うし源 本店-瀧口 佳徳


うし源 本店 五代目代表 瀧口 佳徳 TAKIGUCHI YOSHINORI

創業or社長就任の経緯を教えてください。

創業は明治19年です。創業者の源松が愛知で食肉関係の仕事をしていました。同じ時に奈良県の有力者たちが、地元奈良県を発展させていくには、何か新しい産業が必要と考え、さまざまな事業を全国で見て回っていたそうです。その時に、源松のことをたまたま見つけ、牛に関係する仕事をすればお金を手に入れる事が出来る事を知り、食肉業で地場産業を発展させることができるのではないかと考え、奈良で商売をやらないかと口説いたと聞いています。

源松は自然環境豊かな奈良県山間部の私有地に畜産設備や競り市場を建設して、本格的な食肉の生産体制を整備しました。精肉の販売をだけではなく、同時に食肉文化を広めたいとの思いもあって、すき焼き専門店も同時期に開業しました。

あなたが思う御社の商品・サービスの魅力を教えてください。

一言でいうと、A5ランクの肉しか販売していないから全ての肉がおいしいんです。2000年初頭に決めた方針ですが、当時A5ランクしか扱わないという判断は画期的でもありましたが、無謀にも思える判断でした。その判断のおかげで、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ステーキなど料理に応じた最高級の肉を提供することができます。ミシュランガイド三つ星レストランや、有名ホテル、大手百貨店などでも私たちの肉は使われていて、シェフの方からは高い評価をいただいています。

御社の商品・サービスはお客様からどのような評価をいただいていますか?

みなさんが口を揃えて言われるのが、柔らかな肉質やジューシーでとろけるような食感、芳醇な香り、繊細な肉の甘み、旨味がギュッと凝縮された豊かな味わいです。これら全てが当店が提供している大和榛原牛やまとはいばらぎゅうの特徴です。うまみの元である良質なアミノ酸と不飽和脂肪酸が多く含まれているので、柔らかな食感と大和榛原牛特有の香りを生み出し、極上肉と称されるのです。

御社の商品・サービスが素晴らしいと思う理由を教えてください。

非常にシンプルですが、良い肉を追求することですね。これは私だけでなく、先代から代々うし源本店に受け継がれてきたものです。今は輸入肉とかいろいろな種類の肉がありますが私たちは、私たちが納得して売りたいと思った肉しか売りません。また、私はいつも、目の前のお客さまを笑顔にしようと言っています。おいしいお肉を食べると自然と笑顔になりますよね。

経営の中で苦労したことや嬉しかったことなど、印象に残っているストーリーを教えてください

老舗の経営を継承した人は、その店の味の継承も大切なんですが、今先代がいたら何を考えてどう行動するのかということを想像することが必要になるんだと思います。時代も常に変化していて、いつまでも昔の味が流行る保証もありません。創業以来続く「モノ」よりも先代の「思いを」継承することが大切ですね。

地域との関わりで意識していることを教えてください。

正直に言うと、いわゆる地元愛というのはよくわからないところがあります。ただ、私にはこの地から引っ越しをするという考えは全くありません。先人たちが守ってくれた、この素晴らしい奈良を多くの人に知ってもらい、子どもが住みたいと思ってくれる場所にしたい。だからこそ、この地をより良くして残していかないといけないんです。その為に今では行政と手を組んでより良い街づくりを一緒に現実化していっています。

今後のビジョンを教えてください。

実は4年後を目途に、奈良の素晴らしさを体験してもらえるオーベルジュをオープンしようと思っています。そこでは美味しい牛肉はもちろん、野菜、お酒、歴史を伝える場所として発信していきます。そこでは地元の食材を使って奈良のすばらしさを発信していきます。特に東京の人に奈良のよさを感じてもらいたいです。奈良の人は「奈良には何もない」と謙遜しがちなのですが、逆に「何もないすばらしさ」「人の温かさ」「奈良の隠れた魅力」をぜひ皆さんに体験してほしいと思っています。

Profile

うし源 本店 五代目代表

瀧口 佳徳 TAKIGUCHI YOSHINORI