創業までの経緯を教えてください
子どもの頃から料理をする機会は多かったですが、どちらかというと「食べること」のほうが好きでした。実家が自営業だったこともあり、料理は“お手伝い”の延長のような感覚で、自然と身近な存在でした。
小学校3年生の夏休みには、「朝・昼・夕のご飯を作ったらお小遣いがもらえる」というきっかけがあって、そこから毎日のように作るようになったんです。
高校卒業後は、食をもっと深く学びたいと思い、短大で栄養士の資格をとり、2年の実務経験を経て管理栄養士の国家試験を受け、合格して取得しました。
卒業後は食に関わるさまざまな現場で経験を積みながら、「食を通して人の健康を支えたい」という気持ちが強くなっていきました。
その後、結婚を機に奈良へ移り、夫が運営するカフェを一緒に切り盛りするようになりました。
15年ほどお店を続ける中で、地元地域の方々や国内外のお客様と食の楽しみを共有できたことは、私の中で大きな財産です。
そして、第二子誕生のアレルギーがきっかけで「もっと安心して食べられるものを自分で作りたい」という思いが芽生えました。
市販のお茶漬けの素を見て「家族の体に優しいものを自分で作ろう」と思ったことが、今の事業の原点です。
「身体に必要のないものは使わず、農家さんが作った素材の良さを引き出した「素のままの加工品」を届けたい。その想いがすべてのスタートでした。」
経営の中で印象に残っているストーリーを教えてください
起業当初は、わからないことばかりのスタートでした。
それでも周りの人の支えやご縁に恵まれて、県の支援制度に採択され、製造業として本格的に歩み始めることができました。
「自分で“起業しよう”と思ったというより、いただいたチャンスを一つずつ大切にしてきた結果、ここまで来られたという感覚です。」
経験を重ねるごとに、お客様から直接声をいただく機会も増え、
「美味しい」「安心して贈れる」「体に優しい」――その言葉が今の原動力になっています。
あなたが思う御社事業の魅力を教えてください
私たち「Su-balance」では、奈良県産の大和茶を使った商品を中心に製造しています。
代表的な商品は、お茶漬けの素や粉末茶、大和茶ラテ、そして「おまもり大和茶」。
中でも「おまもり大和茶」は、スティックタイプなので手軽に簡単に忙しい方にも取り入れやすくしています。
茶葉を丸ごと粉末にしているためビタミン、ミネラル、食物繊維も摂ることができ、”飲む野菜(補給)”のようなお茶です。
カフェインも控えめなのでいつでも気軽に飲んでいただけます。
「お茶は昔から薬として飲まれてきました。
栄養が豊富で、心も体も整える力がある。
そんなお茶の魅力を、現代の暮らしに合った形で届けたいと思っています。」
管理栄養士としての知識を活かし、エビデンスに基づいた商品づくりを大切にしています。
美味しさと健康、その両方を叶えることが「Su-balance」の使命です。

お客様からはどのような評価をいただいていますか?
奈良県内の土産物店や観光施設で販売しており、観光客や地元の方々から多くの反響をいただいています。
デザイン性の高いパッケージと無添加の安心感から、“見た目がかわいくて体にも優しい”「贈りたくなる商品」として好評です。
お客様のお声をいただくたびに、作ってよかったと感じます。
口コミからの広がりも多く、ありがたいことに在庫が追いつかない時期もあります。
地元奈良の素材を使った“安心できるお土産”として、県内外のお客様に喜ばれています。

御社事業が素晴らしいと思う理由を教えてください
私が目指しているのは、ただ「お茶を売ること」ではなく、
お茶を通して“食育”を伝えることです。
「商品そのものが“食の大切さ”を伝える存在になってほしいと思っています。
私が前に出なくても、商品が語ってくれる。そんなものづくりをしたいんです。」
お茶をきっかけに健康意識を持つ人が増え、
将来的には「病気を予防できる社会づくり」につながることを願っています。
“おいしさ”と“健康”のバランスをとりながら、日々ものづくりに向き合っています。
地域との関わりで意識していることを教えてください
奈良の特産である「大和茶」の魅力を、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っています。
昔ながらの素材を、今の時代に合った形で再発信することが、地域への恩返しだと感じています。
「おじいちゃんやおばあちゃんがお孫さんに安心して渡せる、
そんな“無添加のお土産”を奈良から全国へ届けたいんです。」
地域の生産者の方々とも連携しながら、地元の素材を活かした製品づくりをこれからも続けていきます。

今後のビジョンを教えてください
これからは、企業向けの“健康支援サービス”にも取り組んでいきたいと考えています。
オフィスや職場でお茶を楽しむ時間を通じて、従業員の健康やコミュニケーションをサポートする仕組みをつくりたいです。
「1日1杯のお茶で、心と体を整える時間を届けたい。
そんな“職場の食育”を実現していきたいと思っています。」
さらに海外展開にも挑戦中で、アメリカ・ロサンゼルスでの展示会出展も予定しています。
“日本のお茶文化と健康”を世界に広めることが、次の目標です。
「お茶を通して人々が健康になり、笑顔が増えていく。
それが、私がこの仕事を続ける一番の理由です。」
そしてもう一つの目標は、「医療費の削減」に貢献することです。
病気になってから治すのではなく、日常の食生活の中で体を整える。
それができれば、社会全体の健康負担も軽くなります。
「お茶を通して、“予防”の文化を広げたい。
健康な人が増えれば、医療費も減り、社会全体がもっと豊かになると思うんです。」