わる対話の場をつくること」です。そのために、レゴ®シリアスプレイ(LSP)リフレクションカード を活用しています。これらは単なるツールではなく、参加者の内面にある価値観や考えを“可視化”し、対話を促進するための仕組みです。

石塚:
まずはレゴ®シリアスプレイについて教えていただけますか。

泉さん:
LSPは、レゴブロックを使って手を動かしながら、自分の考えや価値観を”形”として表現していくワークショップ手法です。例えば、6個のパーツだけを配り「あなたが考える”アヒル”をつくってください」というお題を出すことがあります。同じパーツでも、人によってまったく異なる作品が生まれ、その背景にはそれぞれの価値観や経験があります。

石塚:
作品を見ながら話すことで、対話が深まるのですね。

泉さん:
はい。作品を前にすると、言葉だけでは説明しにくい感覚や考えが語りやすくなります。また、レゴを使うことで「正解・不正解」がなくなり、誰でも気軽に参加できる空気が生まれます。結果として、いつもは発言しない方も自然と意見を言うようになります。研修や会議では声の大きい人が場を支配しがちですが、LSPでは参加者全員が平等に作品をつくり、語る必要がありますので、“全員参加”が必ず実現される のが特徴です。

石塚:
リフレクションカードはどのように使うのでしょうか。

泉さん:
リフレクションカードは、約60枚のカードそれぞれに質問が書かれています。テーマに応じて参加者がカードを選び、その質問に従って話を進めます。例えば

  • あなたにとってリーダーシップとは?
  • 理想のキャリアは?
  • これまでの挑戦で印象に残っている出来事は?

といった問いです。カードがあることで、普段考えないテーマについても自然と話せるようになります。自分の考えを言語化することで内省が深まり、他者からのフィードバックで新しい気づきが生まれるのも大きな魅力です。

石塚:
ツールの力で、対話の質と広がりが大きく変わるのですね。

泉さん:
その通りです。レゴ®もカードも、参加者の主体性を引き出し、学びを“自分ごと化”させるための装置です。これらを組み合わせることで、理念浸透やリーダーシップ開発、心理的安全性の向上など、組織が抱える多様なテーマに対応できると感じています。

ミッション「対話から、理想の明日をクリエイト」を実装する未来へ

石塚:
ここからは、今後の展望について伺いたいと思います。泉さんはどのような未来を描いていらっしゃるのでしょうか。

泉さん:
私の事務所が掲げている公式ミッションは、「対話から、理想の明日をクリエイト」 です。これは、対話によって人の内面が整理され、価値観が明確になり、行動が変わり、組織が変わる──その力を信じているからこそ掲げている言葉です。

今後は、レゴ®シリアスプレイやリフレクションカードなどの対話型研修を、全国の企業や自治体に広く届け、理念と日常の行動が一致した組織づくりを支援していきたいと考えています。

石塚:
「働きがい」と「組織の理念」がつながる状態をつくる、ということですね。

泉さん:
はい。私自身、過去のさまざまな職場で迷いや葛藤を感じてきました。その経験があるからこそ、“働きがいがある状態” をつくることがどれほど重要かを強く実感しています。働きがいを感じる個人が増え、その変化がチームに伝わり、組織文化へと広がっていく。そうした循環をつくることが私の目指す未来です。

石塚:
泉さんの研修に興味を持った方は、どのように問い合わせれば良いでしょうか。

泉さん:
あすく社労士事務所」で検索していただければ、公式サイトをご覧いただけます。研修内容やサービスの詳細も掲載していますので、ぜひ問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。

石塚:
ありがとうございます。それでは最後に、読者の方へメッセージがあればお願いいたします。

泉さん:
一人ひとりが自分の価値観を理解し、働きがいを持って行動できるよう支援していきたいと思っています。対話を通じて、自分と組織の未来が少しでも良い方向に進むきっかけになれば嬉しいです。本日はありがとうございました。

石塚:
こちらこそ、本日は貴重なお話をありがとうございました。

編集後記

泉さんのお話を伺いながら強く感じたのは、どれだけキャリアが曲がりくねって見えても、その一つひとつが“今につながる大切な材料”になっているということです。メーカー勤務で抱いた「歯車のように働く感覚」、調理師としての現場経験、店舗マネジメントで得た人材育成の視点、健康診断会社で出会った80代の社労士からの言葉、そしてAmazonで徹底的に体感された理念と行動の一致──どの経験も泉さんの現在の実践と地続きになっていました。

特に印象に残ったのは、「転職回数の多さが強みになる」という認識の転換です。多くの人にとってキャリアの揺らぎは不安材料ですが、泉さんのように多様な環境を通ってきたからこそ見える“働くことの本質”があります。それを研修の中で参加者へ丁寧に届けていらっしゃる姿勢が、対話型の場づくりに深い説得力をもたらしているのだと感じました。

また、Amazonでの経験が泉さんの実践に強く影響している点も興味深い部分でした。理念が単なるスローガンではなく、日々の行動にまで落ちている組織文化。その構造を体感したからこそ、泉さんはレゴ®シリアスプレイやリフレクションカードを用いて、理念と行動を結びつける研修を提供できているのだと思います。

そして、事務所のミッションである 「対話から、理想の明日をクリエイト」 は、泉さんのキャリアそのものを象徴する言葉にも見えました。対話によって自分の価値観が明らかになり、行動が変わり、未来が動き出していく。働きがいを中心とした組織づくりは、個人の変化の積み重ねの先に生まれます。

福岡県古賀市を拠点にしながら、全国へ対話の場づくりを広げていく泉さんの活動は、これからの組織の在り方にも一つの指針を示しているように思います。

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ご紹介

Profile

泉 隆一

あすく社労士事務所(あすくプロジェクツ)
代表

泉 隆一

いずみ りゅういち

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福岡県古賀市を拠点に活動する社会保険労務士・研修講師。
メーカー勤務、調理師、店舗運営、健康診断会社、Amazon Japanのカスタマーサービスなど、多様な職務を経験した後、2017年に社会保険労務士試験に合格。2020年にあすく社労士事務所(あすくプロジェクツ)を設立した。Amazonで徹底された行動指針の文化や、2万件を超える顧客対応を通して「理念と日常行動の一致」の重要性を体感したことが、現在の研修スタイルの基盤となっている。
現在は、レゴ®シリアスプレイやリフレクションカードを活用した対話型研修を中心に、理念浸透、リーダー育成、心理的安全性の向上、ハラスメント予防、1on1支援などを企業・自治体へ提供している。
公式ミッションとして掲げる「対話から、理想の明日をクリエイト」を軸に、個人の働きがいと組織の成長が両立する学びの場づくりに取り組んでいる。

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石塚 直樹

株式会社ウェブリカ
代表取締役

石塚 直樹

いしづか なおき

新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。
腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。
地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。

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