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逮捕・懲戒解雇を経験 社会復帰を支援するキャリアコンサル / 中村元(キリオ)株式会社Everal 社会復帰支援サービス YOTSUBA

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「一度つまずいたとしても、社会で再び価値を発揮する道はあります」。そう語るのは、株式会社Everal代表取締役・中村元さんです。大手メディア企業に約10年間勤務したのち、逮捕・実名報道・懲戒解雇という経験を経て、社会復帰の困難さを身をもって体験しました。その当事者としての経験を原点に立ち上げたのが、社会復帰総合支援サービス「YOTSUBA」です。

YOTSUBAは、犯歴や懲戒処分歴を抱える人の再就職支援に加え、実名報道によって残り続けるネット記事への対策、いわゆるデジタルタトゥー問題にも取り組んでいます。再挑戦の可能性を制度・心理・情報環境の三側面から整える取り組み。その背景と思想、そして今後の構想について伺いました。

今回は石塚直樹がナビゲーターとなり、株式会社Everal代表取締役・中村元さんのキャリアと、社会復帰支援事業「YOTSUBA」の取り組みについて伺いました。

挑戦の原点──当事者として経験した断絶

石塚:
現在の事業を立ち上げた背景について教えていただけますか。

中村さん:
私は大学卒業後、大手メディア企業に約10年間勤務していました。しかし在職中にトラブルを起こし、逮捕、懲戒解雇となりました。さらに実名報道もありました。その結果、社会復帰は想像以上に困難なものになりました。

石塚:
どのような困難がありましたか。

中村さん:
まず、何を目指せばいいのか分からなくなりました。自分のような経歴の人間が、どのような仕事に応募できるのかという基準が分からなかったのです。また、年収をどこまで下げる覚悟をすべきなのか、採用してくれる企業が本当に存在するのかという不安もありました。

不採用が続くと、自分の存在そのものが否定されているように感じます。「もう一生働けないのではないか」と考えたこともあります。精神的な消耗は非常に大きいものでした。

石塚:
そこからどのように立ち直ったのでしょうか。

中村さん:
ハローワークでの助言が転機でした。前科のある方向けの求人は存在するが、私がこれまで積み上げてきたホワイトカラーとしての経験を活かすのであれば、自力で再挑戦した方が良いと言われました。

そこで私は、目標を「どこでもいいから働く」に設定するのではなく、「自分の強みを活かして社会に貢献する」に再設定しました。この目標の再定義が、その後の行動の質を変えたと思います。

再就職活動の盲点──反省だけでは評価されない

石塚:
再就職活動で特に難しかったのはどの部分でしょうか。

中村さん:
自らの経歴をどのように伝えるかという点です。履歴書に書くべきか、面接で話すべきか、いつ打ち明けるべきか。正解はありませんでした。

書類に記載すると一切通過しなくなりました。転職サイトの利用が停止されたこともあります。一方で、面接で初めて話す場合も、企業側がどう受け止めるのか分かりません。

石塚:
面接での姿勢は変わりましたか。

中村さん:
はい。当初は「反省している」という姿勢ばかりを強調していました。とんでもないことをした、二度と迷惑をかけないと心から誓ったのは本心でしたが、そんなことは人として当たり前のことであり、一切評価対象にはなりません。

採用活動は慈善事業ではありません。企業は戦力を求めています。そこで私は、過去を誠実に伝えた上で、「自分は何ができるのか」「どのように貢献できるのか」を明確に提示する姿勢に切り替えました。

これはある種の覚悟でもありました。過去を背負いながらも、自分の価値を堂々と示すこと。それが結果に結びついたと考えています。

YOTSUBAの支援設計──心理と技術の両立

石塚:
YOTSUBAではどのような支援を行っていますか。

中村さん:
YOTSUBAは社会復帰総合支援サービスです。主軸は就職支援で、私自身の経験を基盤としたキャリアコンサルティングを行っています。

初回は無料相談から始まります。その後、継続支援を希望される場合は有料コンサルティングへ移行します。特徴は成果報酬型で、就職決定後に費用をいただく仕組みです。

石塚:
成功率はどの程度でしょうか。

中村さん:
有料コンサルティング利用者の9割以上が社会復帰を実現しています。ただし「社会復帰」の定義には幅があります。転職成功だけでなく、現職に残る決断をするケースも含まれます。

石塚:
成功率を支える要因は何ですか。

中村さん:
挫折経験を持つ方は自己肯定感が低下しています。そして、誰にも相談できず自分を責め続ける傾向にあります。面談で涙を流し、「生きていくのが辛い」と話される方も少なくありません。

まずは気持ちを前に向けること。そして過ちをきちんと認め、被害者や関係者に対して誠心誠意謝罪の気持ちを持つこと。心からの反省を大前提とした上で、企業研究や自己分析、書類作成、面接練習といった就活における基本工程を丁寧に積み上げていきます。

