「仕事に誇りを持ち、仲間とともに働きがいのある組織をつくりたい」。
そう語るのは、株式会社ミライストラテジー代表・渡辺博之さん。百貨店・高島屋で29年間勤め、豊富な人事経験と経営経験を経て独立。現在は研修講師・人事コンサルタントとして年間150本を超える研修を実施し、多くの企業から厚い信頼を得ています。
今回は代表・石塚直樹がナビゲーターとなり、渡辺さんのキャリア、独立の背景、そして今後の事業構想についてじっくり伺いました。
目次
キャリアの原点と転機 ― 高島屋で学んだ「人と関わる仕事」
石塚
「渡辺さんは理系出身と伺いましたが、なぜ百貨店に?」
渡辺さん
「エンジニアとしての道もありましたが、どうしても“人と関わる仕事”がしたかったんです。理系職が少ない業界をあえて選び、身近にあった高島屋に飛び込みました。最初は婦人服売場からのスタートでしたね。」
石塚
「現場の接客から始まったわけですね。」
渡辺さん
「ええ。仲間やお客様と直接関わる毎日が楽しくて仕方なかったです。ただ、入社4年目に人事部へ異動したことが大きな転機でした。そこで労務や採用、教育といった人事の仕事に携わり、組織を支える立場の面白さに気づいたんです。」
石塚
「なるほど。“働きがい”を支える側に回ったんですね。」
渡辺さん
「はい。小さな店舗で150人規模、やがては横浜店や本社で1万人規模の人事を担当しました。現場と本部をつなぎながら、どうすれば従業員が気持ちよく働けるかを常に考えていました。」

現場に学ぶ経営と価値観 ― RTコーポレーションでの挑戦
石塚
「そこから経営企画、さらにはグループ会社RTコーポレーションの社長に就任されましたね。」
渡辺さん
「はい。鼎泰豊のようなレストランや社員食堂を運営する会社で、“経営成果と従業員満足の両立”という課題に直面しました。料理を作る人の技術や誇りが、数字以上に大切だと強く感じたんです。」
石塚
「飲食業は“ブラック”と見られがちな面もありますが、そこで誇りを持って働ける環境をつくることが大事だと?」
渡辺さん
「まさにそうです。経営会議でも『明るく元気な会社を作ろう』と訴え続けました。社員食堂は従業員の憩いの場。その1時間のために真剣に働く人たちを、トップが正しく評価しなければならないと痛感しました。」
石塚
「経営の数字と現場のやりがい、そのバランスに悩みつつ、答えを探した時期だったのですね。」
渡辺さん
「はい。成果の前に満足ありき。その信念は、今の研修活動の根幹にもなっています。」

現在の活動 ― 年間150本の「魂の研修」
石塚
「独立はコロナ禍の時期だったんですよね?」
渡辺さん
「ええ。当初は飲食での独立を考えていましたが、コロナで断念しました。その代わり、研修講師として自分の経験を伝えようと決めました。最初は研修会社の門を叩いて『やらせてください』とお願いするところからのスタートです。」
石塚
「そこから年間150本にまで増えたのはすごいですね。」
渡辺さん
「最初は1本、そこから10本、20本と増え、2年目で100本、3年目で150本に到達しました。管理職研修、モチベーション、コンプライアンスなど幅広く担当しています。」
石塚
「なぜそこまで引き合いがあるのでしょう?」
渡辺さん
「強みは“現場感”だと思います。理論をただ話すだけではなく、社長や部長として現場に立った経験を伝えられる。教科書の行間を埋めるのは、生の経験と魂です。だからこそ共感していただけているのかなと。」
石塚
「つまり、“魂の研修”なんですね。」
渡辺さん
「はい。どのテーマにも共通しているのは“従業員の働きがい”です。それを軸に語るからこそ、受講者の心に響くのだと思います。」

未来への構想 ― 飲食事業で「働きがい」をゼロから創る
石塚
「ここからは未来の話を伺いたいです。飲食事業への再挑戦を考えているとか?」
渡辺さん
「正直、あります。本来やりたかったのは“働きがいのある飲食の現場づくり”です。構想しているのは、パスタを軸にしたファストフード型チェーン。徹底したマニュアルと数値管理を行いながら、同時に従業員がやりがいを持てる環境を整えることを目指しています。」
石塚
「例えば、タラコ50gを量る専用おたまを使うような、精緻なオペレーションですね。」
渡辺さん
「そうです。効率的でありながら、作業の中に意味を感じられる文化をつくる。マニュアル通りにできることも一つの技術。それを正しく評価し、現場の声を取り入れながら進化させていく組織をつくりたいんです。」
石塚
「研修という一期一会を超えて、長期的に人を育てる場所を作りたいということですね。」
渡辺さん
「まさにその通りです。今年度中に事業計画を固め、走り出す準備をしています。」

研修も未来も「働きがい」が軸
石塚
「今日の30分は、“働きがい”という言葉に尽きると思います。過去のキャリアも、現在の研修も、未来の飲食事業構想も、すべてがそこにつながっていました。」
渡辺さん
「はい。どんな仕事にも必ず意味があり、働く人の誇りがあります。その誇りを見つけてほしいし、一緒に育てていきたい。もし研修に興味があれば、ぜひ今のうちに声をかけていただけたら嬉しいです。」
石塚
「“研修を超えて働く意味を問い直す時間”。まさにそんな対談になりました。渡辺さん、ありがとうございました!」
渡辺さん
「ありがとうございました!」
まとめ
株式会社ミライストラテジー代表・渡辺博之さんの歩みは、「現場感」と「働きがい」に貫かれています。高島屋での29年、研修講師としての独立、そして飲食事業構想。そのすべてに一貫するのは「働く人を誇りで満たす」というビジョンです。
年間150本もの研修をこなしながらも、未来を見据えて新しい組織づくりに挑戦しようとする姿勢は、多くのビジネスパーソンに刺激を与えてくれるはずです。
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ご紹介
Profile

株式会社ミライストラテジー
代表取締役
高島屋にて29年間、人事・経営企画・社長出向など多彩なキャリアを経験。
特に人材育成や組織開発に注力し、1万人規模の人事施策や飲食事業の経営改革に携わる。
2020年に独立し、研修講師・人事コンサルタントとして活動開始。現在は年間150本の研修を行い、現場感覚と経営視点を融合した実践的な講義に定評がある。
「成果の前に従業員満足ありき」を理念に、組織と人の成長を支援している。

株式会社ウェブリカ
代表取締役
新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。