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外国人材の問題はどこで起きるのか ─ 日本語チェックで事故リスクを下げるOKSの受け入れ設計

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建設業界を中心に、日本の産業は深刻な人材不足に直面しています。その課題に対し、単なる人材紹介ではなく、「育成と定着を前提とした受け入れ構造」を構築してきたのが OKS国際事業協同組合です。
設計士として建設業に携わった経験を原点に、外国人技能実習生・特定技能人材の受け入れを20年以上続けてきた 村長人之さんは、制度改正のたびに現場と向き合いながら、国選定、事前面接、日本語教育、資格取得、生活支援までを一体化した仕組みを築いてきました。
「企業と外国人、双方が成長する循環をつくることが重要です」。その言葉の背景にある思想と実践を、現場の声とともにひもときます。

今回は 石塚直樹 がナビゲーターとなり、
OKS国際事業協同組合 会長・村長人之さん、通訳・生活サポートを担う ホアイさんイクラスさん に、組合設立の背景、外国人材受け入れの考え方、そして今後の展望について詳しく伺いました。

建設業の現場で突きつけられた人材不足という現実

石塚:
まず、OKS国際事業協同組合がどのような役割を担っているのか、改めて教えてください。

村長さん:
外国人技能実習生や特定技能人材を、日本企業が円滑に受け入れ、長く活躍してもらうための支援を行っています。在留資格の申請・更新、通訳体制の整備、入国前後の教育や生活支援までを、組合として一体で担っています。特に建設業分野での受け入れが多いのが特徴です。

石塚:
この取り組みは、建設業の現場経験が原点になっていると伺いました。

村長さん:
はい。私はもともと設計士として建設業に携わっていましたが、20年以上前から人材不足は非常に深刻でした。現場を回すためには人が必要ですが、日本人の若年層が集まりにくい状況が続いていました。

石塚:
当時は、どのような選択肢があったのでしょうか。

村長さん:
当時は中国人研修生が多かったのですが、建設分野に特化した受け入れ団体はほとんど存在していませんでした。企業が単独で対応するには制度も複雑で、負担が大きすぎたのです。そこで、同じ課題を抱える企業が集まり、組合として仕組みをつくることを選びました。

制度改正とともに広がった「育成型受け入れ」

石塚:
事業が大きく動き出した転機は、いつ頃だったのでしょうか。

村長さん:
2011年頃、中国からベトナムへと人材の流れが変わった時期が一つの転機でした。ただ、それ以上に大きかったのは、国土交通省主導で建設分野の制度が見直されたことです。

石塚:
技能実習制度や特定技能制度の変更ですね。

村長さん:
はい。以前は技能実習が原則3年で終了していましたが、建設分野では5年まで延長され、その後も特定技能として働き続けられる道が開かれました。これにより、企業側も「育てる前提」で人材を受け入れられるようになりました。

石塚:
それは現場にとって大きな変化ですね。

村長さん:
3年で帰国する前提では、技術も日本語も十分に定着しません。5年、10年と働けることで、現場の中核人材として成長していきます。その結果、現在では組合全体の約3割が建設業分野の受け入れとなっています。

〈編集注:特定技能制度は、人材不足分野において中長期的な就労を可能にする在留資格です〉

「どの国から受け入れるか」を設計するという発想

石塚:
OKS国際事業協同組合の特徴として、国選定から丁寧に行っている点が印象的です。

村長さん:
国選定は非常に重要です。時代によって、定着率が高い国や、企業との相性が良い国は変わります。以前は中国、その後ベトナム、現在はインドネシアが中心です。

石塚:
今後の見通しはいかがでしょうか。

村長さん:
今後はインド、パキスタン、ウズベキスタンなど、南アジア・中央アジアへ広がっていくと見ています。さらに将来的には、制度改正に伴いアフリカ地域も視野に入ってきます。

石塚:
送り出し機関の選定も重要になりますね。

村長さん:
同じ国であっても、送り出し機関の質には大きな差があります。現地調査を行い、信頼できる機関を選定したうえで、事前面接を重ねています。

事前面接と日本語教育で高めるマッチング精度

石塚:
事前面接では、どのような点を重視されていますか。

村長さん:
候補者の能力や経歴だけでなく、「どのような仕事をしたいか」「どのような環境で働きたいか」を丁寧に聞き取ります。同時に、企業側の仕事内容や条件も正確に伝えます。

