山仁薬品株式会社/山仁産業株式会社-関谷 康子


山仁薬品株式会社/山仁産業株式会社 代表取締役 関谷 康子 Sekiya Yasuko

創業or社長就任の経緯を教えてください。

当時二代目だった父が体調不良のため、私に後を継いで欲しいという話がありました。私は前職が大好きだったため、一旦は断りましたが、母から「サラリーマンの代わりはたくさんいるけれど、お父さんの代わりはあなたしかいない」と言われ、前職の継続を断念し、後を継ぐことにしました。しかしまだやりたいことがあったので、結果的に三年間は待ってもらい、その後転職しました。父も「せっかくここまでお世話になったのだから、最後まで全力を尽くしなさい。上司の方々の顔に泥塗るなよ」と理解を示してくれたことを覚えています。

経営の中で苦労したことや嬉しかったことなど、印象に残っているストーリーを教えてください。

苦労したことや嬉しかったことは山ほどあります。しかし苦労しながらも嬉しいと感じることは、お客様からのご意見やクレームに対するお叱りをいただいた時です。お叱りを受けた事に対し全社員が一丸となり、当事者意識を持ち、改善に向けて意識を高めてくれることです。以前、お客様へ大クレームを出してしまったことがあります。このままでは売上もなくなってしまうのではないか、というほど落ち込み、不安の空気が社内を走りました。しかし、休日を返上して全員で検品したり、対策を考えたり、お客様のところへお伺いして現場教育を受けたり、とにかく事あるごとに社員の意識が高まり、逆にお客様との距離も近くなり、その姿勢に感心していただけたりしながらここまできました。社員や会社の成長の15年は何事にも代えがたい、嬉しい事です。

あなたが思う御社の商品・サービスの魅力を教えてください。

湿気に向き合い70年、ここまで来ました。創業者はオンリーワン戦略、二代目は商品軸でシリカゲルに特化して展開し、そして現在は医薬品専用の乾燥剤メーカーとして走っています。その時代その時代に合わせて、戦略を変えながらここまで来ていますが、一貫して従業員の成長に焦点を当てながら歩んできています。今現在、我が社の強みは何か?と聞かれるとこれにつきます。つまり、お客様に寄り添い、製品を大切にし、風土を大切にする。コミュニケーションが密の中でも規律は守る。メリハリのある製造現場。そしてお客様からのご意見には真摯に向き合う姿。全て人が作り出すことです。我が社の強みは働く従業員のみんなです。

御社の商品・サービスはお客様からどのような評価をいただいていますか?

手前味噌にはなりますが、医薬品製造業のお客様は、年間数社から十数社ほど監査に来られます。またISOの審査や、JISの審査でも専門機関の方々が来られます。その際に、製薬業界に特化していることで年々従業員の意識が高くなり、業界に向く姿勢が改善され、製薬業界の方々に安心できる、と言っていただけるようになったことです。また出入りしている業者様からも、「山仁薬品さんとお付き合いしているということは品質がいいということなんですよね?と周りから評判をいただいています。」とお言葉をいただきます。ここまで来るには簡単ではありませんでしたが、従業員のみんなが真摯にお客様と向き合い、いただいた言葉を噛み締め製品を作りこんできた、その結果だと思っています。

御社の商品・サービスが素晴らしいと思う理由を教えてください。

営業部隊は、少しでもレスポンス早くお客様の不安を解消したり、ニーズを汲み取るために動いています。また、当たり前ですが、製造部隊は営業部隊が持ってきた事案を少しでも具現化するために動いてくれます。お客様にとっても自社にとっても、良いことであれば積極的に提案し、経費の削減や無駄やの排除などを提案しています。若いからこそのいろんな発想が会社を活性化させています。先日創業70周年式典を開催しましたが、改めて脈々と受け継がれる「人がすべて」という考え方の軸を、全員と共有し再出発いたしました。

地域との関わりで意識していることを教えてください。

地域密着で、地元思考の若い人たちの入社希望が多いことは、とてもありがたいことです。地元のハローワークの方々も協力的でいらっしゃいますし、地元のみんなが働いてくれて、離職率も低く助かっています。ここ数年で、出産して復帰してくれる従業員も多く、これからも「育児休暇」が当たり前の社風を作っていきたいです。男性も女性も関係なく、若い人たちが子育てを通じて成長していく姿、また子どもたちが働くお父さん、お母さんの背中を見て成長していく姿を全員で共有しながら、みんなの成長とともに会社も成長していきたいです。

今後のビジョンを教えてください。

会社としては「ドライヤーン」が乾燥剤の代名詞になることです。 乾燥剤はどこで買えるかもわかりにくく、必要な時にすぐに使えない。そんな世界を変えたいんです。現在の生活様式に合わせて様々な人たちが使える製品を世の中に出し、乾燥剤のイメージを変えたいです。 もう一つは企業内に託児所を併設することです。私はサラリーマンのときに2人出産していますが、どちらも1年も休まずに復帰しました。それは仕事が楽しく、また、必要とされていることを感じていたからです。 人は必要とされていることを感じ、やりがいを持って働くことが、企業とのエンゲージメントが高まる1つでもあります。働く環境を整え、働くお父さん、お母さんを支えたい。そんな思いから託児所を作りたいと15年も前から思っています。昨年、保育士の免許も取得したので、いよいよアクションに移ろうか…と思っています。

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山仁薬品株式会社/山仁産業株式会社 代表取締役

関谷 康子 Sekiya Yasuko