shikisai radio
radio
61

義足のソケットとは?柔らかく作る新潟の専門店・P.Oコンセプトに聞く

読込中...
読込中...

足が不自由な方々へ、既成概念を覆す義足を提供する株式会社P.Oコンセプト。代表取締役の荒木順司は、利用者の痛みを軽減し、より快適な生活を送れるよう、「柔らかいソケット」の義足に情熱を注ぐ。義足作りへの想いや、硬い義足との違い、柔らかいソケットの構造やメリットを徹底解説。さらに、デザインへのこだわりや、全国の義肢装具士への技術指導といった活動、そして将来に向けた革新的なビジョンについても語る。

【株式会社P.OコンセプトのHPはこちら】

https://www.po-concept.co.jp/

株式会社P.Oコンセプトとは

株式会社P.Oコンセプトは、新潟にある義足と靴の専門会社です。会社としてのスタートは2011年。代表取締役の荒木順司さんは、日々の業務をこう表現します。「ほとんど毎日、義足義足の生活」

靴も手がけていますが、こちらはリウマチや糖尿病の方向けが少しあるくらいで、業務の大半は義足だといいます。

顧客のエリアも特徴的です。新潟が半分ほど、関東が4割ほど。残る1割は関西のほか、九州からも北海道からも訪れます。地元だけで完結していない――全国でも珍しい専門店であることが、この分布に表れています。

中学生のときに決めていた進路

荒木さんが中学生の頃、父親が義肢製作所を開業しました。もともと新潟の大手企業に勤めていたものの、そこを辞めての独立です。義足や難しい装具を専門にする人で、独立の際には患者さんも一緒についてきたといいます。

当時の従業員は少なく、荒木さんも少しずつ手伝うようになります。そのうちに「自然に、義足をやらなきゃなと思った」。中学生の時点で、すでにこの仕事をやりたいと考えていたそうです。

スポーツは中学で水泳、高校でレスリング。大学からの誘いもありました。しかし「家業がどうも安定しないので、そっちはそこそこでいいだろう。家業のほうが大事だよね」と考え、高校卒業後すぐに家業へ入っています。

義足の「ソケット」とは何か

同社がこだわっているのがソケットです。

ソケットとは、切断された部分を受け止める義足の受け皿にあたる部分です。膝から下の切断であれば、膝関節から断端までの長さを覆う部分にあたります。昔は革で作られたものもありましたが、現在はプラスチックが主流です。

ここで荒木さんは、硬いソケットが抱える具体的な不具合を挙げていきます。

  • ズボンに穴が開く。擦れてテカる
  • 膝の裏側が十分に曲がらない。タクシーの後部座席のような狭いところで膝を深く曲げるのが不便
  • 硬いものに足を入れて歩くため、振動や衝撃が伝わってくる

足の付け根から膝の上までを硬いプラスチックで覆えば、当然こうしたことが起きるわけです。

「全体は柔らかく、支えるところは硬く」

そこで同社は、材料を工夫してソケットを作っています。設計の考え方はこうです。

全体は柔らかく。サポートが必要なところは硬く。不具合が出やすいところは柔らかく。だいたい二層構造になるといいます。

実例も語られました。長野県から訪れた方は、ジーンズが1週間で5センチほど穴が開くという状態でした。「よく見ると、これは確かにそうなるな」という形状だったといいます。

その方に作ったのは、表面がウレタンのソケット。色や柄を入れることもできます。見た目は硬そうでも、椅子に座ると後ろの部分がペタッと潰れる。一方で立っているときは、外側と内側を足の付け根まで硬くはせず、途中までを硬くすることで十分な支えが得られるようにする。

初めて履いた方からは、「今までと相当感覚が違うね」と言われるそうです。

荒木さんが挙げたもう一つの視点が、日常生活での負担でした。硬いソケットで一日を過ごすと疲労感が出る。柔軟性のあるソケットであれば、仕事を終えたあとの家事などにも違いが出てくる――ユーザーの一日全体を見て設計している、ということです。

父の代から受け継いだ専門性を、身につける人の生活の側から作り直す。P.Oコンセプトのこだわりは、そういう場所にありました。

※本記事は、ラジオ番組でお話しいただいた内容をShikisai編集部が記事としてまとめたものです。発言は趣旨を損なわない範囲で整理しています。義足の適合や仕様は個々の状態によって異なるため、実際の製作は必ず専門機関にご相談ください。

RADIO

この
エピソードを
配信で聞く

ご紹介

Profile

荒木 順司

株式会社P.Oコンセプト
代表取締役

荒木 順司

あらき じゅんじ

株式会社P.Oコンセプトの代表取締役であり、義肢・装具の製作や販売を通じて、患者に寄り添った高品質な製品を提供するとともに、MASソケットやカーボンフレーム技術などの革新的な技術を導入した専門性の高い義足・靴の製作を行う職人。

淺川 理沙

淺川 理沙

あさかわ りさ

【経歴】・2018年〜2021年の3年間、NHK福島放送局でニュースキャスターを担当。東日本大震災に関する震災報道や台風などの災害報道にも携わり、年間で50本ほどの取材も行う。・2011年〜2015年はシンガポールとインドに居住し、海外就労。人材コンサルタントとして日系・外資・ローカル企業300社ほどの経営現地化に携わり、中でもインドでは200人近くの現地法人社長から事業展開についてヒアリングする。・2023年からは車いすバスケットボールの試合実況や会場MCとしても活動中。車いすバスケの面白さと選手や関係者の方々の思いに魅了されたことから、自身も車いすバスケに欠かせない存在になりたいと日々取材を続けている。・現在、NHKラジオ第1の全国放送の番組『マイあさ!』にリポーターとして出演中。 【資格】・TOEIC900点(リスニング満点)・防災士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)・証券外務員一種・証券アナリスト基礎・Certificate of Employment Intermediaries(シンガポールの人材コンサルタント国家ライセンス) 【メディア出演】・NHK総合『おはよう日本』(全国放送)・NHKラジオ第1 『マイあさ!』(全国放送)・NHK仙台『もりすた!』・NHK福島『おはよう福島』・NHK福島『ニュース645』・NHK福島『はまなかあいづTODAY』・NHK福島『こでらんに5』ほか 【執筆】・朝日インタラクティブ株式会社『ツギノジダイ』企業経営者インタビュー※「Yahoo!ニュース」経済カテゴリー、「朝日新聞」紙面への複数回の掲載歴あり

地域 中部地方の関連コンテンツ

長野県の企業向け補助金まとめ【2026年8月】自治体独自6件を含む10件

長野県の企業向け補助金まとめ
  • 地域 中部地方

自分の身体の正解とは?健康になりたい人を全力でサポートする整体院松華の取り組み

  • 地域 中部地方
  • 視点 美容/健康
  • 業種 展望