大阪銘板株式会社-山口徹


大阪銘板株式会社 代表取締役社長 山口 徹 YAMAGUCHI TORU

1914年、木彫看板製造業として創業。その後、金属製ネームプレート・セルロイド製ネームプレートと時代のニーズに沿って提供する商品を変え、現在はプラスチックの射出成形をメインとした事業を展開しています。

社長就任の経緯を教えてください。

創業家の生まれなので、幼少時から後を継ぐ事は意識していました。大学院を卒業後、日系オーディオメーカーを経て外資系半導体メーカー、日本フィリップス半導体事業部(現NXPセミコンダクターズ)に6年程勤めたのですが、その間に先代社長から何度か当社に入社して欲しいとオファーを受けていました。しかし、その時点では自身で納得出来る成果を挙げる事が出来ていなかった為断りましたが、成果を残せた’04年に、入社を決めました。入社後8ヵ月で先代社長が他界した為、急遽社長に就任する事になりました。

印象に残っているストーリーを教えてください。

自動車分野へ進出後、私のマネージメントの拙さから現場が混乱に陥った事がありました。取引先の役員の方よりトップマネージメントが弱いとお叱りを受け、そのご指摘を真摯に受け止め、従業員皆と一丸になり現場改善を行いました。その結果、数ヵ月後に再度ご来社頂いた際には、非常に良くなったとご評価を頂きました。現在も続く、そのお客様との良好な関係は、ご指摘を真摯に受け止め、愚直に改善に取り組んだ結果であり、お客様からの信頼を勝取る事に繋がったのだと考えています。

あなたが思う御社の商品・サービスの魅力を教えてください。

当社の理念の一つである最高経営方針に、 ”常に改善、開発を進め、技術商品の持続的創造に徹すること”と言うものがあり、この実践を心掛けている事です。同じセグメントの製品や後継機種に携わる際にも、新しいモノや事を採り入れる事で何かしらのチャレンジを行っています。同じ様なモノだからと言って同じ事を続けていると進歩はありません。同じに見えても造り方を変えて生産効率を上げる、材質を変えて耐久性や質感を上げる等、お客様へ提供する製品は常により良いモノへとアップグレードさせています。

御社の商品・サービスはお客様からどのような評価をいただいていますか?

お客様からは、「ダイメイ(※)は何か相談したら提案してくれる、答えを持って来てくれる」と言うお声を頂戴します。当社はBtoBのカスタム品の製造が多いのですが、受注した製品を造るだけではなくより良い製品を一緒に創り上げています。以前、お客様から製品の軽量化についてのご相談を頂いた事がありました。そこで製品を中空にすることができる当社のガスアシスト成形の技術による30%程度の軽量化をご提案し、採用頂きました。常にこのような姿勢でお付き合いさせて頂いた結果、自動車やアミューズメント分野に最後発で参入したにも関わらず、ファーストベンダーとしてお取引をさせて頂いています。(※大阪銘板を略し、「ダイメイ」と呼ばれています。)

「ガスアシスト成形」

商品が素晴らしいと思う理由

商品(製品)を通して、ミッションを体現している事だと考えています。当社のミッションは、 ”人々の生活に利便性や豊かさを提供する事”です。人は利便性や豊かさを一度手にするとそれが当たり前になります。次に出す商品にはそれを上回るモノを盛込まなければなりません。同じカテゴリーの商品でも、新しい何かを盛込む事で、お客様の期待を超える事が出来ると考えています。その実例として、テレビが高価だった1950年代、当社はテレビの筐体の樹脂化に世界で初めて成功しました。それまでの筐体は木製だった為、製造に多くの人手や時間がかかっていました。樹脂化したことで、大量に安く造る事が可能になり、テレビの普及に大きく貢献し、人々の生活への豊かさの提供に寄与したと考えています。

「TV筐体樹脂化」

地域との関わりで意識していることを教えてください。

当社には5つの拠点(工場)があり、拠点毎にローカライズする事を心掛けています。従業員は地元からの雇用が多く、マネージメントのメンバーも出来るだけ地元メンバーを抜擢する様にしています。協力会社も出来るだけ地元企業との取引を増やし、地元の経済の活性化に貢献したいと考えています。また、地元の小学生に工場見学をしていただいたり、こども食堂への寄付や自社商品をふるさと納税の返礼品に利用いただいたりもしております。

今後のビジョンを教えてください。

人財の育成を通して、未来を創って行きたいと考えています。当社のヒストリーが物語っているように、これからも時代のニーズにマッチしたモノを提供し続けていきます。”一流の経営者は人を残す”という言葉がありますが、当社もそれに倣い、時代に必要とされるモノを創ることができる人を育て、常に”人を生かす企業”であることを目指しています。年齢や役職を問わず意見を言い合える風土があるため、この風土に魅力を感じ入社を決める方が多くいらっしゃいます。次世代のビジネスは、この様なお互いを尊重し合う組織、環境でこそ創られるのだと考えています。当社には、“傘蛍”という光る和傘の商品がありますが、これは社内で実施している新規事業創出の勉強会で若手社員が提案してくれたものです。新しい事にチャレンジし続けること、それこそが当社のDNAです。

「傘蛍」

Profile

大阪銘板株式会社 代表取締役社長

山口 徹 YAMAGUCHI TORU