「お金を増やしたい」。誰もがそう考える一方で、資産運用の世界には数多くの誤解や落とし穴があります。今回お話を伺ったのは、保険と証券の両方を扱える独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)、園田悠子さん。園田さんが繰り返し強調するのは、「お金は目的ではなく手段である」という考えでした。その根底には、日本人の投資リテラシーの低さを痛感した海外経験と、多くの経営者や医師と歩んできた実務経験があります。この記事では、IFAとしての立場から語られたエピソードをもとに、資産運用に取り組む上でのヒントを整理します。
目次
IFAとは何か ― 独立性がもたらす真の顧客本位
IFA(Independent Financial Advisor)は、特定の金融機関に縛られない独立した立場のアドバイザーです。例えば大手証券会社の営業担当であれば自社の商品しか扱えず、生命保険会社の営業も同様に自社保険しか提案できません。しかしIFAは、生命保険だけでも30社以上、投資信託や株式といった証券商品も含め、多様な選択肢から顧客に最適な提案を行えます。
特に日本では保険営業が強い一方、資産運用全体を見据えた助言は不足している現状があります。その意味で、IFAの独立性は大きな強みと言えるでしょう。
IFAを頼むのは「特別な人」だけではない
IFAに相談することは「名のある資産家だけのもの」と考えられがちですが、実態は異なります。園田さんによると、目安は「5000万円以上の資産を持っている方」。ただし大切なのは金額よりも、お金を貯める習慣が身についているかどうか。明日明後日使うお金を運用するわけにはいかず、一定の蓄えを管理できる力が必要だからです。
一方で、実際に依頼する際の心理的ハードルも少なくありません。「自分の資産状況をすべて明かすのは恥ずかしい」という声は多いそうです。実際に園田さんの顧客の98%は紹介経由。すでに資産が増えた顧客が「この人に相談したら大丈夫」と仲間を紹介するケースがほとんどです。そのため依頼者は初回面談で「こんな状況で大丈夫でしょうか」と不安を口にしながらも、次第に腹を割って相談してくれるといいます。
失敗の典型例 ― 「安全そうな商品」が落とし穴
園田さんは「失敗する人には共通点がある」と言います。その一つが「売買を繰り返すこと」。短期的な値動きに振り回され、安く売り、高く買うという逆の行動を取ってしまうのです。もう一つは「商品選びの誤り」。例えば、債券は「安全」と思われがちですが、実際には早期償還などの仕組みによって損をするケースが少なくありません。
さらに高金利通貨(トルコリラやブラジルレアルなど)に惹かれて投資する人も多いですが、金利が高いということは発行体の信用度が低いことの裏返しです。「危ないから高い利回りが提示されている」という事実に気づかずに失敗する方は後を絶たないといいます。
運用の鉄則 ― 長期保有と「下がった時こそ買い増し」の発想
ででは、どうすれば失敗を防げるのでしょうか。園田さんは「長期保有こそが最も確実な方法」と断言します。世界の株式市場は短期的に大きな下落を繰り返してきましたが、長期的に見れば成長を続けてきました。たとえば米国株式指数(S&P500)は、大恐慌やリーマンショックといった危機を経ても、数十年単位では右肩上がりの推移を示しています。
その背景には人口増加、技術革新、企業の成長努力など複合的な要因があります。もちろん一時的な暴落は避けられませんが、「価格が下がった時こそ多く買える」と考えることで、長期的なリターンを享受できる可能性が高まります。相場の波を恐れるのではなく、むしろ活かす発想が重要なのです。
保険と証券 ― 補い合う二つの軸
保険と証券はしばしば比較されますが、役割は全く異なります。保険の強みは少額で大きな保障を得られること。例えば月5万円の保険料で数千万円の保障が得られるのは、証券投資では実現できません。家族や相続を考える経営者にとっては非常に有効な手段です。
一方で証券は、NISAなどを活用すれば効率的に資産を増やせる仕組みがあります。特に独身者や「資産を純粋に増やしたい」という層には適しています。
クライアントに求められる姿勢 ― 「ズボラな人ほどうまくいく」
意外なことに園田さんが「得意」とする顧客は、ズボラな経営者や忙しいドクターたちです。毎日資産の増減を気にするのではなく、本業に集中するタイプほど長期的に成功しやすいのだとか。資産運用は感情に左右されやすいため、日々の値動きに一喜一憂しない冷静さが結果につながります。「経営も同じで、ぶれない理念を持つ人は資産運用でも成功しやすい」と園田さんは強調します。
