探偵の道に進むまでの経緯を教えてください
大学を卒業して、最初に入社したのは証券会社でした。
当時は「稼ぎたい」という気持ちもありましたが、それ以上に「人の役に立ちたい」という思いがありました。
お金のサポートを通じて人を支える仕事も素晴らしいとは思ったのですが、働くうちに、もう少し“人の生活そのもの”に寄り添う仕事がしたいと感じるようになりました。
そこで次に転職したのが医療機器メーカーです。
お金の次は“健康”。人の幸せを支える2つの軸のうち、もう一方を経験したかったんです。
しかし、どちらの業界でも大きな企業の中で働くうちに、自分の力で価値を生み出したいという気持ちが強くなっていきました。
感謝される仕事がしたい、人と直接関われる仕事がしたい──その思いを軸に、いろいろなセミナーにも参加していました。
そんな時、ある探偵の方と出会ったんです。その方はお客さまからもらった手紙を大切に持ち歩いていて、「こんなに人に感謝される仕事があるのか」と衝撃を受けました。
それが探偵という仕事を志したきっかけでした。
独立をされたきっかけを教えてください
最初は別のフランチャイズの加盟店として、業界に入りました。
そこで、探偵業界の仕組みや現場を学ぶうちに、驚くことがたくさんありました。
正直に言うと、業界はとてもグレーでした。 “真実を明らかにする仕事”を掲げながら、実際は嘘や誇張が多く、広告もアフィリエイト中心で誤解を生むようなものが多い。
調査も自社で行わず、下請けや外注に任せているところがほとんどです。
私は金融や医療といった「エビデンスが重視される世界」にいたので、
探偵業界に入った時は、その“適当さ”に強い違和感を覚えました。
「これは健全な業界じゃない。変えていかないといけない」と思い、
自分で立ち上げたのが「第一探偵事務所」です。
名前には、「業界の基準になるような存在をつくりたい」という意味を込めました。
各店舗のSEOやMEO対策を徹底して、今では全国20店舗以上が加盟しています。
第一探偵事務所の強みを教えてください。
うちの最大の特徴は、自社で面談から調査まで一貫して行うことです。
探偵業界では、東京の会社が「全国対応」と言って実際は地方の案件を外注するケースが多いです。(勿論本当に自社で調査するケースもあります。)しかしそれでは、土地勘も人脈もない状態で精度の高い調査なんてできません。第一探偵事務所では、すべて自社で完結することにこだわっています。
また、料金体系も業界でよくある「時間単価制」のみならず
業界初となる“証拠を取るまでの定額制”=オーダーメイドプランを導入しました。
時間制だと、調査の終わりが見えない中で人件費が重なって費用がどんどん膨らみ、 結果的に依頼者が損をする。そういう構造をなくしたかったんです。だから、私たちは“追加料金のないプラン”で、最初にご依頼者様と約束した範囲で最後までやり切ることを徹底しています。

印象に残る調査エピソードを教えてください
印象に残っている案件はいくつもありますが、
特に忘れられないのは「離婚したくない」お客さまからの依頼です。
ご主人の転勤を前に、「浮気をしているかもしれない。もししていたらついて行かない」と悩まれていた奥さまでした。
調査の結果、実際に不倫が判明。
証拠を取って相手ときちんと別れさせた上で、ご夫婦は関係を修復されました。
その1年後、「新しい命が生まれました」と手紙をくださったんです。
探偵の仕事って、“別れさせる”ためだけのものじゃないんです。
人の人生をもう一度立て直すための仕事でもある。
そういう瞬間に立ち会えることが、この仕事の醍醐味だと思っています。
「探偵」とはどのような仕事だと思いますか
私は、探偵は「調査業」ではなく「カウンセリング業」だと思っています。
依頼者の多くは、誰にも相談できない悩みを抱えています。
だから、話を聞いて、心を整理してもらう時間こそが一番大事なんです。
実際、証拠が取れなかった場合でも「ありがとう」と言ってもらえることが多いです。
それは、調査よりも「心の支え」になれたからだと思っています。
浮気調査や行動調査というのは、あくまで手段にすぎません。
本当の目的は、その方の人生を前に進めることであると考えています。
どのような探偵業を目指されていますか?
うちでは、現在まで、慰謝料請求の示談解決率が100%です。
裁判に持ち込むより、確実に依頼者の利益になるからです。
探偵と弁護士が癒着しているケースも少なくありません。
不要な裁判に誘導されて、結局お金も時間も奪われる。
でも、私たちはそういう構造には関わらず、
必要な時だけ信頼できる弁護士を紹介する形にしています。
「戦わずに勝つ」ことが依頼者にとって一番いい形。
だから、私たちは争いを起こさず、誠実に“終わらせる”探偵でありたいと思っています。
今後の展望を教えてください。
まずは47都道府県すべてに、信頼できる第一探偵事務所の加盟店をつくることが目標です。
その地域ごとに、1番信頼される探偵を育てていく。
そうすることで、探偵業界全体の基準を底上げしていけると考えています。
私一人では業界を変えることはできません。
でも、同じ理念を持った人たちが全国に増えれば、
「誠実な探偵」が当たり前の世界に近づいていくと思っています。