「学生時代から“会社を作る”ことを夢見ていた」と語るのは、横浜に拠点を構える BASHAKA株式会社 代表取締役社長・澤辺敦史さん。金融系システム開発やキャッシュレス決済システム、ポイントアプリの開発を経て独立した若手起業家だ。自社サービス「HOJORIN」はフリーランスの 作業報告書自動化・請求書管理 を支援する特許取得のクラウドサービス。横浜を拠点とするIT企業として、地域と社会への貢献を目指す澤辺さんの挑戦に迫った。

目次
BASHAKA株式会社の創業ストーリー ― 馬車道に刻まれた原点
石塚: 本日のゲストは BASHAKA株式会社 代表取締役社長・澤辺敦史さんです。まずは会社名の由来から伺えますか?
澤辺: 「BASHAKA」という社名は、横浜の馬車道に由来しています。学生時代、友人と馬車道に遊びに行き、将来の夢を語り合ったんです。そのときに「自分は必ず会社を作る」と心に決めて、その原点を忘れないように名前に刻みました。
石塚: 社名自体に思い出が込められているんですね。創業はいつ頃ですか?
澤辺: 個人事業主としての活動を経て、法人化したのは2023年8月です。まだ若い会社ですが、横浜で腰を据えて活動しています。
学生時代から芽生えた「独立心」とエンジニアへの歩み
石塚: 起業はいつ頃から意識していたんですか?
澤辺: 学生時代からです。周りにミュージシャンや漫画家など、個人で活動している友人が多かったんですよ。その姿に刺激を受けて、「悔しい、自分も絶対に会社を作る」と思いました。
石塚: 元々、ものづくりが好きだったそうですね。
澤辺: はい。中学・高校時代にはピアノを習い、作曲をして動画サイトに投稿することもありました。ものを生み出すことが好きだったので、自然とエンジニアの道を選びました。
石塚: 新卒ではどのような業務を行なっていましたか?。
澤辺: 大手SIerの子会社で銀行システムを担当しました。その後、キャッシュレス決済の事業会社に転職して、より実務寄りの開発に携わりました。金融分野での経験が、現在の強みにつながっています。

金融システムから決済領域へ ― キャリアの積み重ねと強み
石塚: 現在の事業ではどういった案件が多いのですか?
澤辺: 金融・決済分野が中心ですね。銀行システムの経験やキャッシュレス決済のノウハウを活かし、ポイントアプリや決済インフラの開発を受託しています。
石塚: 開発に使う言語はどういったものでしょうか?
澤辺: PHPやTypeScriptが多いです。ただ、お客様の既存環境に合わせることを重視しているので、幅広く対応しています。
石塚: 受託開発の割合が多い印象ですが、自社サービスとのバランスはどうでしょう?
澤辺: 受託が主軸ですが、自社サービス開発は“挑戦の場”として大切にしています。特に「HOJORIN」は、私自身の課題感から生まれたサービスなんです。
特許取得サービス「HOJORIN」とフリーランス支援への挑戦
石塚: では「HOJORIN」について詳しくお願いします。
澤辺: フリーランスの方は月末に「作業報告書」を作る必要があります。私自身も経験しましたが、思い出しながらExcelやスプレッドシートにまとめるのは非常に面倒でした。そこで、Googleカレンダーのようにドラッグ&ドロップで作業を記録すれば、自動的に報告書と請求書が生成される仕組みを作ったんです。
石塚: フリーランスにとっては革命的ですね。
澤辺: そう思います。さらに信頼性を高めるため、特許も取得しました。創業2年の若い会社にとって、特許は信用力を高める重要な要素だと考えています。
石塚: 利用料はどれくらいでしょうか?
澤辺: 基本は無料です。一部の追加機能は月額980円程度で利用できます。現在は知人や関係者を中心にフィードバックをもらいながら改善を続けています。
石塚: HOJORINとしての今後の展望はいかがでしょうか?
澤辺: 「HOJORIN」に「業務委託管理」機能を追加する予定です。請求書の未提出や入金漏れを防ぐ仕組みを作り、委託企業側の管理負担も減らします。
横浜・日本への想い ― 地域と社会に根ざしたシステムづくり
石塚: 横浜で起業したのは土地への愛着が大きいそうですね。
澤辺: その通りです。学生時代、臨港パークや山下公園で友人と将来について語り合い、朝日を眺めた経験が忘れられません。希望に満ちたあの感情が、今も私の原点になっています。
石塚: 横浜市との連携や地域貢献も視野にありますか?
澤辺: はい。創業当初は「仕事が欲しい」という思いが先でしたが、今は横浜市や地域社会に貢献できる仕事を増やしたいと考えています。将来的には選挙や公共インフラなど、社会の基盤を支えるシステムにも携わりたいですね。
石塚: 大きなスケールで社会を見据えていると感じます。
澤辺: 海外に行くと、日本がいかに恵まれている国かを実感します。もっと自信を持てる社会になってほしい。そのために、システム面から支えていきたいと思っています。

未来へのビジョン ― 若手起業家として描く社会貢献と挑戦
石塚: 起業当初と今で、意識の変化はありますか?
澤辺: 最初は「稼がなければ」という意識が強かったです。社員や委託先に報酬を支払う責任がありますから。でも安定してくると、「どう稼ぐか」から「何を作るか」へ、さらに「誰に届けるか」へと変わっていきました。今は、横浜や日本の社会に役立つ仕組みをつくりたいという思いが強いです。
石塚: 最後に、ご覧いただいている方々へメッセージをお願いします。
澤辺: 私たちBASHAKA株式会社はまだ創業から間もないですが、横浜に貢献したいという思いはとても強いです。自社サービス「HOJORIN」を通じてフリーランスの働き方を支援しつつ、地域や社会の仕組みにも挑戦していきます。ITやシステム開発にご関心やお悩みのある方は、ぜひ気軽に声をかけていただけると嬉しいです。
編集後記
インタビューを通じて強く印象に残ったのは、澤辺さんの熱い“横浜への想い”です。多くの起業家が「利益」や「市場」を起点に語る中で、澤辺さんは「学生時代に夢を抱いた場所への恩返し」を会社の軸に据えています。その姿勢が、補助輪=「HOJORIN」というサービスに結実していると感じました。
「HOJORIN」はフリーランス支援という具体的な課題解決から始まりましたが、将来的には公共インフラや国の仕組みへと広がる可能性を秘めています。澤辺さんの言葉からは、「まず自分を満たし、次に周囲に貢献する」というシンプルかつ力強い哲学がにじんでいました。横浜・日本に根ざしながら挑戦し続けるBASHAKA株式会社の歩みは、刺激的なモデルケースとなるはずです。
ご紹介
Profile

BASHAKA株式会社
代表取締役社長
大手SIerで銀行システムの刷新に従事し、キャッシュレスシステムの技術リーダーを経験しました。
その後、個人事業主として独立し、薬局システムやキャッシュレス、メッセージング、業務システムなど多様な開発業務に携わってきました。
そして、より社会に貢献できる仕事を実現したいとの思いから、BASHAKA株式会社を設立しました。
これからも、皆様の課題解決に向けた最適なシステムを提供できるよう、全力で取り組んでまいります。

株式会社ウェブリカ
代表取締役
新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。
地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。