「幸せなお金持ち」を増やすという理念
園田さんの根底にある理念は「幸せなお金持ちを増やすこと」。お金を増やすこと自体が目的ではなく、人生を豊かにするための一手段にすぎないという考えです。実際に、資産が増えたことで傲慢になり、家族や仲間との関係を損なってしまう例も見てきました。「本当に欲しいものはお金では買えない。愛情や信頼、健康はお金では得られないのです」と園田さんは語ります。
そのため資産運用のアドバイスを行う際も「本当に守りたいものは何か」を問い続けています。その結果、相談の場に家族を同席させる顧客も増え、一緒に未来を考える機会が生まれているといいます。「自分だけでなく、周囲も幸せにすること。それが本当の資産運用の目的だと思います」。
日本の未来と2000兆円の眠れる資産
現在、日本には2000兆円以上の現預金が眠っているとされます。高齢層を中心に保有されているこれらの資産は、ほとんど経済を循環させていません。園田さんは「このお金を頑張る企業や次世代に投資することで、日本はもっと元気になれる」と語ります。アメリカ経済が強い背景には、余剰資金が積極的に投資に回っているという事実があります。日本も同じように資産を「眠らせる」のではなく「活かす」方向にシフトする必要があるのです。
まとめ ― 相談から始まる未来
資産形成は特別な人だけのものではなく、習慣と意識の延長にあります。大切なのは一人で悩まず、専門家に相談すること。園田さんは「お腹が痛い時にネットで悩むより、まずクリニックに行くのが早いのと同じ」と例えます。IFAは単なる投資アドバイザーではなく、人生設計の伴走者です。
「幸せなお金持ち」を増やしたいという園田さんの理念は、多くの人にとって「資産運用=人生設計」という視点を与えてくれるでしょう。眠れる2000兆円を動かすのは、一人ひとりの小さな第一歩なのかもしれません。
ご紹介
Profile

株式会社SONODAパートナーズ
代表取締役
中央大学大学院法学研究科修了。
米国・中国での海外経験を通じ、「豊かさの本質は収入ではなく資産設計と、その使い方にある」と痛感し、金融・資産運用の専門家としてキャリアを構築。大手金融機関および代理店での実績を礎に現職。
これまでに累計1,000名以上の経営者・士業・医師を支援。保険と証券の両領域に精通し、全体最適視点から課題を俯瞰し、最短で成果を生む戦略構築を得意とする。
また、金融リテラシーの普及・向上を使命に、一般社団法人経済教育支援機構の認定インストラクターとして教育活動にも注力。医科歯科医師・大手弁護士事務所・商社等での研修やセミナー実績も豊富。
資産形成の支援においては、「お金そのものより、大切な人と心から笑顔で過ごす時間や、周囲と愛し合える関係性こそが真の豊かさ」という世界の富裕層の価値観を重視。
ウォーレン・バフェット氏の「人生の価値はお金では測れず、周囲から愛されることこそ成功である」という考えに共感し、資産は“守るべきもの”のための手段であるという視点でプランニングを行う。
人生の本当の満足と成長、その先の社会貢献まで見据えた資産戦略で、クライアントの信頼を集めている。
【資格】
●MDRT成績資格終身会員
●TOT(Top of the Table)会員
●証券外務員1種
●日本FP協会会員(Affiliated Financial Planner)
●生命保険修士(Senior Life Underwriter)
●一般社団法人経済教育支援機構 金融教育インストラクター
●一般社団法人 相続・事業承継コンサルティング協会会員
●一般社団法人 相続診断協会 相続診断士

株式会社ウェブリカ
代表取締役
新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。
腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。
地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。
■編集長インタビュー
「メディア「地域色彩」立ち上げの背景とは?株式会社ウェブリカ・石塚直樹が語る地域企業活性化のビジョン」
https://chiiki-shikisai.com/webrica-ishizukanaoki/