株式会社未々乃介-曽我部貴司


株式会社未々乃介 代表取締役社長 曽我部 貴司 SOGABE TAKASHI

創業または社長就任の経緯を教えてください

シングルファーザーとして全力で取り組んできた息子たちの子育ても終わりが見え、その務めを果たしたという達成感と安堵感の一方で、これからの人生を何を心の支えにして生きていけばよいのか、不安を感じておりました。ちょうどその頃、コロナ禍で休業や在宅勤務となり、自分自身と向き合う時間ができました。さらに、母が突然末期がんと診断され、わずか2週間で亡くなってしまうという出来事がありました。

それらを経て、これからの人生は「本当に自分がやりたいことに挑戦しよう」と考えるようになりました。そして、せっかくなら子育てを支えてくださった地域社会の皆さまのお役に立つことがしたいと思うようになりました。

自分の経験やスキル、そして資金をもとにキッチンカー事業を構想しましたが、本気で社会に貢献するには個人事業主としてではなく、会社という形がふさわしいと判断し、キッチンカー事業を柱とする飲食サービスの会社を設立いたしました。

経営の中で苦労したことや嬉しかったことなど、印象に残っているストーリーを教えてください

「生産者と食べ手、あるいは生産者同士や食べ手同士をつなぎ、関わる全員が豊かさや幸せを実感できること」を目標に走り始めました。すると、その思いに共感してくださる方々が次々に現れ、支援してくださるという、不思議な輪の中にいるような感覚を覚えております。

困ったことが起きても、周囲の方々のご協力によって、すぐに解決できてしまうという体験を何度もしてきました。会社のコーポレートアイデンティティとして「食でつながり、時間を豊かに」と掲げておりますが、その恩恵を最も受けているのは、実は私自身かもしれません。

あなたが思う御社商品の魅力を教えてください

誰もが馴染みのある料理でありながら、地域の生産者の皆さまから直接仕入れた地域特産の食材を使い、フレンチの専門家であるシェフがアレンジしているという、独自の付加価値がございます。

オリジナルの無添加でやさしい味のタレを使用し、さらにカフェのような副菜も添えてご提供しております。「進化した豚の生姜焼き」として、多くのお客様にご好評いただいております。

御社の商品はお客様からどのような評価をいただいていますか?

「価格以上の価値がある」と感じていただき、リピート率が非常に高い点が特徴です。「今まで食べた豚の生姜焼きの中で一番おいしい」といったお言葉をいただくこともございます。

御社の商品が素晴らしいと思う理由を教えてください

美味しさはもちろんのこと、味や見た目のオリジナリティに加え、安心・安全な点や、環境への配慮からプラスチックごみをほとんど出していないことも評価されていると思います。また、再現性が高く、同様のスタイルを取り入れる事業者が増えれば、将来的には地域の名産品として定着する可能性も秘めていると感じております。

地域との関わりで意識していることを教えてください

食材の生産者の方々からは、価格交渉をせず、言い値で購入しております。また、地域で人々が交流することを目的としている場所を、出店場所として選んでいます。

経済合理性を優先せず、売上が見込めても地域から離れた場所、たとえば東京には出店せず、むしろ東京から地域へ人を呼び込むことを目指しております。

今後のビジョンを教えてください

オペレーションは誰にでも実行可能なように標準化しておりますので、今後は仲間をつくってキッチンカーの台数を増やしていきたいと考えております。

並行して行なっている飲食コンサルティングでも、同じ想いをもって、地域に根差し、永く愛されるお店づくりをサポートして参りたいです。場合により、固定店舗の経営に苦しむ個人の飲食事業者には、キッチンカー事業への転換を促すことも選択肢のひとつです。

安定した収益が見込めるようになった際には、子ども食堂のサポートや、買い物に困っているお年寄りの支援にも取り組みたいと考えております。キッチンカーはあくまで手段であり、地域の皆さまが食を通じて豊かさを感じられる機会を多様な形で創出し、北総エリアの活性化と永続的な発展に貢献してまいります。

Profile

株式会社未々乃介 代表取締役社長

曽我部 貴司 SOGABE TAKASHI