石塚:
日本語教育も非常に重視されていますね。

村長さん:
建設現場では安全確保が最優先です。日本語が分からなければ、重大事故につながりかねません。そのため、面接後から入国までの約6か月間、現地で集中的に日本語を学びます。

石塚:
途中で判断を見直すこともあると。

村長さん:
はい。日本語教師が毎月進捗を確認し、一定水準に達しない場合は入国を見送る判断も行います。厳しいようですが、本人と企業の双方を守るために必要な判断です。

資格取得まで含めた「即戦力ではなく即適応」の考え方

石塚:
資格取得の支援も、OKS国際事業協同組合ならではですね。

村長さん:
建設現場では、重機、フォークリフト、クレーン、溶接など、資格が必要な作業が多くあります。そのため、独自の資格取得センターを設け、通訳付きで講習を行っています。

石塚:
配属前後で資格を取得できるのは、企業にとっても安心材料ですね。

村長さん:
はい。「即戦力」を求めるのではなく、「現場に適応できる状態」で送り出すことを重視しています。

生活に寄り添う通訳とサポートの現場

石塚:
ここからは、現場でサポートを担うホアイさん、イクラスさんに伺います。

ホアイさん:
技能実習生や特定技能の在留更新手続き、日常生活や職場での相談対応を行っています。問題があればすぐに話を聞き、企業側とも連携します。

イクラスさん:
私自身も技能実習生として働いた経験があります。そのため、生活面や仕事でつまずきやすいポイントがよく分かります。配属後3か月以内は特に丁寧にサポートしています。

石塚:
夜間対応も多いと聞きました。

ホアイさん:
仕事が終わって寮に戻ってから相談を受けることが多いです。100人以上を担当していますが、同じ国の人が安心して話せる存在であることを大切にしています。

双方が成長する循環と今後の展望

石塚:
最後に、今後の展望について教えてください。

村長さん:
成田空港近くに新たな拠点を設け、東日本のサポート体制を強化する予定です。10年後を目安に、建設分野において日本で最も多く人材を受け入れる団体になることを目指しています。

石塚:
この事業の意義を、どのように捉えていますか。

村長さん:
企業は人材によって成長し、実習生は働いた成果で生活を豊かにします。双方が喜び、地域産業も持続する。その循環をつくることが最も重要だと考えています。

編集後記

OKS国際事業協同組合の取り組みを通じて強く感じたのは、「外国人材受け入れ」を単なる労働力補填として捉えていない点である。国選定、事前面接、日本語教育、資格取得、生活支援までが一貫した構造として設計されており、制度変更があっても揺らがない土台が築かれている。
特に建設業という高い安全性が求められる分野において、「即戦力」ではなく「即適応」を目指す姿勢は、現場理解に根差した合理的な選択だと感じた。
人材不足が構造問題となる今、企業と外国人労働者を単純につなぐのではなく、双方の成長を前提に仕組みを設計する。その思想と実践は、今後の地域産業にとって重要な指針になるだろう。

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ご紹介

Profile

村長 人之

OKS国際事業協同組合
会長

村長 人之

むらなが ひとし

設計士として建設業に携わった経験を原点に、外国人技能実習生・特定技能人材の受け入れ支援に20年以上取り組んでいます。建設業界における慢性的な人材不足を現場で実感したことをきっかけに、企業単独では対応が難しい在留資格手続きや教育・生活支援を、組合という形で一体的に担う仕組みを構築してきました。
国選定、事前面接、日本語教育、資格取得、入国後のフォローまでを一貫して設計することを重視し、「即戦力」ではなく「現場に適応できる人材」の育成を軸に活動しています。制度改正にも柔軟に対応しながら、企業と外国人材の双方が成長する循環を生み出すことを使命としています。

 ホアイ

OKS国際事業協同組合
管理部 通訳

ホアイ

ホワイ

外国人技能実習生および特定技能人材の在留資格更新業務、生活・就労に関する相談対応を担当しています。母国語での丁寧なコミュニケーションを通じて、実習生が抱える不安や課題を早期に把握し、企業側と連携しながら問題解決を図っています。
特に、来日直後から配属初期にかけてのサポートに注力しており、仕事後や夜間の相談にも対応するなど、生活面に深く寄り添う姿勢を大切にしています。100名を超える実習生を担当する中で、「安心して相談できる存在」であることを重視し、円滑な就労と定着を支えています。

石塚 直樹

株式会社ウェブリカ
代表取締役

石塚 直樹

いしづか なおき

X(旧:Twitter)

新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。
腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。
地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。

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