デジタルタトゥーという情報環境の壁

石塚:
ネット対策についても教えてください。

中村さん:
実名報道があると、刑事処分が終了してもネット上に記事が残り続けます。不起訴や罰金で処分が終わった場合でも、検索結果には事件情報が表示され続けることがあります。

これはいわゆる「デジタルタトゥー」と呼ばれる状態です。一度公開された情報は半永久的に残り、検索されれば容易に見つかる環境にあります。その結果、就職活動だけでなく、日常生活や人間関係にまで影響が及ぶケースがあります。

石塚:
対策は可能なのでしょうか。

中村さん:
状況によりますが、削除手続きが可能な場合もあります。ただし、削除には法的手続きが必要になることも多く、費用が高額になるケースも少なくありません。

そのためYOTSUBAでは、可能な限り費用を抑えながら対応する方法を検討します。削除が難しい場合でも、逆SEO対策などによって検索結果の表示順位を調整し、目に触れにくい環境を整えることは可能です。

一度名前がネットに出てしまうと、100%根絶することはほぼ不可能です。しかし、生活や就業に支障が出ない水準まで検索環境を整えることは現実的な目標として設定できます。

再犯防止と企業との接続

石塚:
企業とのマッチング構想について教えてください。

中村さん:
将来的には、企業と人材を結ぶ仕組みを構築したいと考えています。能力が高く、再挑戦への意欲を持つ人材は多く存在します。一方で、人材不足に悩む中小企業やスタートアップもあります。双方の合理的な接続ができれば、社会的意義は大きいと考えています。

石塚:
再犯防止の観点はどのように担保されますか。

中村さん:
まず事件の内容と背景を丁寧に整理します。近年多いのは性犯罪や飲酒関連、横領などですが、背景には依存症や精神的課題があるケースもあります。

その場合、「もうしません」という意思表明だけでは十分とは言えません。必要に応じて精神科の受診や専門的な再犯防止プログラムの受講を勧めています。治療や専門支援を通じて、再発リスクを構造的に下げることが重要です。

石塚:
企業側にとってはリスク管理が重要になりますね。

中村さん:
はい。感情論ではなく、再発防止の取り組みが具体的に行われているかが判断材料になります。また、孤立を防ぐことも大切です。家族や支援者との関係性を維持することは再犯抑止につながります。

紹介して終わりではなく、一定期間は伴走し、状況を確認しながら支援を継続します。再犯防止は紹介前だけでなく、紹介後も含めた設計だと考えています。

次世代へのメッセージ

石塚:
最後に読者へのメッセージをお願いします。

中村さん:
過去に問題を起こしてしまった方は、自分で抱え込んでしまう傾向があります。誰にも相談できず、「自分で何とかするしかない」と思い詰めてしまうことも少なくありません。

しかし、関係性のない第三者であり、同じような経験をしているからこそ、冷静に状況を整理し、現実的な選択肢を提示できることがあります。自暴自棄になる前に、一度立ち止まってほしいと思います。

強い覚悟は必要です。過去をなかったことにはできませんし、贖罪は一生続きます。それでも、心を入れ替えて社会の中で生きていこうとする意思があるのであれば、再スタートの道は必ず見つかります。

YOTSUBAは、その覚悟に伴走する存在でありたいと考えています。

編集後記

中村さんの取り組みは、単なる就職支援ではありません。それは「社会復帰をどう設計するか」という問いに対する実装です。

過去の過ちをどう評価するのか。能力とリスクをどう天秤にかけるのか。情報が半永久的に残る時代において、制裁の範囲をどこまでとするのか。

YOTSUBAは、感情論ではなく構造の再設計によって、この課題に向き合っています。再挑戦を可能にする仕組みづくりは、個人の問題にとどまらず、労働市場と社会の成熟度を問う試みでもあります。

静かな覚悟と現実的な設計。その両立に、持続性を感じました。

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ご紹介

Profile

中村 元

株式会社Everal
代表取締役

中村 元

なかむら げん

社会復帰総合支援サービス「YOTSUBA(よつば)」を運営。
大手メディア企業勤務を経て逮捕・懲戒解雇を経験。その再就職活動を通じて社会復帰の構造的課題を実感し、当事者視点に基づく支援事業を立ち上げ。
現在は主に「YOTSUBA」によるオンラインキャリア相談を中心に、悪質なネット記事対策や検索環境の改善などの支援も行っている。
また、再就職に役立つ情報発信を目的としたWebメディア運営や、Webマーケティング支援事業にも取り組んでいる。

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石塚 直樹

株式会社ウェブリカ
代表取締役

石塚 直樹

いしづか なおき

新卒でメガバンクに入社し、国土交通省、投資銀行を経て独立。腕時計ブランド日本法人の立ち上げを行い、その後当社を創業。地域経済に当事者意識を持って関わりながら、様々な企業の利益改善や資金調達を、デジタルや金融の知見を持ってサポートしています。 ■編集長インタビュー 「メディア「地域色彩」立ち上げの背景とは?株式会社ウェブリカ・石塚直樹が語る地域企業活性化のビジョン」

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