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走れない・跳べない子どもが笑顔に!楽しく挑戦できる体操教室/バンボーキッズスクール・坂東 篤

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「運動=技術指導ではなく、“遊び”から育むもの」と語るのは、兵庫県三田市を拠点に活動する「バンボーキッズスクール」代表・坂東 篤さん。軽バン一台に跳び箱や鉄棒、マットを積み込み、三木市や丹波篠山市など地域の園や施設に出向く“出張型”の体操教室を展開している。理念は「ともにを共有する教室」。子ども・保護者・先生が同じ目線で学び合う環境づくりを軸に、基礎運動を楽しみながら育てる取り組みに挑み続ける、その実践について深掘りました。

子ども時代から続くスポーツとの縁と、指導者としての原点

石塚:まずは自己紹介をお願いできますか。

坂東さん:はい。兵庫県で「バンボキッズスクール」という体操教室を運営しています。
現在は三田市を中心に6教室を展開しており、主に幼児から小学生のお子さんを対象にしています。

石塚:ありがとうございます。坂東さんはもともとスポーツ一筋で来られたんですか?

坂東さん:そうですね。小さい頃からラグビー、水泳、体操など色々やりましたが、一番長く続いたのはサッカーです。
年長から始めて、もう30年ほどボールを蹴り続けています。今も社会人チームを代表として運営しています。

石塚:なるほど。そこから「指導」の道に入られたのは?

坂東さん:20歳の時ですね。始めは非常勤のサッカーコーチとしてスタートしました。
当時、短大で幼児教育を学んでいたんですが、実習を通じて「現場に出る自信がない」と感じてしまって…。そんな時、小学校の時にお世話になった指導者と再会して、ボランティアで子どもたちの指導を始めたのがきっかけです。

幼児教育からスポーツ教育へ──独立のきっかけと転機

石塚:その後、独立されてご自身の教室を立ち上げられたんですよね。

坂東さん:はい。別の団体で体操教室の運営を任せてもらっていたんですが、「自分の居場所とは何だろう?」と考えるようになったんです。
上司と後輩の間で板挟みになり、自分の理想と現場のギャップを感じて…。
そこで「自分のスタイルでやってみよう」と独立を決意しました。

石塚:そういうことですね。立ち上げ当初から順調でしたか?

坂東さん:ありがたいことに、幼稚園や前職のご縁があり、初年度で2教室を開くことができました。
いまでは車にマットや跳び箱を積み込んで出張する“移動型体操教室”として、地域の各園を回っています。

「ともにを共有する教室」――バンボキッズスクールの理念

石塚:理念として掲げている「ともにを共有する教室」とは、どういった想いが込められていますか?

坂東さん:“ともに楽しむ・ともに成長する・ともに喜ぶ”という意味です。
子どもたちだけでなく、保護者や園の先生方も一緒に成長していく場所にしたいと思っています。
実際に、教室では、子どもたちの様子を撮影してLINEで保護者に共有したり、見学中の保護者も笑顔になれるよう、関西らしい“ボケとツッコミ”を交えながら進行しています。
「見ていて楽しい」と感じてもらえる教室づくりを常に意識し、運営しています。

石塚:ただ運動を教える場ではなく、家族や地域を巻き込む教育の場になっているんですね。

運動が苦手な子どもが変わる瞬間

石塚:通われるお子さんはどんなタイプが多いですか?

坂東さん:「運動が苦手」「体を動かすのが怖い」という子が多いですね。
でも友達が通っているから行きたい、楽しそうだからやってみたい――
そんな気持ちから一歩を踏み出してくれる子が多いです。
バンボーキッズスクールのプログラムは、跳び箱やマット運動だけでなく、鬼ごっこやボール遊びなど“遊びを通じた基礎運動”が中心になります。
「できた!」の成功体験を積み重ねることで、子ども達は自己肯定感が高まっていく姿を現場で感じています。

石塚:具体的にどういった場面で変化を感じますか?

