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内部不正はなぜ起きるのか|監査法人解散を経験した会計士がたどり着いた答え|株式会社Fin・Vision Consulting・崎間憲和

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「監査があるのに、不正はなぜなくならないのか。」
その問いに対して、現場を知る会計士はこう答える。「監査だけでは防げない」と。

実際に、不正をきっかけに監査法人が解散するという出来事を経験した一人の会計士がいる。
彼がたどり着いたのは、「仕組み」ではなく「人」の問題だった。

だからこそ選んだのは監査ではなく、研修という道。
数字を“作る人”ではなく、“使える人”を増やすことで、企業は変わるのか──その挑戦に迫ります。

監査があるのに、なぜ不正は起きるのか?

石塚:
そもそもなんですが、監査って不正を防ぐためにあるものですよね。それでも不正はなくならないのは、なぜなんでしょうか?

佐久間:
そうですね…。実は、私自身がその限界を目の当たりにした経験があります。
最初に勤めていた監査法人が、不正をきっかけに金融庁から業務停止命令を受けて、最終的に解散してしまったんです。

石塚:
え、それはかなり衝撃的ですね…。

佐久間:
はい。もちろん不正をした企業側にも問題はあるんですが、それを見抜けなかった監査側にも責任がある。
そのときに思ったんです。「監査だけでは限界がある」と。

じゃあ、何を変えればいいのか?

石塚:
監査でダメなら、何を変えるべきなんですか?

佐久間:
結論から言うと、「人」です。
会社の中で数字を扱う人、つまり経理や社員一人ひとりの理解や意識が変わらないと、不正は防げません。

石塚:
仕組みじゃなくて、人なんですね。

佐久間:
そうですね。
だから私は「経理人材を育てる」「正しく会計を使える人を増やす」ことが必要だと思って、研修に軸足を移しました。

なぜ“研修”で企業が変わるのか?

石塚:
でも正直、研修ってそんなに会社を変えられるものなんですか?

佐久間:
そこがよく誤解されるところなんですが、単なる知識のインプットでは変わりません。
重要なのは、「数字の意味が分かるようになること」です。

石塚:
意味、ですか?

佐久間:
はい。例えば、現場の経理担当者って日々伝票処理をしていますよね。
でもその人たちは、自分たちが作った数字が最終的にどう使われるかを知らないことが多いんです。

石塚:
確かに…作業になってしまいそうですね。

佐久間:
そうなんです。
でも、自分が作った数字が投資家の判断に使われていると分かると、仕事の見え方が一気に変わります。

「数字を作る人」と「数字を使う人」の違い

石塚:
その違いって、具体的にはどういうことなんですか?

佐久間:
シンプルに言うと、
・数字を作る人 → 作業をしている
・数字を使う人 → 経営を考えている
という違いです。

石塚:
なるほど。

佐久間:
例えば、同業他社と比較して「なぜ自社の株価が低いのか」を考える。
これは正解がある問題ではないんですが、考えることで選択肢が増えるんです。

石塚:
つまり、答えを教える研修じゃないんですね。

佐久間:
はい。
考え方の切り口を増やすこと。それが本質です。

なぜこのやり方は他社に真似されにくいのか?

石塚:
ここって、かなり独自性がある気がするんですが、他の研修会社と何が違うんですか?

佐久間:
一番の違いは、「オーダーメイド」であることですね。

石塚:
あらかじめ決まったプログラムじゃない?

佐久間:
はい。
企業ごとに課題をヒアリングして、「その会社に必要な研修」を設計します。

石塚:
なるほど。

佐久間:
さらに、監査の現場を知っているからこそ、
・どこで不正が起きるのか
・どこで判断を間違えるのか
が分かるんです。

研修で実際に企業は変わるのか?

石塚:
実際に変わった事例ってありますか?

佐久間:
あります。
ある卸企業では、最初は「ROEって何ですか?」という状態でした。

石塚:
かなり初歩ですね。

佐久間:
はい。でも1年後には、
「自社のROAを改善するにはどうすべきか」
という議論が現場から出てくるようになりました。

石塚:
それはすごい変化ですね…。

佐久間:
そうなんです。
知識が増えたというより、「考えるようになった」ことが大きいですね。

これから経理はどう変わるのか?

石塚:
今後、経理の仕事ってどうなっていくと思いますか?

佐久間:
AIによってルーチン業務は減っていくと思います。
ただ、その分「判断できる人」の価値は上がります。

石塚:
つまり、より経営に近づく?

佐久間:
はい。
数字を使って意思決定に関わる人材が増えれば、会社全体も強くなります。

最終的に目指しているもの

石塚:
最後に、今後やっていきたいことを教えてください。

佐久間:
研修を通じて、人が変わり、その結果として組織が変わる。
そのきっかけを作り続けたいですね。

編集後記

この事業は一見すると「会計研修」の提供に見えるが、実際にやっていることはそれとは少し違う。

多くの企業では、経理は「数字を作る部署」として扱われている。しかし、今回の話を通して見えてきたのは、本来の役割はそこではないということだ。数字はあくまで結果であり、その裏には現場の行動や意思決定が積み重なっている。そのつながりを理解できていない限り、いくら正確に数字を作っても、経営には活かされない。

だからこそ、この事業では知識を教えることよりも、「数字の意味を理解する状態」をつくることに重きが置かれている。単に財務諸表を読めるようにするのではなく、その数字から何を考え、どんな選択肢を持てるかまで踏み込む。この違いが、一般的な研修との大きな分岐点になっている。

さらに特徴的なのは、あらかじめ用意されたカリキュラムを当てはめるのではなく、企業ごとの課題から逆算して研修を設計している点だ。監査の現場で実際に起きている問題を見てきた経験があるからこそ、「どこで判断を誤るのか」「どこで不正が入り込むのか」といったポイントを具体的に捉えられる。この前提があることで、研修が単なる座学で終わらず、現場に接続されていく。

そして最も重要なのは、研修のゴールが「理解」ではなく「変化」に置かれていることだろう。受講者が数字を自分ごととして捉え、自社の課題を自分で考え始める。この状態が生まれたとき、初めて組織は変わり始める。

監査という“後からチェックする仕組み”から、研修という“事前に人を変えるアプローチ”へ。この転換そのものが、この事業の本質なのかもしれない。

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ご紹介

Profile

崎間 憲和

株式会社Fin・Vision Consulting
代表取締役

崎間 憲和

さきま のりかず

公認会計士。大手監査法人で15年以上監査業務に従事し、上場企業や各種法人の監査を経験。監査法人の解散を契機に「不正は人の理解から防ぐべき」と考え、企業向け研修に転向。
現在は会計・財務・コンプライアンス領域の研修を中心に、企業ごとの課題に応じたオーダーメイド型の人材育成を行っている。数字を“作る”から“使う”へと視点を変え、意思決定できる人材の育成を支援。

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石塚 直樹

株式会社ウェブリカ
代表取締役

石塚 直樹

いしづか なおき

新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。
腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。
地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。

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