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燃料の需要は2011年がピークだった。山梨のマルシン石油三代目が挑む水力発電

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山梨県富士河口湖町を拠点に、寒冷地での暮らしを支え続けてきたマルシン石油株式会社。ガソリンスタンドを持たず、“必要なとき、必要な場所へ”燃料を届ける独自のスタイルで、地域からの厚い信頼を築いてきました。

3代目代表・渡邊芳英さんが大切にしているのは、「ありがとう」「助かった」という地域の声。その原点には、冬の厳しい朝に灯油を配達した少年時代の記憶があります。燃料高騰や脱炭素が進むなかでも、定期配送や緊急対応によって持続可能な体制を整え、地域の安心を守り抜いています。

さらに10年越しで準備してきた小水力発電事業も始動目前。地域の自然資源を活かし、次世代へと継承するエネルギーのかたちを描いています。

「息子のユニフォームに“マルシン”と入れたい」──そんな言葉に込められた、家族と地域への強い想い。経営の原点は、信頼と絆。その姿勢が、今も変わらず地域にエネルギーを届け続けています。

地域の暮らしを守る現場の声を是非お聴きください。

マルシン石油株式会社とは

マルシン石油株式会社は、富士山の北麓に位置する山梨県富士河口湖町に本社を置く会社です。創業は1985年。代表取締役の渡邊芳英さんは三代目にあたります。

メインの仕事は燃料の配達です。

最も多いのは一般家庭への給湯用ボイラーの燃料のお届け。加えて法人向けに暖房用燃料や給湯用燃料も届けています。エリアは山梨県全域と、富士山の南麓側にあたる静岡県側の一部地域です。

山梨の冬は寒く、暖房用の灯油は生活に直結します。渡邊さんによれば、ポリタンクを持って買いに行くのは重くて大変。だから配達すると、おじいちゃんおばあちゃんから「持ってきてくれてありがとう」と言われることもあるそうです。

燃料の需要は、2011年がピークだった

渡邊さんの経歴はこうです。大学卒業後、静岡県の外資系の燃料会社に就職し、約10年にわたって燃料と潤滑油の仕事に携わりました。

30歳のときに山梨へ戻り、叔父が経営するマルシン石油に入社。そして2018年に叔父から代表を引き継ぎ、7〜8年になります。

引き継いでみてどうだったか。渡邊さんが挙げたのは、業界全体の厳しい数字でした。

燃料の世界は2011年にピークを迎え、そこからずっと右肩下がり。

「会社を残すというのは、とっても大変だなという思いでいっぱいです」――それが率直な実感だといいます。

ガソリンスタンドを「持っていない」という強み

右肩下がりの業界で生き残るための強みは何か。渡邊さんの答えは、持っているものではなく持っていないものでした。

同社はガソリンスタンドを持っていません。

通常、燃料屋はガソリンスタンドを持ち、それに付随して燃料配達を行う業態が非常に多いのだといいます。しかしスタンドがあるということは、そこを軸に商圏が決まるということでもあります。

スタンドを持たない同社はどこへでも販売できる。車が行けるところであれば、行けてしまう。それが他社と違う強みではないか、というのが渡邊さんの見立てです。

「お客様をお客様として扱う」

仕事へのこだわりを尋ねると、渡邊さんは業界の実情から話し始めました。

燃料会社は薄利多売の商売です。一時代前は、お客様一人あたりから得られる利益がとても小さいこともあってか――お客様に対して横柄な態度を取る人がたまに見受けられたといいます。

だから同社が心がけているのは、この一点です。

お客様を、お客様として扱う。

渡邊さん自身「これは普通のことなんですけど」と前置きしたうえで、社内でもよく言っているそうです。そして「そこが信用・信頼になっていくんだろうな」と。

現場での注意点も具体的でした。扱っているのは油です。こぼれると非常に汚れる。しかも危険物である。だからできる限りこぼさず、綺麗に扱うことを強く意識している。そしてできるだけ早く届けること。

燃料屋が、水力発電所に挑む

そして渡邊さんが取り組んでいるのが、業界としてはかなり珍しい挑戦です。

燃料屋としては珍しく、水力発電所を手がけたい。

この構想には10年かかっているといいます。それでも「なんとかあと一歩のところまで進んできている」段階だそうです。

日本酒と、神社巡りと、神頼み

最後に、渡邊さんの趣味の話が印象的だったので紹介します。

好きなものは日本酒――「浴びるほど飲みたい時もあります」――と、神社巡り

神社巡りを始めたのは、代表になってからでした。理由がまた率直です。

いろいろな事業に取り組むなかで、自分の運だけでは足りないなと思うことがよくある。周りにいる人たちが支えてくれ、協力してくれて事業が成り立ってきた。自分の行動だけでOKが出ることは、すごく少ない。

そこから神社を巡るようになった――「もはや神頼みという世界でございます」と渡邊さんは笑います。

右肩下がりの業界で会社を残し、10年かけて水力発電に手を伸ばす。その傍らで神社を巡っている三代目の姿がありました。

※本記事は、ラジオ番組でお話しいただいた内容をShikisai編集部が記事としてまとめたものです。発言は趣旨を損なわない範囲で整理しています。数値・進捗は収録時点のものです。

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Profile

渡邊 芳英

マルシン石油株式会社
代表取締役

渡邊 芳英

わたなべ よしひで

「我々はスポーツチームでいえばチームスタッフだと思います。この地域を開発する企業様に対して燃料供給を通して開発のお手伝いをし、お住まいの皆様に対してはインフラの一部として「普通の暮らし」をしっかり支える。そんな企業に徹すること、選手を最高の状態で試合に送りだすこと、そのために努力する企業でありたいと思います。」

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大曲 理美

大曲 理美

おおまがり さとみ

経歴:大学卒業後、「東京アナウンスセミナー」でスキルを磨く。2015年に「第24代椿の女王」に選ばれ、1年間伊豆大島の観光大使として活動。2020年にNHK和歌山放送局の契約アナウンサーとして入局。出演番組:「ギュギュっと和歌山(わかやま見つけ隊)」「ぐるっと関西おひるまえ」

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