坂東さん:例えば、以前は逆上がりも怖かった子が、今では自分から挑戦するようになったり。
転んでも泣かずに立ち上がる姿を見ると、「この環境が子どもを変えるんだ」と実感しますね。

コロナ後の子どもたちに必要な“体を使う経験”

石塚:最近「子どもの運動能力の低下」が話題ですが、現場ではどう感じますか?

坂東さん:確実に感じますね。ジャンプができない、走るとふらつく、転んでも手が出ない…。
コロナ禍で外遊びの機会が減り、他人と関わって動く経験が少なくなったことが大きいと考えています。
その現状に対して、当教室では、鬼ごっこなどで自然と“接触と回避”の感覚を育てています。
ぶつからないように体を動かす、転んだ時に手をつく――そうした反射的な動きは、経験を通じてしか身につきません。

石塚:つまり「運動能力=経験の積み重ね」なんですね。

坂東さん:そうです。失敗も含めて“体で覚える”ことが大切だと思っています。

地域に根ざすスポーツクラブ構想と、未来へのメッセージ

石塚:今後の展望を教えていただけますか?

坂東さん:将来的には「総合スポーツクラブ」をつくりたいと考えています。
三田のような地方でも、サッカー・野球・バスケなど、色々なスポーツに触れられる場所を地域につくり、子どもたちが多様な体験をできる環境を整えたいと思っています。
その中で、勝ち負けよりも「楽しさ」を重視しますが、同時に“競い合いを通じた成長”も必要だと思っています。小さな勝ち負けの経験が、やがて大人になってからの挑戦に繋がると考えているので、だからこそ、楽しさの中に適度な勝負を取り入れたいですね。

石塚:ありがとうございます。最後に、ご覧いただいている方へのメッセージをお願いします。

坂東さん:僕も二児の父ですが、親として「待てない瞬間」ってありますよね。
でも少しだけ待ってあげることで、子どもは自分の力で成長します。
子どもたち運動を通じて“できた!”という自信を積み重ねることは、人生の原点になると思います。
ぜひ、子どもたちと“共に”その喜びを感じてほしいですね。

編集後記

インタビューを通じて印象的だったのは、坂東さんの言葉に何度も登場した「ともに」という表現でした。
子どもたちと共に、保護者と共に、地域と共に――。その姿勢の根底にあるのは、“運動を教える”のではなく、“成長を支える”という視点です。
子どもの運動能力の低下が指摘される今、社会全体が「効率的な指導」や「結果の見える成果」に目を向けがちです。
しかし、バンボキッズスクールが大切にしているのは、競争よりも「挑戦の楽しさ」を感じられる環境づくり。
失敗しても笑って立ち上がる経験が、子どもたちに自己肯定感と柔軟な思考を育てています。
体操教室という枠を超えて、教育と地域が“共に”育ち合う場をつくる。
坂東さんの活動は、その小さな実践を通じて、社会全体の子育てや教育の在り方を静かに問いかけています。
皆さんにとって「子どもの成長をどう支えるか」を考えるきっかけになれば幸いです。

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Profile

坂東 篤

バンボーキッズスクール
代表

坂東 篤

ばんどう あつし

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兵庫県三田市を拠点に、幼児から小学生を対象とした体操教室「バンボーキッズスクール」を運営。
幼少期からサッカーを続け、地域チームでのプレーや指導を経験。短期大学では幼児教育を学び、教育とスポーツの両面から子どもの成長に携わる。
20歳で指導者として活動を始め、別団体での勤務を経て独立。現在は三田市・三木市・丹波篠山市などで出張型の体操教室を展開し、延べ約200名の子どもたちに運動の楽しさを伝えている。
「ともにを共有する教室」という理念のもと、子ども・保護者・先生が同じ目線で学び合う環境を重視。遊びを通じた基礎運動の習得と、挑戦から生まれる自己肯定感を育む実践に力を注ぐ。

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石塚 直樹

株式会社ウェブリカ
代表取締役

石塚 直樹

いしづか なおき

新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。
腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。

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